脂性肌のためのニキビケア Part1
私は脂性肌で、20年以上ニキビに悩まされ続けてきました。
10代の頃はニキビだらけで顔が真っ赤で、鏡が見られなくなってしまった時期があるほど。それまでは学級委員や体育祭の選手宣誓など、目立ちたがる活発な子だったのに、恥ずかしくて人前に立つことができなくなってしまったことを覚えています。
図書館にあるスキンケアの本をかたっぱしから借り、雑誌の情報を試し、皮膚科に通い、たくさんトライ&エラーを試してきて、やっと落ち着きました。今では「お肌きれいですね」と言っていただけることもあります。ニキビに苦しんだからこそ、勉強したことが、同じ悩みを持つ誰かの役に立てばと思い、まとめてみました。
Part1は日常編、Part2はニキビの仕組み、Part3は具体的なスキンケアとメイク方法、Part4はニキビ跡治療とおすすめ書籍などです。
1)皮膚科 ~いまあるニキビは皮膚科へ~
まず、思春期ニキビも大人ニキビも、尋常性ざ瘡(じんじょうせいざのう)という、れっきとした病気です。ニキビ自体は化粧品では治りませんので、今出来てしまっているニキビの治療には、皮膚科を受診しましょう。
ひどいニキビ肌の場合は数カ月でよくなることはないので、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、ちょっとずつ改善させるつもりでいたほうが良いと思います。
ニキビ治療には皮膚科学会のガイドラインがあるものの、塗り薬・漢方・抗生物質など、皮膚科の先生によって治療方針が違うので、合う先生を見つけましょう。
最近では、重度のニキビにはアキュテイン(イソトレチノン)などのホルモン治療を受けることもできます。海外では広く使われている治療ですが、残念ながら日本はまだ保険適用外で高額ではあります。
また、女性だけになりますが、低用量ピルも有効です。私は大人になってから生理不順で低用量ピルを飲んでいますが、生理前のお肌の不調がなくなったので、やっぱりホルモンの影響はかなり大きいなと感じています。
皮膚科に行くほどではないけど、出来たニキビを早く治したいときは、アダパレン(ディフェリン)などの塗り薬がおすすめです。
保険適用でも処方してもらえますし、iharbなどで買うこともできるので(アメリカでは市販されている)、常備しておくと便利です。ちなみにアダパレンはレチノールの一種で、紫外線に反応してしまうので、使うのは夜のみにしてください。
<おすすめ> Differin(ディフェリン), Adapaleneジェル 0.1%
以上を前提とした上で、スキンケアにあたって気を付けることを書きます。いまでも「ちょっと最近肌の調子がよくないな」というときにこの基本に立ち返るようにすると、ぐっと調子が良くなります。
2)日常生活で気を付けること
① とにかく肌を触らない
スキンケアの時以外、肌には触らないように気を付けています。手には雑菌がついていて思いのほか汚いことと、肌をこするのが刺激になって肌荒れやシミの原因になるためです。美肌で有名な佐伯チズさんは肌を触る前は必ず手を洗ったとか。余談ですが、かつて彼氏に顔を触られるのを断固拒否していたら整形を疑われたことがあります……。
髪の毛も意外と刺激になっていることがあり、フェイスラインやほっぺたあたりのニキビが気になる場合は、髪を上げたり、その部分に触れないようなカットをしたり、タートルネックなどを避けたりしてみるといいと思います。後述しますが、ワックスやヘアオイルなども止めてみると効果があることがあります。
また、白ニキビ/コメドの状態は、指で押すと皮脂が取り出せたりしますよね。初期ニキビは悪化する前に出した方が治りが早い、ということもあるのですが、無理に出すとニキビ跡の原因にもなります。お風呂でふやけているところを軽く触ったら出てきた、という程度なら大丈夫かもしれませんが、赤みや痛みを感じるほどの強さで押さなければならないなら、それは触るべきではありません。皮膚科の先生にお任せするのがいちばんと思います。
② 寝る
肌は寝ている間に再生します。眠ると成長ホルモンが分泌され、細胞分裂がおき、新しい肌が作られていくからです。成長ホルモンにはアンチエンジング効果もあるので、その意味でも睡眠はとても大切です。
ポーラ化成の研究でも、睡眠不足によって角質のバリア機能が損なわれることも証明されています。
参考)ポーラ化成 睡眠不足による肌荒れの原因を解明
③ スキンケアをシンプルにする
早く治したくて、肌荒れしているとついつい色々塗りたくなるかもしれません。しかし、肌が弱っているときですので、逆に化粧品の数はなるべく減らしたほうがベターです。例えば化粧水にポピュラーなビタミンCはもちろんお肌にいいですが、刺激がある成分です。いっそ美容液も化粧水も止め、保湿クリーム1つやワセリンだけにしたほうが回復が早かったりします。肌荒れ時はスキンケアをMAXシンプルにする、を試してみてください。
なお、なんとなく良さそうな雰囲気のある「オーガニックコスメ」は基本的には使いません。オーガニックコスメは植物エキスが数多く使われているのですが、不純物が多く、刺激が強いものやアレルギーが出る可能性があります。たとえ自分に合わない成分が含まれていても、それが自分で分からなくてハイリスクだからです。
他にも、スクラブ洗顔、パック、半身浴や長風呂もお肌の負担になるので良くないです。パックや半身浴は肌を長時間水につけてふやかすので、逆に乾燥しやすくなるという盲点があるんです。
④ 肌に触れるものが清潔かを確認する
枕カバー、シーツ、フェイスタオル、ファンデーションのパフやブラシ。
忙しかったり面倒くさかったりして、ついおざなりになってしまうこともあると思いますが、定期的に取り換えましょう。とくにパフやブラシは汚いまま使っている人も多いと思いますので、肌の調子が悪いなと感じたら、肌に触れるものは清潔になっているか思い起こしてみるといいかもしれません。
⑤ 食事の見直し
よくチョコレートや脂っこいものはニキビになるというイメージがありますが、実は関係ありません。というか、直接的に影響があるとされる食べ物は今のところありません。びっくりですよね。反対に「これを食べるとニキビが治りますよ」という研究結果もありません。
ただ、「相関関係がみられる」という研究結果はいくつかありますので、以下の食べ物には気を付けてみるといいと思います。人によるので必ずしも全員に効果があるわけではないのですが、試してみる価値はあります。私の場合はアイスクリーム、チーズを連日たべるとどうも調子が崩れるので、研究を見て「なるほどー!」と思いました。時々ご褒美に食べる程度にしています。
・牛乳やチーズなど乳製品(ヨーグルトは除く)
・海藻類
・ホエイプロテイン
このほかに、糖質制限(低GIの食事)に一定の効果あり、という研究結果もあります。ニキビ研究は「とにかく健康的な食事をしろ」と書いてあることが多く、「そりゃそうでしょうよ」と突っ込んでしまうのですが、実際にゆるい糖質制限をするようになってから、朝起きた時の油分が減ったなと感じます。
炭水化物を食べると血糖値が上がり、血液中にインスリンがあふれます。インスリンは男性ホルモンを刺激するので、皮脂がたくさん出るようになります。また、糖質を分解するときにビタミンB類が使われるのですが、ビタミンBは肌を健やかに保つのに必要な栄養ですので、「もしかして糖質の多い食事をとるとビタミンBが肌に回ってこなくなるのでは?」と予想しています。
といっても、糖尿病やダイエットではない「ゆるい」糖質制限なので、お米を少し減らす程度です。また、うどん、パスタ、パン、ピザなど小麦製品は血糖値が上がりやすいので気持ち控えめにはします(お蕎麦は低GIなのでOK)。ディーンフジオカをして「妖精さんみたい」と言わしめた、美肌で有名な中谷美紀さんは大人ニキビ撃退のために糖質制限をしているらしく、主食は玄米・そばで、甘いものは一切食べないという生活を何年もされているとか……。徹底している……。
お水もたくさん飲みましょう。水分不足になると、お肌のうるおいも作られにくなります。
<参考>ニキビの原因・食事や生活習慣との関係(肌のクリニック高円寺麹町より)
https://koenji.clinic/archives/9
また、便秘をしないことも大切です。便秘でビタミンBの合成が妨げられたり、体内の水分が足りなくなることで、お肌のうるおい成分(NMF)も作られにくくなり、肌の水分量が減ってしまうという問題が起きるからです。
対策としては、朝ごはんを食べる、ミルミルやヨーグルトなどで乳酸菌をとる、食物繊維の多い野菜をとる(キャベツ、バナナ、枝豆等)、運動をする。ヨーグルトは商品によって入っている菌が異なるので、色々変えて試してみるといいです。また、便秘には長芋がとてもいいというNHKの情報もありました。
<参考>腸内パワーを引き出す新成分!あのネバネバ食材で便秘改善SP
運動については、ポーラ化成の研究で、筋肉がある人ほど(とくに下半身)シミ、しわ、毛穴の目立ち、色ムラができにくいということが分かっています。筋肉で作られる「マイネオクチン」という成分がメラニンの生成を抑えるのだとか。
<参考>ポーラ化成 『美と筋肉 ~筋肉に秘められた美肌作用~』
⑥ 日焼けをしない
日焼け止めはニキビに限らずですが、365日使います。美白目的もありますが、やはり紫外線ダメージも肌には大きな負担だからです。
SPFは30以上で、できれば1日に塗り直すのがベストです。ノンケミカル(紫外線吸収剤が不使用)の日焼け止めが肌に優しいというイメージがありますが、吸収剤アレルギーがないなら特に気にしなくていいと思います。
個人的には、紫外線散乱剤である酸化チタンのほうがおとしにくいと感じるので(肌にくっつく感じ)、むしろ吸収剤オンリーの日焼け止めが結構好きです。
⑦ 油脂を含むスタイリング剤に気を付ける
油はニキビ肌の人は注意が必要ですが、油と言っても種類があり、ニキビにOKなオイルとNGなオイルとがあります。
・NGオイル
油脂:オリーブオイル、椿油、アーモンド油、アルガンオイル、馬油、シアバター
「油脂」というジャンルのオイルはアクネ菌のエサとなっているので避けるべきオイルです。アルガンなどはおしゃれ系のヘアオイルによく使われていますが、ニキビ肌には不向き。以前、フェイスラインにどうもニキビが繰り返しできるなと思い、使っていたワックスの成分をみたらシアバターががっつり入っており、使用をやめたらスッと引いた経験があります。
・OKオイル
炭化水素:白色ワセリン、スクワラン
ロウ:ホホバオイル、オレンジラフィー
「炭化水素」と「ロウ」に分類されるオイルはアクネ菌のエサにはならないので安心して使えます。ホホバオイルはヘアオイルとして使えますし、私はクレンジングにも使っています。
ここまでが日常で気を付けること編でした。次はニキビがなぜできるのか、どうしたらニキビができにくいお肌に変えていくことができるのかを書いていきます。