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夢現(ゆめうつつ)#15


子どもが生まれると
当たり前のことですが
どうしても
そちらに時間がとられます
それが
気に食わないのか
あやすどころか
「うるさい」と
怒鳴りだす

育児をひとりでこなし

仕事に行き

帰り着くと
家事一切をする

自分は
仕事に行って、帰ると
男の責任はここまで
あとは全部
女がするものだ

そんな考えでしたから
当然、うまくいくはずもなく
結局は十数年後
離婚いたしました


何回も「改める」と
言われ、子どものために
不本意ながら
譲歩しましたが
少し時間がたつと
同じことの繰り返し


我が子が
せめて二十歳までと
耐えていたのが
仇となり

私の居ないところで
溜まったうっぷんを
息子達に「暴力」という形で
姑息にも隠れて
ぶつけていました

卑怯過ぎる行為に
対する残念さと
息子達が不憫で
泣いてしまいました

息子達は私に
心配をかけまいと
耐えていたのです


分かった時点で
もう我慢の
必要はないと判断

息子達も
優しくされたり
可愛がってもらった
覚えはほとんど無い

未練があるのは
夫だけ



私たちは解放され
自由を手に入れました

貧しくとも楽しい日々

養育費や慰謝料も
夫から
言い出しましたが


結局・・・
無かった。

最後まで戯言
虚しいことよ

言わなきゃいいのに
「噓つき」と
思われるだけなのに
本当に馬鹿だと思う


オマケに何年も
復縁を
言われたが
応じませんでした

するわけ無いですよ
養育費も何もなく
復縁だけ言われても

いつしか
軽蔑的な感情さえ
湧いておりました

苦労はしましたが
納得のいく難儀

理由もわからず
怒鳴られたり
息を殺すように
家の中で過す日々から
開放されて
安心して
生きられる気楽さ


狭いアパートでしたが
のんびりと
気兼ねなく過ごせる
此れこそが
「我が家」ですよね



あれから
何年も過ぎ
息子も独立して
家庭を設け
それなりに
人生を歩んでいる


ふと、気付けば
いつもの「一人」だ


気楽で懐かしい
「ひとり」

穏やかな日々のなか
少し違和感を覚えたので
病院に行って
検診を受けてみると

「病」にかかっている
    そうだ


うん、もう
充分…ね


頑張って家族を支え

子どもを育て

人の人生かと
いつも不安だったけど
紛れもなく「今」は
私の人生

別れを
伝える人は
わずかにしておく


何も言わず
去るつもり


後悔も懺悔も必要ない

あなたにとって
わずかな時間

記憶に残れば
それでいい

それだけかな

だから
ここで
暇乞い

ありがとね



怪シリーズ#9-3
#9-4にループ


三銃士のように私の守護を
していた最後の一人

倉内は「祓える」ひとでした

私の後ろに
「塩」をシュッと
投げて
小さくつぶやきます

なにを言っているのか?
尋ねてみると






果てない無音の静寂
紫煙の渦の中
横たわる我
「勤め」は

果たせた?





終り


最後まで御覧下さり
ありがとうございます

「怪」シリーズに
繋がる物語だったのです。

「ひふみ」の人生は
報われたのでしょうか?

試練は乗り越え
られたのでしょうか?

元の軌道に
修正されたのでしょうか?


怪シリーズ
ゆめうつつ
と、続けて
Kindle本の著書まで
関連しておりました
単品でも
全てを網羅しても
お楽しみいただけるように
致しましたが
如何だったでしょうか

私は、これから少しばかり
ペースダウンして
ゆっくりしたいと
考えております

欲張り過ぎたら
いけないもの・・ね

最後までご覧くださり
ありがとうございます

それでは、またね

亀井速水
sennninnkame


毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます