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連載小説 ロックンロール先生(23)


ボーカルのグラハムは、最初はやさぐれたぶっきらぼうな奴だと思っていた。

グラハムはいつも僕達を引き連れる様に先頭を歩いた。俺達に近寄るなとばかりにポケットに手を突っ込み、ガニ股ですれ違う歩行者達全てにガンを飛ばした。

本物のヤクザにガン付けて絡まれた事も何度もある。だが温厚なコージーのおかげで僕達はいつも難なきを得た。

そんなグラハムだが何故か心に響く素晴らしい詩を書く才能があった。実は繊細な心の持ち主だった。グラハムの書く詩に僕が曲を付け、オリジナル曲も数曲作った。

僕はグラハムの好きなパンク調の曲やロック調の曲、時にはポップな感じの曲も作った。ルーシーの曲すごくええわ、とグラハムはいつも喜んでくれた。仲間にはとても優しい気の良い奴だった。

楽しいバンド仲間達に囲まれ、僕は大学生活を満喫していた。でも僕の唯一の気掛かりは先生の事だった。同級生の誰に聞いても、先生のその後を知る者は居なかった。


つづく

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