連載小説 ロックンロール先生(5)
ロックンロール先生は英語の先生だ。
一応進学校と呼ばれている僕達の高校は、三年の一学期で教科書の内容を全て終え受験体制に入る。
ロックンロール先生は受験生の僕達に、授業の度に英語の構文が三つ印刷された小さな紙を配った。
表に構文、裏に訳が印刷されている。今日配られた構文の一つはこれ。
構文「Ritchie Blackmore is one of the most famous guitarists in the world.」
訳「リッチーブラックモアは世界中で最も有名なギタリストの一人だぜ」
何かしらロックの話が含まれている先生オリジナル構文だった。
次の授業までに覚えて来る事、と言うだけで後は授業らしい授業はしない。今日はストラトキャスターとテレキャスターの話で終わった。昨日はギターのエフェクターの名前を暗記させられた。
この僕でさえ、こんな授業で大丈夫なのかと不安になる事もあった。でも先生は、構文だけで充分、といつも堂々と言っていた。
つづく
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