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15時間目 束の間の平穏
このお話は100%フィクションです。
(1時間目からお付き合い頂ける方はこちら)
ここに、国から認められていない集落があった。
小さな島に築かれた、その村の名前は「うさん村」
この村にタツオ学院という寺子屋を作った者がいた。
ここでは嘘つき学という学問を教えている。
この世の中が嘘で回っている事実を認め、正しく嘘と向き合うことにより、悪意のある嘘に騙し騙される事がないようにという教えである。
・主な登場人物(急いでいたら飛ばしてね)
※前回、ナメック・ジローの計略が見事に的中して、村民デモによって村長のタナカ・シリゾウを捕らえることに成功した。留置場に拘留中のタツオとタツオ学院生の奪還にも成功したのだが、黒幕のシタ・タカをあと一歩のところで捕り逃してしまった…。前回のあらすじはこちら
それでは本編をどうぞ
※「村民デモ」翌日、ヒノキダ治療院にて
ヒノキダ・ゲンコク:「それにしても、昨日の混乱から一日が経って、村も落ち着きを取り戻したのぅ。それとヨウさんが手伝ってくれて助かりますぞ!ホウくんとワシだけでは手に負えないわい」
ヨウ・レイ:「いえ、私こそ おしりんハウスから救い出して頂いて皆様には感謝しております。妹のホウにも会えた事ですし…ありがとうございます。」
ホウ・マン:「姉さんが無事で何よりだわ。それにしても休んでいる暇は無いわね、うさん川から次々に怪我人が流れ着いてくるんだもの」
うさん警察署 署員(元討伐軍):「ホウさ〜ん♡喉が渇いちゃった(テヘペロ)」
「ヨウさ〜ん♡背中がカユイ!掻いてくださぃ(テヘペロ)」
ヒノキダ・ゲンコク:「こやつらの大半が仮病じゃないのか?まぁ良いは、今日は忙しくなりそうじゃ」
コンコンッ
バタン!!
いつもタツオ:「ヒノキダ先生!急病患者じゃ、診て頂けんだろうか」
ヒノキダ・ゲンコク:「タツオ先生!心配しておりましたぞ、とんだ災難でしたな」
いつもタツオ:「いやいや、生徒たちも一回り大きくなったようで、吾輩にとっても貴重な体験になりました。それより先生、急病の患者をみて頂けませんか、留置場で吾輩に隠者討伐計画(いんじゃとうばつけいかく)を教えてくれた人物なのです」
ヒノキダ・ゲンコク:「どれどれ、連れてきて下さい」
皆の衆:「エッサホイサ、エッサホイサ」
シメノ・ダイフク:「この人です!急がないと危ない」
男:「お、俺もここでお・わ・り・か…」
ヒノキダ・ゲンコク:「なるほど、これは少々荒治療が必要なようじゃな。ホウくん、骨盤矯正装置と電流オーライ装置の準備をしてくれ」
ヨウ・レイ:「ホウ、私も手伝うわ!」
ホウ・マン:「お願い」
いつもタツオ:「そういえばスーよ、さっき留置場を脱出する際に一緒にいた女性は何者じゃ?」
ウマミ・スー:「あの人はヤミ陰陽師の人で、ヤミノ・ウマコさんという人よ。実は大変な話を聞いてしまったの…」
※ここからは昨日の回想シーン
(読んだ人は飛ばしてね)
ヤミノ・ウマコ:「元々私達ヤミ陰陽師が住んでいた場所は、あのバナナ社が出来て商業地域として急速に発展したの、そして私達は居場所を失いキナ臭島に落ち延びたという訳よ」
ウマミ・スー:「あなた達の怨みは相当なものがありそうね。何だか気の毒ね」
ヤミノ・ウマコ:「私達の苦しみはそれだけでは終わらなかったわ。元々キナ臭島にはカマクサ一族という先住民族が住んでいたの。このカマクサ一族が後から来た私達を追い出そうと攻撃を仕掛けてきたのよ!」
ウマミ・スー:「カマクサ一族?」
ヤミノ・ウマコ:「本当に何も知らないのね!カマクサ一族というのは、うさん村で草刈りを生業として細々と暮らしていた部族だったの。商業地域の発展によって刈る草が無くなったのと、全身に植物のタトゥーを施した独特の風貌が災いして村の皆んなから疎外されていったのよ。彼らは隠れカマシタンと呼ばれ、キナ臭島に移り住んだの。その中で、ひとりの神童が生まれたの。カマクサ・ムシローという青年が一族を束ねるようになったのよ」
※中央、カマクサ・ムシロー
「彼は島の狂気と呼ばれ、比較的おっとりしていたカマクサ一族が過激化していったのよ。私達ヤミノ一族への攻撃を支持したのもこの男よ。そう、私達ヤミノ一族が滅ぶのは時間の問題で細々と暮らしていた…。ところがある日、私の姉のヤミノ・ペイメイに神が舞い降りたのよ!」
