綾瀬はるかさん
今回、パン屋さんの監修をさせていただいたドラマの主演、綾瀬はるかさん。
今更語るに及ばずな人だけれど、ぼくから見た彼女の印象について述べておきたい。
圧倒的すぎて何から書けば良いのかわからないけれど、まず常に姿勢が良い。
これまでも書いてきたようにドラマの制作現場は、とにかく拘束時間も待機時間も長いのでそれだけでも疲れる。それに俳優さんたちは他の仕事もあるためスケジュールが変則的ならタイトでもある。
過密なスケジュール、あれだけ長時間の現場となれば多少なりとも疲労が見えそうなものなのに、彼女のそういった姿を一度も見たことがない。
ぼくが割と早い時間にスタジオに入った日、スケジュール表を見ると既に彼女が入られていることが何度もあった。
そんな日の撮影が夜遅くなったときには、ぼくなどは早く帰りたい一心なのに早朝からスタジオ入りしているはずの彼女の立ち居振る舞いは、まったく波もなければやはり常に姿勢良く、そして精力的だった。
ご自身が主演という責任感もあるだろうけれど、その姿はアスリートや武道家然とした印象さえある。また、姿勢が良いためか声もよく通る。
昔、主演された映画でサイボーグを演じられていたけれど(「僕の彼女はサイボーグ」)、身近で見た彼女は本当にサイボーグかのように疲れ知らずに見えた。
そんな彼女は凛とした気高い女性という印象だけれど、それでいて人を寄せ付けないような雰囲気や横柄さなどが一切ない。
スタジオの前室で監督とぼくがソファで横並びに座り、資料を手に厨房での動きを打ち合わせしていたときのこと。
背後からぼくたちの間にひょっこりと顔を出し「なにを話しているの?」と声をかけてきたのは、彼女だった。それはまるで友人にでも話しかけるような気さくさで、ぼくは唖然とした。
直近の現場でも、撮影の合間にセットの横で若い女性スタッフさんたちと身振り手振りで楽しそうに談笑されているのを何度も見かけた。その姿は一般女性たちのそれと何ら変わらない雰囲気で、またバラエティなどで目にする天然ぶりは、ぼくも一度そういった場面に遭遇しているので素のままなんだと思う。
スタジオ入りやロケ日の確認のため、ぼくにも事前に助監督から総スケジュールの一覧表が送られてくる。
これには出演者のものも記載されているため誰がいつスタジオに(あるいはロケ先に)入られるか、別件で撮影に来られない日は「稽古」「〇〇(他局)」「〇〇(地名)」など書かれているので出演者のスケジュールをある程度知ることができる。
例えば今回のスケジュールを見ると、ドラマの撮影期間約1ヶ月の間にも彼女はCM撮影が3本も入っているだけでなく、ドラマ撮影翌日には韓国行きの日程まであった。これは釜山国際映画祭での映画「リボルバー・リリー」の舞台挨拶があったためだと思うけれど、釜山へ行かれた翌日には帰国され、その日のうちにドラマの撮影が入っていた。
俳優を目指す人たちは当然みんな売れたくて頑張るのだろうけれど、それにしても昨日書いた佐藤健さんのスケジュールといい、綾瀬はるかさんのスケジュールといい、いくら人気俳優さんとはいえ、売れたら売れたでこれほどの多忙さとは驚かされる。
芸能人の中にも心を病む人がいたりするけれど、俳優として売れ続けるためには心と身体の両方が強くないと務まらないに違いない。
そして彼女は、心身共にとても強い人なのだと思う。
驚いたことは他にもある。
連ドラの監修をしていたある日、ふと思い助監督に訊ねたことがある。
「そういえば、綾瀬さんってスタジオで台本を開いているところを見たことがないんですが」
「綾瀬さんは、台詞がすべて頭に入っています。ぼくもこれまで台本を開いているところを見たことがないです」
何かといえば、「忙しい」「時間がない」と言っていた自分が恥ずかしくなる。
これだと彼女が人格者、非の打ち所がない人に思われるだろうけれど 、ぼくはまったく誇張して書いていない。
だからつい先日もこんな記事が出ていたけれど、ぼくは同感するのみだった。
少し前にはこんな記事も。
芸能界には綺麗な人や演技の巧い人も数え切れないほどおられ、そういった意味ではいくらでも代替が利く業界にあって、なぜドラマやCMで彼女がこれほどまで必要とされ長年に渡りトップ俳優の一人として居続けることができるのか。
その答えを垣間見ることのできる機会だった。
こういったひと握りの俳優さんで居続けることのできる人は、容姿や技術だけでない別のモノも備えられているとぼくは思っている。
それはオーラといった何だかよくわからない大層なモノでなければ、その人を神格化するような特別なものでもなく、当人にとっては当たり前の、おそらくご自身では意識さえされていない人間性だと思っている。
仮に彼女が俳優、芸能人でなく他の仕事を選択されていたとしても、きっと出世されたに違いない。
もしぼくが某番組のように「プロフェッショナルとは、」と訊かれたとしたら、今ならきっとこう答えると思う。
『 綾瀬はるかさん 』
そんな綾瀬はるかさん主演の『義母と娘のブルースFINAL2024年謹賀新年スペシャル』がTBS系にて、今夜21時から放送です。
足掛け5年半に渡り、ぼくも携わらせていただいたドラマの完結です。
是非、ご覧ください。
もちろん、ぼくは正座をして拝見します。
*ネタバレ禁止のため、放送が終了後に画像をもう少し追加しておきます。
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