「地獄でなぜ悪い」はなぜ悪いのか

※読む読まないは自己判断でお願いします。





私の頭の中、そして気持ちの整理をするために書き残します。決して、議論するつもりはありませんし、何が正しくて何が正しくないのかは分かりません。

12月23日、NHK紅白歌合戦で星野源さんが歌うのは「地獄でなぜ悪い」と発表された。NHK側からのオファーで、弾き語りで歌うということも併せて分かり、あまりにも予想外な選曲に思わず息を呑んだ。
この曲は、園子温氏の監督した映画「地獄でなぜ悪い」の主題歌として使われており、初めての「タイトルと同じ曲名の主題歌」となっている。同時に、源さん自身の病室での状況を表したものでもあり、まさに"地獄"を綴った歌である。

そんな曲を、紅白歌合戦という場で披露するということについて、様々な声があがっている。
まず私は、以下の2点について自分の考えが及ばなかったことを反省した。
①紅白歌合戦への興味関心が意外と高かった
近年、視聴率の低下や裏番組の充実、「〇〇が出ないから見ない」などといった意見も見聞きしており、正直なところ、国民の関心は薄いと思っていたしここまで批判されたり議論されるとは思っていなかった。
でもまあ、普段見ていない人の方が、批判をしているようにも思う。知らんけど。

②園子温氏が関わった作品で使われた曲を聞くと、被害を想起させる人がいる
確かにこれはあるかもしれない。ここに考えが及ばなかったのは、私の浅はかさ故。みんながみんなじゃなくても、その可能性がある。

そして、多く見受けられたご意見。
①楽曲を披露することが性加害を容認していることになる
②歌唱することで園子温氏が監督復帰の後押しをしたいのではないか
③星野源と、披露する楽曲を容認している人たちは性加害を容認している。またはなかったことにしようとしている
④騒ぎに便乗した人格否定、誹謗中傷

言葉は違えど、大体このような感じだと思う。
まず言いたいのは、ファンだからと言って盲信的になっている人はいないということ。それぞれが考え、表にその意見を出すか出さないかの違いで、沢山考えている。何も言わないのは性加害の容認だとか、そんなことを言う方がおかしい。
「選曲を喜ぶファンは、性加害によって自殺した人がいることを知らないのか」というポストも見かけた。知らないわけがない。先述の通り、曲や作品に触れることで被害を想起させてしまう場合があることに、深く考えが及ばなかったのは私であるが、知らないわけではないし、無かったことにしているわけではない。

次に上記①②③について。
あまりに脳直すぎんか、おい。なんでそうなるんだ、というのが率直な感想。これまでにも各フェスで何度も歌われてきたし…フェスってのはファン以外の客層もあるはず。そして、NHKの「おげんさんといっしょ」でも1度歌われた曲だ。この時にも…監督の性加害問題が明るみになった時にも、曲名すら話題とならなかったのに、なぜ今?とも思うが、それはやはり「紅白歌合戦」という場だからだろうか?

④については、ただ悪質なので法務部の方へ対応をお願いしたい。ここに関しては私は結構怒っている。「うちで踊ろう」を使用し、安倍元総理が動画を投稿した時もそうだ。何の根拠も無い話があちこちであがり、本当に腹が立った。本人が説明してもその人たちの耳にも、心にも聞こえていなかった。今回もそうだろう。なんと説明しても聞こうとしない人の耳には届かない。

そもそも、関わった曲だからという理由だけで「地獄でなぜ悪い」という楽曲に罪はあるのか?
もちろん「ない」でしょう。
他にも関連作品はあるし、この映画も爆発的ヒットをしているわけでもない。性加害のことを思わせるような歌詞があるわけでもない。
しかも「被害を想起させるから」等と述べているのは当事者ではなく、私の見た限りではおそらく第三者だ。外野がやいのやいの言ってるだけにも捉えられてしまう。
こんなこと言うと「当事者が言えないから代弁しているんだ!」なんて意見も来そうですが。それよりも、詳細に性加害について書かれたポストを見てしまい、そっちの方が当事者及び目撃した方にはつらいことを思い出させているのではないかと思った。

結局のところ、なぜ今この選曲なのかというのはNHK側に委ねられているので、ここで議論すべきではない。選曲理由、オファーを受けた源さん側については私たちが「歌うのをやめろ」なんて言う権利はないのは分かっているけれど、"今"披露することが正しいのか正しくないのかは分からない。でも、何かしらの考えがあってのオファーだろうし(決して性加害の肯定及び監督復帰の後押しではなく)、源さん側も考えはあると思う。

愛が足りない こんな馬鹿な世界になっても
まだ動く まだ生きている

源さんはコロナ禍の2020年の紅白歌合戦で、こう歌った。この世界に生きているのだから、選曲でこのような賛否両論起こることは予測していただろうし、その上でオファーも受けただろうしね。
見守ろうと思います。

なんかさ、正しいとか正しくないとかハッキリしないといけないこと多くて疲れるね。

最後にもう一度言うけど、これはただ起きていることに対しての私の感情を整理しただけで、否定も肯定も議論するつもりはありません。
でも、誰しも「好き」があるし、あなたの「嫌い」は誰かの「好き」なんです。どうか、そのことは頭の片隅にでも置いてほしい。

最後になりますが、源さんの活動が…生活がどうか穏やかでありますように。

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