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11時間目 ジローの計略 討伐軍との決戦前夜
このお話は100%フィクションです。
(1時間目から読んでみたい方はこちら)
ここに、国から認められていない集落があった。
小さな島に築かれた、その村の名前は「うさん村」
この村にタツオ学院という寺子屋を作った者がいた。
ここでは嘘つき学という学問を教えている。
この世の中が嘘で回っている事実を認め、正しく嘘と向き合うことにより、悪意のある嘘に騙し騙される事がないようにという教えである。
・主な登場人物
※前回、タツオ学院の生徒コタロー、スー、ダイフク3人の訴状により、村民会議の決定で いつもタツオは留置場に拘留された。しかし、この3人もまたシタ・タカと夜黒龍の密会に遭遇してしまい有らぬ罪を着せられ留置場へ…。留置場でタツオと面会したのちにジローはメザメノ・アカシを訪ねて隠とん小屋を訪れる。前回のあらすじはこちら
それでは、本編をどうぞ。
ナメック・ジロー:「ふぅ、ようやく隠とん小屋にたどり着いたか。アカシさんはいるだろうか…」
コンコンッ
ナメック・ジロー「失礼します、いつもタツオ先生の教え子でナメック・ジローと申します」
声:「山!」
ナメック・ジロー:「?(この場合は大抵こう答えるな)川!」
ガチャッ
すぐにスワル:「ん?あぁこの間の小童か。なぜ合言葉を知っておるのだ…。まぁ良い、なんか用か?」
ナメック・ジロー:「メザメノ・アカシさんにお会いしたいのですが」
すぐにスワル:「アカシは潜入捜査でバナナ社に忍び込んでおる。もう帰ってくる頃だと思うがのぅ、お主いったいどうしたんじゃ?」
ナメック・ジロー:「じつは我々タツオ学院の生徒の一部がタツオ先生に対して謀反を起こし、村の目安箱に訴状を投函しました…。その結果、タツオ先生は村民会議に掛けられて、学院は一時閉院、タツオ先生は留置場に入れられてしまったのです」
すぐにスワル:「タツオめ、いつかは痛い目をみると思ってはいたが…。村民会議で決まったのなら覆すのは難しいじゃろう」
ナメック・ジロー:「はい。しかし、先日タツオ先生との面会で、先生が留置場内のある男から、タナカ村長の黒い噂を耳にしまして。証拠を集めて村長に圧を掛け、保釈を狙おうと考えたのです」
ギーッバタン
メザメノ・アカシ:「ひょっとして隠者討伐令(いんじゃ とうばつれい)の話じゃないかな」
ナメック・ジロー:「あ、アカシさん!」
メザメノ・アカシ:「スワル法師様、ただ今戻りました。ジロー君といったね、話は聞かせてもらった。タツオ先生の件、出来るだけ協力するよ」
ナメック・ジロー:「ありがとうございます。隠者討伐令に関しては、タナカ村長が隠者の森奥地に美女を住まわせている建物の発覚を恐れて、周辺に住む思想家を一掃しようと発令したと聞いておりますが…」
メザメノ・アカシ:「うん。私も情報を収集してきたんだけれだ、どうもその様だ。ただ、裏で手を引いているのは村長秘書のシタ・タカの可能性が高いと僕はみている」
ナメック・ジロー:「シタ・タカさん、ですか?あの方は人が良くて有名で、村の人々からの信頼も厚い筈ですが…」
メザメノ・アカシ:「それは表向きの顔だな、シタ・タカは承認欲求と支配欲の塊の様な男だ。少年時代に うさん村の暗算大会で僕に敗れてから彼のプライドは酷く傷ついたらしく、それからは私の事を目の敵にしているんだ。恐らく人工知能で〜ぶランニング内にバグ因子を侵入させることが出来る人物なんて彼以外に考えられない」
コンコンッ
すぐにスワル:「山!」
声:「川!」
すぐにスワル:「入れ」
男:「ふぅ!疲れた」
ナメック・ジロー:「まずい!役人だ!」
メザメノ・アカシ:「安心して、彼は仲間だ。僕がシタ・タカの動向を探るために役所に放ったスパイさ」
密偵の男:「シタ・タカについて御報告します。先程、シタ・タカが人工知能で〜ぶランニングに潜り込ませたバグ因子、夜黒龍が役所に出没しました。シタ・タカが呼び出した様で、人気のない屋上で密会していたところ、タツオ学院の元生徒ら3人と遭遇した模様。シタ・タカは即座に罪をでっち上げ、3人を留置場に拘留してしまいました!」
