「悲しいけど、これ現実(戦争)なのよね」
閑話休題。
現在の物価高騰は、ロシア・ウクライナ戦争、中東情勢といった地政学リスクや円安によるコストプッシュ型のインフレとされている。
石油をはじめエネルギー資源、食糧などほとんどのものを輸入に頼るしかない日本にとって、国際的な原材料価格の上昇や円安による輸入物価の上昇が国内のインフレを押し上げているのは間違いない。
本来であれば、景気が良くなることで企業が儲かり → 株価と賃金が上昇 → 需要の増加 → 物価上昇 → 金利上昇というサイクルが理想で、日銀もこういった形で日本経済が良くなってから利上げをしたかったに違いない。
しかし現実は、輸入コストの増加 → 物価高騰 → ちょっと強引だけれど賃金の上昇という、他力本願によってもたされたインフレになった。
これだと当然、家計も中小零細企業も圧迫されることになる。
でもなぁ、総じて同調圧力が好きで変化を望まない日本人は、通説にあるように「外圧によってでしか変わらない」のはその通りだと思うし、残念ながらこういったきっかけでもないと変われないだろうから、これはもう仕方がないな。
とにかく緊縮財政を行えばいいなんて思わないし、必要なところに必要なだけの積極的な財政出動はあって然りだと思っている。
けれどこの国の政治家は、人気や票欲しさに何か不都合や困ったことがあると「バラまけばいい」というお花畑な思考や政策で、企業や国民を茹でガエル状態にしてきたのだと思う(与野党ともがこういった発想というのも珍しい気がするけれど)。
甘い顔をしてそれを冗長させてきたのは政治であり、こんなことをしていれば遅かれ早かれゾンビ企業の増加が問題になるのは当然だけれど、それを善しとしてきたのも国民なんだな。
長い間、現実を直視せず、みんながみんな嫌われず居心地の良い政策、ぬるい環境を享受してきた。そんな茹でガエルと化した日本と日本人に世界から鉄鎚がくだされ、浦島太郎や「無限列車編(鬼滅の刃)」の炭治郎のように夢から覚めた。
そりゃ戸惑い、つらいことや痛いこともあるだろうし、多くの国民が今になってそのツケの大きさを痛感することになった。
まぁ世の中にはいろんな考え方の人がいるので、中には夢から覚めたくない、続きを見たいと二度寝しようとする人もいるけれど。
それでも誰かが損な役回りをやらねば、と考えられたであろう日銀・植田総裁は利上げの際、特攻するスレッガー中尉(ガンダムね)の名言よろしく、こう思われたんじゃないかな。
「悲しいけど、これ現実(戦争)なのよね」
そして、これまでは甘々な条件によって生きながらえてきたけれど、ついに倒れていくゾンビ企業と政府の関係は、ぼくに次のシーンを想起させた。
昨日、日銀・安達審議委員の「緩和続けながら利上げしていく」という記事が出ていた。
日銀が最も警戒しているリスクはやはりデフレに戻ることであり、そのため慎重な姿勢ではあるけれど、その政策方針が利上げであることには変わりない。
物価高騰や人材不足で中小零細企業の経営が圧迫される中、それでも政府は、もうこれまでのような過保護的な政策は採らないと思う。
そうであれば今後、特に中小零細企業が生き残るためには、賃金や金利が上がっても破綻することのないように財務基盤を強化するしかない。
現在、1ドル150円を超えている。
円安だし、インフレ要因なのは言わずもがなである。
つづく