夢現(ゆめうつつ)#12
楽しくて
孤独ではないけれど
感化されていくのは
確かです
元来の性格をよそに
「怒」だけが
突出して強くなりました
特に同性から
受ける反応に対して
口より手が
出るようになり
学校でも
先輩に呼び出され
文句を言われる日々
しかし、女子高の先輩は
手ぬるい・・・
年上をかさにして
上から目線で
文句を言うだけ
一回、胸元をつかまれたけど
膝蹴りで
みぞおち決めてから
裏拳で顔面に
お見舞いしたら
それから
何も言われなくなった
逆に「遊ぼ」と
誘われるようになり
面倒くさい事、この上ない
そんな私を
近くで見ている
有紀も自然
似たようなことに・・・
ある日
ローカで同級生に
喧嘩を売られている
有紀に遭遇しました
どうするかなぁーと
見ていると
相手の足を
ドスンと
上履きごと踏みつけ
動きを封じてから
相手の耳もとで
何か?囁きました
有紀が「ニヤッ」と
笑って
足をどかすと
相手は走るように
逃げていきます
へぇぇっぇ
やるじゃん
有紀に言いました
「ごろ巻きせずに
撃退凄いね」
すると
「うん、秘訣がある
私はツミのように
強くないから」
あ、ちなみに
私は学生時代「ツミ」と
呼ばれていました
ひふみ・・ふみ・・
じゃ、おばさんみたい
だからと
「ツミ」になりました
それでも
一言で相手が
戦意喪失するなんて
「凄いし、楽だから
私も使いたい
教えて‥」と
言うと
クスクス笑って
「てめー よぉー
息がスッゲ臭いんだよ」
それだけですって!
はははははは
それは、面白い
その後、何回か使わせてもらいました
効果てきめん
ほとんどが黙り込む
ただ一人
ミドリだけは違った
他校の同級だったが
「息が臭い」と言うと
「タバコ吸ってるし
たりめーだろ」
と言って殴りかかってきた
タイマンの末
決着はつかなかったが
そこから急激に仲良しになり
ミドリの在学校
K高校も傘下に入った
また、ある
学校行事の交流会で
C高校に行くと
そこの上級生が
私が一人とみると
「あや」つけて来た
仲間を呼んで
20人ぐらいで
囲まれたときは
こりゃー勝てないなぁ
と
袋にされる覚悟を
決めましたよ
たまたまそこを
(裏庭の人気が無い場所)
上の渡り廊下から
ある男子が
見かけたみたいで
大急ぎで
駆け付けてくれたけど
よく見ると
あれ?
いつも
たまり場に来る奴じゃん
到着するやいなや
私を囲んだ面々に
「やめろや」
「この人は
おめーらより上じゃ」
「手を出すと
締められっぞ」
と、一喝
女たちの顔色が変わり
あっという間にいなくなった
危機脱出
「ありがとうございます」
「おかげで助かりました」と
お礼を言うと
「俺ごときに
そんな礼なんて
必要ないっす
間に合ってよかった」
ニコニコ笑顔で
帰してくれました
週末にたまり場で
助けてくれた話を
みんなに教えると
その男の子も
仲間として
認められることになった
それまでは
「パシリ」扱い
だったらしい
他にも
退屈する暇なく
色々と有ったなぁ
刺戟的で…さ
警察に絡むこともあったが
未成年の免罪符は
大抵のことに通用する
しかし
「ある事件」で皆が
散ることになった
私の彼は
グループの頭だったらしい
私と有紀が
学校にいる時間帯に
「クスリ」を買おうとしたら
金が無かった
度々、拝借してる寂れた店に
またいただきに行くか・・
(盗み)となり
いつものように
物色していると
大音量の警報が鳴りだした
彼が実行して
仲間は見張り
が
いつものパターンでした
しかし
思いもよらぬ「音」に
仲間は我先にと
逃げ出した
彼も慌てたが
一足遅れたがため
店先で売りに出ていた
バイク(50cc)を
直結して逃走
ほどなく仲間に合流したが
ゲンが悪いということで
その日は
解散となったのですが
悪いことに
再三
売り上げを盗まれる店主が
防犯カメラを仕掛けており
そこに彼の犯行
一部始終が写っていたので
彼は捕まりました
鑑別所で過ごしながら裁判
過去の窃盗に
バイクの窃盗
無免許など重なり
少年院送致の判決
これを機会に
グループは解散となり
私と有紀も
「クスリ」を
辞めることができたのです