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連載小説 ロックンロール先生(8)


僕は隣のクラスの内木美奈が好きだ。

内木さんは陸上部の長距離の選手。すらっとした長い脚で今日も校庭のトラックを走っている。八頭身の小さな頭はほとんど上下にブレ無いきれいなフォームだ。

脚も遅いし運動が苦手な僕とは正反対で彼女は運動神経抜群。しかも一年生からずっとハイクラスで校内模試の成績は常に上位に名を連ねている。

僕は入学式で彼女の笑顔を見た時一撃で殺られた。栗色のセミロングに歯並びの良い大きな口。くっきり二重の大きな目。明るく朗らかで誰にでも優しい彼女はとても人気者だ。恐らく彼女の事を好きな男子は星の数程いるだろう。

高嶺の花の彼女と帰宅部の目立たない僕が釣り合うはずもない。告白したとて相手にもされないだろう。もしかしたら僕の存在すら知らないかも知れない。

「ふう、そんなに甘くないよな」

僕は教室の窓から走る彼女を見て、毎日ため息吐いていた。


つづく

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