スタートアップで1人目のマーケターを採用したい時の手引き

スタートアップで1人目のマーケターを採用したい時の手引き

マーケターの採用はスタートアップ界隈では難航してるようなので、ソーシャル採用が話題にあがりがちなiCARE社の第一号マーケターが、マーケターを見極めるナレッジを共有しておきます。

※ これまでもこれからも、本記事内ではSNSを使った採用の話は一切出てきません。ご安心ください。

一人目に雇うと失敗するパターン

パターン1. 営業経験のないマーケター

無理ですね、スタートアップでやっていけません。営業ができる(輝かしい実績を残している)必要はありませんが、いかに営業活動が顧客理解に役立つか、を理解してる必要はあります。

パターン2. マーケ系の資格をアピールするマーケター

あくまで個人的見解ですが
銃を握る素人は、銃で撃つことに盲目して銃床で殴ることを忘れます。

スタートアップにおいてマーケティングの手段を限定してしまうマーケターは、相性最悪です。

パターン3. デジタルに弱いマーケター

現代においては逆に希少種だと思います。

生活の中にデジタルが根付いていない人を見分けるポイントはいくつかあります。
1. twitterのアカウントが休眠してる
2.スマホが3年以上前の機種
3.タッチタイピングやフリック入力が遅い
4.現金主義

ひとつでも当てはまると黄色信号です。

一人目のマーケターを雇うタイミング

そんなに急ぐ必要はないと思います。

営業(フィールドセールス)、エンジニア、デザイナー、採用担当、カスタマーサクセス、このあたりの人員が揃ってなお余裕があれば雇うぐらいでしょう。

スタートアップのフェーズにおいてPSF(顧客が抱える課題に対して何らかの解決策を提供できている状態)達成までは、社長がマーケティング機能を担うことが多いハズ。

マーケターが必要になってくるタイミングは、PSFからPMF(課題解決できるプロダクトが市場で売れはじめている状態)にかけてです。

PMF達成のためには様々なトラクション(集客方法)にチャレンジして改善サイクルを回す必要があります。ですので企画者よりは実行者としての人的リソース確保を目的として一人目のマーケターを採用することになります。

トラクションについてはこの書籍がおすすめです。

一人目のマーケターは、何でも実行できる経験者

ちなみに、私がiCAREに入社してから2年間でチャレンジした(している)トラクションをご紹介しておきます。

・オウンドメディア
・業界特化メディアへの戦略PR
・GoogleやYahooなど運用型検索広告
・Facebook中心のノンターゲティング広告
・外部のメディア会員へのメール配信
・口コミ紹介
・コールドリストへのメールマーケティング
・展示会出展
・共催セミナー
・アウトバウンドのDM送付とテレアポ
・メルマガ
・コミュニティ活性化

これぐらいのチャレンジ数(行動量)を担保するためには、一人でなんでもできるマーケターのほうが都合がいいんですね。

理由は2つあります。

ひとつは、どのプロモーションが当たるかどうか分からないから。PMFを達成していないプロダクトでは、どの集客チャネルが効果が高くて、どれが低いのかを事前に予測することはほぼ無理です。

「やってみなければ分からない」という状況で、マーケター自身のスキル不足が理由でチャレンジしないことは確実な機会損失になるからです。

もうひとつは、マーケティング予算が少ないから。それよりも開発リソースの拡充やや人員採用の強化の方が優先度の高い投資です。

もしマーケターのスキル不足が理由で、代理店や制作会社への依頼事項が増えてしまっては実行スピードは格段に落ちます。

そういった意味で、何でも実行できる経験者と呼べるにはどういったスキルが必要なのかを紹介していきます。

デジタルマーケ中心なら必須の5スキル

スキル1.  HPのコーディング

複雑なプログラムを書けるレベルはありませんが、HTML/CSSを読んで修正したりコピペで動かせる程度には必要です。

誤字脱字の修正レベルや、広告やアクセス解析用のタグの入れ替え程度はマーケター自身で完結できるようにしたいですね。

スキル2.  バナーの制作

GDN・YDN・Facebookなどの広告以外にも、メディア記事のアイキャッチ画像はSNS拡散においても重要な要素です。デザイナー任せにせず複数パターンを作れると改善スピードは爆速になります。

スキル3. 運用型広告の経験

BtoB・BtoC、無形商材・有形商材、グローバル・ローカル、ビジネスモデルがどのような形態であれ、今やGoogleやYahooの提供する運用型広告を利用しないビジネスはありえないでしょう。

以前に比べて、各プラットフォームでは入札の自動化やターゲティングの機械学習が進んだために、広告代理店に依頼する必要性は下がってきました。

スキル4. SEOへの理解

オウンドメディアを運用したり、検索での上位表示を狙わない戦略をとっていたとしても、SEOへの理解は必須です。たとえば無知がゆえにGoogleのペナルティに触れてしまい、自社ドメインを失ってしまうリスクもあるからです。

スキル5. PL(損益計算書)が読める

マーケターの仕事や内容はひとそれぞれですが、最終的にどこで評価されるかといえば売上と利益です。そういう意味では、PLが読めるかどうかは経営者とマーケターが意思疎通できるかどうか、コミュニケーションコストがどれくらいかかるかを左右します。

BtoBならオフラインマーケの知見もほしい

ただし、マーケターが一人しかいない状況でオフラインマーケティングが必要になるかどうかは、ターゲットとなる業種や企業規模によります。

いわゆるエンタープライズセールスを中心にしたビジネスモデルであれば、インターネット中心のプロモーションよりもアウトバウンドのテレアポの方が案件獲得コストは安価になる傾向が高いです。

1人目ではないにしても、2人目以降のマーケターとしてこれらのスキルや実務経験のある人を採用するといいでしょう。

+αスキル1. セミナーセリング

+αスキル2. 展示会の出展経験

+αスキル3. FAXDMやポスティング

+αスキル4. 記者とのリレーション作り

スキルを持ったマーケターはどこに生息しているか

スタートアップで採用する1人目のマーケターについて、避けたいタイプや必要なスキルを挙げてきました。

問題は、こういった人材がどこにいるのか?
どうやって募集すればいいのか?ですよね。

個人的におすすめしたいのは、東京・関東以外の主要都市で働くマーケターです。

地方ではマーケティングというものへの理解が薄いため、マーケターの多くが「兼任マーケター」になっています。

・WEBディレクターの肩書で、クライアントだけでなく自社のメディア運営を任されている人。

・EC店長として、日々の顧客対応に追われながらもSEOやSNSでの集客を勉強し実践する人。

・ITに詳しいという理由で情シスや自社HPの運用をしている若手の営業マン。

・ペットショップへの集客と同時に、ペット保険の代理店募集のために動物病院を開拓するマーケター。

そういった兼任マーケターにとって、東京のスタートアップでの仕事はマーケティングに専念できる環境であり魅力的です。

また地方と東京では、マーケティング関連のセミナーやコミュニティの量に30倍ぐらいの差がありますね。

マーケティングというものに飢えている地方の兼任マーケターが、東京に進出して専念する環境がそろえば、、、大きな活躍をしてくれるのではないかな。

と、大阪で10年間くすぶっていた私は考えています。それではこのへんで。

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