#脳内音楽
起きている間は音楽が鳴っている。
昔から好きなバンドのフロントマンが、初めて自伝小説を発表した。彼の横顔が表紙になった本に私は釘付け。衝動買いをしない選択肢は無かった。彼の友人のことを思って発表された楽曲であり、自伝の中でも触れられているし、ライブで歌う際に涙している姿に心を打たれない人間は居ない。
コロナ禍で音楽活動ができなかったことを機に、制作することにしたのだそう。色んな方々の支えを借りて本の巻末、彼は丁寧に固有名詞を挙げ、感謝を綴った。彼ほど、人生で起こることの全てに感謝し続ける人間は居ないと思う。またしばらくバンドの音楽が鳴っている。
世界中のファンと同じく、この作品の数年の動向に心惑わされている私。全く原作を読まず、映像化されたアニメのみを追いかけていることもあり、予想もつかない(つく訳がない)物語の展開に常に息を忘れる。
(敢えて、一見)堕ちていく主人公、彼を取り巻く全ての物事に纏う悲しみ、絶望感が音楽とともに際立つ。けれど、それまでのシャウトと強い歌詞が嘘のように、ボーカルの透明な声が、堕ちていく前の、純粋な主人公の少年時代の映像と重なり、少しでもハッピーエンd・・・は絶対にありえないのだが、聴いている間は彼の心が救われることを祈ってやまない。
誰にも救いの音楽が鳴っている。