使ってみた。 『TRUSCO テーブルリフト』 後編
※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください
パン屋さん時代に考えたこと、やってみたこと、使ったもの 35.
ぼくが製パン機器メーカーさんに「スリップピールの昇降機を作ってほしい」と熱弁したところで、「はい、作りましょう」とは当然ならない。
ところが1社だけ、それに応えようと本当に試みてくださった奇特な会社さんがある。それが大阪のベーカーズ・プロダクションさんだった。
確か2009年に開催されたモバックショウだったと記憶しているけれど、会場に着いたぼくは、お世話になっているベーカーズさんへご挨拶をするためブースへ向かった。
ブースでは、恒例の西川シェフによるデモンストレーションで人だかりの大盛況。
遠目で見ようとしていたぼくの目に留まったのは、何台か並んでいた窯の1台だった。
窯の両脇に見慣れない鉄の棒らしきものが立ててあり、その横には剥き出しのチェーンが付いていて、いかにもプロトタイプ然としていた。
みんなの視線が西川シェフに向けられる中、ぼくはベーカーズの熊岡さんの姿をさがした。
「熊岡さん!あれ、そうですよね!?作ってくださったんですね!」
西川シェフの実演が終わるタイミングで昇降機を動かしてもらうと、ガシャガシャと音を立て荒い動きをする横で「一応やってみたけど、これはできるかわからんで」と熊岡さんから言われた。
結局、この昇降機は残念ながら安全性の確保が困難という理由で完成にまで至らなかったけれど、試みてくださったベーカーズさんには感謝の気持ちで一杯だった。
それでも諦め切れないぼくは、後日こんなことを考えていた。
店をつくってくれた職人さんたちの技術を総動員したら作れるんじゃないか
チェーンを使ったものは、ベーカーズさんでさえ困難なのだから油圧ならどうだろ
それなら中古の分割機を買って、バラしてシリンダを取り出せば使えないか、これだとシリンダの長さが足りないか・・・
いずれにしても、まずは職人さんたちにイメージを伝えるための材料が必要だな
そこで油圧シリンダなり昇降機の図面がネットに落ちていないかと考え、その手のワードで検索をしていたとき、 ”あれ・・・これ使えるんじゃない?” と見つけたのがこちら。
TRUSCO テーブルリフト150kg 油圧式 600X950 蛇腹付
音が静かな運搬台車で有名なトラスコさん。
本来は工場や建設現場などで荷物などの昇降を目的に作られたものだけれど、上へ伸ばし切った高さが窯の上段入り口の高さとほぼ同じで、「トラスコさん、もしやうちのために作ってくれたの?ありがとう!」と言いたくなる規格。
とはいえ、実際に使ったこともなければ決して安いものでもないので、取り敢えず1台買ってみることに(ちなみに楽天で買った)。
もっと早く見つけて買えば良かった・・・
早速、もう1台を発注。
蛇腹付にしたのは、万が一にでも事故が起きるといけないので安全を考慮して。
昇降スイッチがフットペダルだけれど小さくて軽いため、うちでは壁付けにして手で押すようにしている。
窯前に設置スペースが必要だけれど、使わないときには作業台として使用すれば問題ない。
もし同業の方がこれを読まれていたら、いかがですか。
腰を痛めるリスクが減るだけでなく、日々の現場スタッフさんの労力が劇的に減ると思いますよ。
つづく
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