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これまでのあらすじ
役人からすれば、あからさまな増税は困難だけれど、厚生年金は企業が税金(社会保険料)を取り立ててくれる打ち出の小槌のような制度である。
しかしその安易な思考の結果、年々上がり続ける社会保険料負担は大きくなり、企業が賃上げをしても可処分所得が増えないという雇用主側、被雇用者側ともに報われない事態に陥った。
このままでは社会保険料を上げ続けることが容易でないと判断した狡猾な役人が、次に目をつけたのが厚生年金の適用拡大だった。
それなら「税金でなく社会保険料である」という欺瞞を続けながら税収を増やすことができる。それに「短時間労働の人(パート・アルバイトさん)も将来受け取れる年金が増える」と、もっともらしく謳うこともできる。
これまで日本をサイレントに社会主義国として成立させた一番の要因は、 ”給与の天引き” だったとぼくは思っている。
この”天引き” という大発明は、 ”手取り以外には無関心” という被雇用者の思考停止を見事に成し、「賃金が上がらないのは企業のせい」というスケープゴートにも成功した。きっと国の狙い通り、思うツボだったのだと思う。
ところがネットやSNSなどにより情報が民主化されると、その馬脚を現す展開となった。
えっ、所得税以上に社会保険料負担が増えて、手取りが減ることに気付かれただと?
じゃあ、ちょっと強引だけれど、パート・アルバイトさんの社会保険料を企業に肩代わりさせればいい。
正しくは ”大増税” だけれど、バレると困るからマスゴミには必ず ”肩代わり” と書かせろよ。これで被雇用者は「働ける時間が増える上に、社会保険料を企業が肩代わりしてくれるから手取りも減らなくて済む」と納得するから。
マスゴミを手懐けたことも含め、シルバー民主主義の勝利なんだろう。けれど年寄りに配ることばかりで、これは社会保険料を搾取されている現役層をバカにしすぎだな。
賞与に社会保険料をかけるようになったり、交通費まで賦課対象なのが未だに解せないけれど、今回の法案も厚労省の「取りやすいところから取る」という、いつもの安易なやり方だ。
それにしても近年、年金制度があまりにも杜撰で改悪が酷すぎる。
都合が悪くなると法律を盾に、懲罰的な重税を企業に丸投げする愚策しか施せない役人は無能としか思えない。けれど、本来はウルトラ・スーパー賢い人たちのはずなんでしょ。
そんな役人さんたちにぜひ、この名セリフを贈りたい。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(単行本は8巻)において、煉獄杏寿郎の母・瑠火が亡くなる前に、まだ子どもだった杏寿郎へ遺した言葉である。
(サイゼリヤ会長・正垣さんのお母様の教えに通ずるものがある気がした)
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なぜ自分が人よりも強く生まれたのかわかりますか
弱き人を助けるためです
生まれついて人よりも多くの才に恵まれた者は その力を世のため人のために使わねばなりません
天から賜りし力で人を傷つけること 私腹を肥やすことは許されません
弱き人を助けることは 強く生まれた者の責務です
責任を持って果たさなければならない使命なのです
決して忘れることなきように
厚労省の役人さん、責務を全うしなよ
つづく
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