ナメック・ジロー:「!!」
メザメノ・アカシ:「遂にシタ・タカが本性を現したか…。それで、夜黒龍はどうした?」
密偵の男:「はい。シタ・タカの命令で人工知能で〜ぶランニング内に戻った様です。恐らくは、さらに強大な力を蓄えて次の機会を待つということでしょう。あっそれと、村長が隠者の森奥地に公費で不当に建てた屋敷、通称おしりんハウスの証拠文書を入手しました。念のために複製を渡しておきますね。どうぞ」
メザメノ・アカシ:「おしりんハウスか…ありがとう、しばし休息をしたら、再びに任務に当たってくれ」
密偵の男:「承知しました」
ナメック・ジロー:「学院の3人とは恐らくはコタロー、スー、ダイフクだろう。ただでさえ困難な状況であるが、この3人も救い出さなければならないか…」
すぐにスワル:「まずいのぅ。タツオの保釈だけならばタナカ村長を脅せば何とかなったかもしれんが…。シタ・タカが絡んでいる3人を助け出すことは不可能じゃ。それに今は隠者討伐令によりワシも他の隠者達から村長との交渉役として担ぎ上げられていて余裕がないのじゃ」
メザメノ・アカシ:「隠者討伐令に関しては、相手が行政軍。一度決定した事項は簡単には覆りません。待っていても狩られるだけです。こっちから打って出た方が得策であると私は考えます」
ナメック・ジロー:「挟み撃ちにするのはどうですか?タナカ村長が公費を使って不当な屋敷を建て、美女を住まわせて私服を肥やしている証拠をもっと集めます。そして村の人々に事実を知らせてから怒りをあおる。デモ隊を組織して村役場に一斉に押しかけるという手筈です」
メザメノ・アカシ:「なるほど、面白い」
メザメノ・アカシ:「隠者を集め、うさん警察署を島の北東から叩く。恐らく、隠者討伐令を指揮するのは、この島最強の男といわれる上杉雲双でしょう。ここで何とか時間を稼いでいる間に、村民のデモ隊をうさん大橋から村役場へ向けて進撃させ、挟み撃ちに。警備が手薄になっている筈だから、シタ・タカを捕らえられるかもしれない!」
すぐにスワル:「じゃが、そう上手く行くかのぅ。公費の不正利用の証拠だけで、村民がデモ隊を組織するに至るかが謎じゃ」
メザメノ・アカシ:「そうだ!先程、バナナ社に潜入していた時に良いものを手に入れた。カケヨ社長の旦那でマルコス・ボーロという男がいるのですが、操作中に見つかってしまい、苦し紛れに交換条件を出したのです」
ナメック・ジロー「交換条件ですか?」
メザメノ・アカシ:「うん。彼は大乱行ふんどしブラザーズというゲームでプロゲーマーを目指している。僕はちょっとした裏技を教えてあげたんだ。そしたら、マルコスは見逃すどころか、どうしても御礼がしたいと西洋から持ってきた高性能のカメラをくれたんだ。これを使えば決定的な記録が残せる!」
すぐにスワル:「よし!直ぐに準備にかかろう。二人は、タナカ村長のおしりんハウスの証拠を集めて村に知らせ、ワシは隠者を組織して行政軍と真っ向勝負じゃ!」
ドンドンッ!
すぐにスワル:「山!」
声:「川!」
ガチャッ
隠者達:「スワル!まずい行政の討伐軍が動き出したぞ!」
すぐにスワル:「迷っている暇は無い様じゃな!では諸君、健闘を祈る。よし、片っ端からこの森に住む隠者に声を掛けよ!時こそ来たれ!!」
メザメノ・アカシ:「ジロー君、我々も急ごう!」
ナメック・ジロー:「はい、参りましょう。タツオ学院の皆んなの無事を祈る…」
-ナレーション-
とうとう動き出した行政の隠者討伐軍。絶体絶命のピンチにジローの計略は成功するのか?もはや、うさん村全体を大きく揺るがしかねない事態に発展した今回の騒動。そして黒幕シタ・タカを捕らえることは出来るのか。
最後まで読んでくれてありがとう!
このつづき12時間目はこちら
-つづく-
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