『小さくて強い店』について考えてみた 14.
※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。
杉窪さんのお店は多店舗化へシフトされているけれど、伊原さんと片根さんは一店舗一店主主義を貫かれている(カフェはされている)。
伊原さんは以前、多店舗化について「自分には向いていないから」と謙遜をされていたけれど、そもそも多店舗化する必要がないというのが正しいのだと思う。
小さなお店たった1軒で普通の個人店規模のパン屋さん何軒分をも製造し販売されているのだから、わざわざ多店舗化をする必要がない。
また多くのスタッフさんを抱えてられるので労働環境を良くしようと思えば、シフトの工夫などで適応することもおそらく可能だと思う。
どちらのお店も見た目が小さなお店というだけでその業績は大きく、単に小さなお店とは似て非なるものと言えるし、小さいから強いお店なのでなく「小さいのに強いお店」だとわかる。
街の小さなパン屋さん、一店舗一店主主義のお店として伊原さんや片根さんのお店が一つの理想形、完成形だと個人的には思っているけれど、仮に相応の技術があったとしてそれだけであれほどの大繁盛店をつくり上げることが可能かといえば、やはり難しいと思う(もちろん、ぼくにもそんな能力はない)。
技術があることはもちろん、お店を始められた時期といった時代背景や場所の違いもあるし、またそれらに適した商品構成やあれだけの製造量を可能にするための段取りや仕組みを考え抜き実行されてこられたからこその結果なのだから、技術さえあればできるといったことでもないと思う。
それに、どちらのお店も大前提として多くのスタッフさんを雇用されているからこその好循環だと考えると、競合するお店も多く人手不足の今の時代に、これから始めようとされるお店がそれだけのスタッフさんを確保するのも現実的には困難に思える。
そもそもできるだけ雇用をせずにギリギリの人員でやろうと考えている時点で、ツオップさんやカタネベーカリーさんのようなお店をつくるのは不可能ということになる。
つづく