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わしゃ、止まると死ぬんじゃ~

日銀が国債を買い受けることで長期金利を低く抑えるイールドカーブ・コントロール(YCC)は、一見すると魔法の策ようで実は延命でしかなかったのだと思う。
量的緩和、マイナス金利、YCCと続いたあの手この手は、つぎはぎの回避策であって解決策にはなっていなかったんじゃないかな。

インフレを誘導しようとすると長期金利が上がる。それを抑えるために国債を買い続けると、今度は日銀の債務が増え続けることになる。

おい、おい、こんなにたくさん株を買っちゃったけど、これどうするんだよ?
ETFの爆買いを続けてきた日銀は日本株最大の保有者であり、多くの企業の筆頭株主という異常な状態だった。

策士だなぁ、と感心している

ETFと同じように「おい、おい、こんなにたくさん国債を買っちゃったけど、これどうするんだよ?」って、ことになる。
つまりYCCというのは、痛み止めや延命処置であって完治(問題解決)させるものではなかった。言ってみれば日銀は、 ”泳ぎ続けないと死んでしまうマグロ” あるいは、「わしゃ、止まると死ぬんじゃ~」という間寛平師匠のギャグのような状態だったと思う。

もし狙い通り景気が良くなりデフレを脱却できていたなら、黒田・前総裁に出口戦略はあったのかなぁ。

政策に自信と確信があったのは間違いない。けれど、あのウルトラ・スーパー賢い黒田・前総裁をもってしても経済は狙い通りにならなかった。
当初からそういったリスクシナリオがなかったのであれば、失敗した時には為す術のないギャンブルをやってしまった、という印象さえ受ける。

率直に述べればアベノミクスから始まった10年間というのは、天才でエリートの黒田・前総裁による ”異次元量的緩和” という壮大な社会実験に国民が付き合わされた気がしてならない。

いわゆるウルトラ・スーパー賢い経済学者の人たちというのは、 ”エラそうな物言いをする人だなぁ” という印象を受けることが往々にしてあるけれど、エリート意識がそうさせるのか、実際にエラいのだろうけれど結果がこれではなぁ。

この10年にも及ぶ社会実験でわかったことといえば、金融政策だけで経済をどうにかするには限界があるし、中央銀行が長期金利をコントロールすることはできない、ということだった。
そして、金融緩和でお金をばらまけば物価が上がり成長するというほど、経済は単純なものではなかった、ということなんだなと思う。

やはり経済って魔物だなぁと思うと同時に、経済学って何なんだろうなぁという気もする。

本丸は 「2%」

考え方に相違のあるウルトラ・スーパー賢い先生同士の歪み合いを見ていると、経済学は学問ではあるけれど宗教やイデオロギーのようなものであって、再現性がないという意味で科学ではないなぁと感じる。

物価安定や経済成長させるためのものが経済学や金融政策であるなら、エラい先生たちの自己顕示欲やイデオロギーを証明するための道具や実験の場にはならないでほしいなぁ、と切に願う。

つづく



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