※中央がウマコの姉、ヤミノ・ペイメイ
「彼女の呪術の力は強力で、弱体化していたヤミ陰陽師たちも彼女の力を拠りどころに結束が深まったの。以来ペイメイは神格化されたって訳」
ウマミ・スー:「なんだか複雑な話ねぇ。」
ヤミノ・ウマコ:「狭いキナ臭島で、ムシロー率いるカマクサ一族と、ペイメイ率いるヤミ陰陽師の対立が激化していった訳なの…。そんな最中、ひとりの旅人がキナ臭島を訪れたの」
ウマミ・スー:「旅人?」
ヤミノ・ウマコ:「そう、ギターと呼ばれる西洋楽器を持った彼の名はチェリー・サワタ。部族同士が争っている真っ只中で、彼の名曲ゲリのレディオを歌い出したの。すると次第に彼の奏でる骨太サウンドに魅了され、両部族が武器を捨ててヘッドバンキング(頭を縦に振ってリズムに乗る)を始めたのよ!」
※チェリー・サワタのイメージ
ウマミ・スー:「音楽の力が争いを止めたって事ね。ゲリのレディオは神曲ね!」
ヤミノ・ウマコ:「そう!怒りや憎しみは音楽で表現して、争うことよりも楽しく生きようという雰囲気がキナ臭島を包んだのよ。それだけじゃないわ、チェリー・サワタは両部族の党首に楽器を教え、サワタ・テンプル・パイロッツという3ピース(サワタ、ムシロー、ペイメイの3人)バンドを結成したのよ!」
ウマミ・スー:「サワタ・テンプル・パイロッツ?聞いたことあるわ。同じ学院生のユカノ・モプコという子がファンなのよ」
ヤミノ・ウマコ:「サワタ・テンプル・パイロッツは世界ツアーを企画する程の人気バンドになったわ。ところが数ヶ月前に、バンドリーダーのチェリー・サワタが隠者の森 野外ライブの後で失踪してしまったの…。キナ臭島のシンボル的な存在のチェリー・サワタを失い、ムシローとペイメイは音楽を忘れ、うさん商業地域を取り戻そうと武力による奪還計画を練り始めたの」
ウマミ・スー:「商業地域の奪還計画?た、大変。カケヨ社長に知らせなきゃ!」
ヤミノ・ウマコ:「残念ながら、もう遅いと思うわ。計画通りなら明日には商業地域を襲うはずよ。それに、アナタには知らせる手立ても無いでしょう。私は明るくて楽しかったキナ臭島に戻って欲しくて、チェリー・サワタを探しに隠者の森を訪れていたの。その最中、おしりんハウスと呼ばれる建物を発見してしまい、シタ・タカという男に罪をでっち上げられて留置場に拘留された訳よ」
※っと回想シーンはここまで
いつもタツオ:「そ、それは大変じゃ!しかし、昨日の村民デモの一件で村の行政機関は機能しておらんだろうし、村長を拘留してしまった今では指揮系統も何もない状況じゃ」
ヒノキダ・ゲンコク:「カケヨ社長に知らせて商業地域の人を非難させるより他ないか…」
ホウ・マン:「ヒノキダ先生、準備が整いました」
ヒノキダ・ゲンコク:「よし、先ずは施術じゃ。では、患者さんをこちらに」
男:「うぅ」
ヒノキダ・ゲンコク:「では、ホウくんが骨盤矯正装置を、ヨウさんが電流オーライ装置のスイッチレバーを同時に下げてくれ!」
ホウ、ヨウ:「せーのっ!」
ガチャッ
「ぷるん♡」「ぷるん♡」
ヒノキダ・ゲンコク:「ムヒョヒョー!」
イチモツ・コタロー:「だからエロ坊主のカットはいらねぇだろ!」
ヒノキダ・ゲンコク:「よ〜し、いい具合にツボのポイントがズレてきたぞ。では皆さん、下がって目を閉じていて下さい。ハァァァァァ、波動砲七変幻(はどうほう しちへんげ)!!」
ピカッ
男:「ぎゃあああああ」
男:「ふぅ、身体が軽いぞ。復活だぜ!」
いつもタツオ:「お主、見違えるようじゃぞ!」
イチモツ・コタロー「ありえねーだろ!どこからギターが湧いてきたんだ」
男:「さっきそこのお嬢ちゃんが話していた旅人ってのは、Meのことだぜ!そう、ロックの神さまチェリー・サワタとは俺のことよ」
ガチャ
村民:「大変だ!商業地域の方から煙が上がっているぞ!」
一同:「何!!!」
チェリー・サワタ;「ムシローとペイメイめ!おっぱじめやがったか!誰か、Meを現場に案内してくれ!」
-ナレーション-
ついにキナ臭島のヤミ陰陽師と隠れカマシタンが動き出した。商業地域からは無惨にも黒煙が上がっている。そしてチェリー・サワタという男は、果たして役に立つのであろうか。
最後まで読んでくれてありがとう!このつづき16時間目はこちら
次回も気軽に読んでね
-つづく-
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