樹 恒近

気まぐれ更新。池袋生まれの池袋育ち。読書人間かつ文章人間。見た目は健常者の内部障害で障…

樹 恒近

気まぐれ更新。池袋生まれの池袋育ち。読書人間かつ文章人間。見た目は健常者の内部障害で障害者手帳持ち。ウルトラ級の紆余曲折、経験を栄養にして文章書きしてます。物語こそ人生だ。

マガジン

  • トーストの表裏

    多くを考えずに、ただ書き連ねただけの駄文の極み。 役に立たないことは保証済み。保証書はついてません。

  • 読書記録

    個人的な読後連想の記録

  • 書くことにまつわる様々なこと

  • 断片小説集

    脈絡もなく浮かんだ小説の断片を集めました。ここから何かが始まるのか、このままでいるのかわからない、体裁も整えないままのレアな状態。断片だから研がれもせず、丸められもしないままの何かが現れているように思う。

  • 僕の聴いてきた音楽

    80年代の洋楽を中心に、自分を形作ってきた音楽についてのエッセイ

最近の記事

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最初のうちに書くことについて書いておく

最初に自己紹介を兼ねて「書くことについて」書いておこうと考えました。 猫が後ろ足で頭を搔くのにだって意味は(たぶん)あるのだから、なぜ書くのか、どう書くのかくらいは書いておこうと思います。 書き手がどのような人間なのか、最初にわかれば、読むかどうかを決める助けにもなるだろうし。 書き殴りの雑文や雑記がほぼすべてで、たまに、忘れていたかのように創作物を公開することもあるかもしれません。 基本的に日本語の文章は縦書きで読みたいと思っているので、「小説」と名前のつくものを公開する

    • 源氏物語、6度目の挑戦

      今年は大河ドラマで源氏物語の世界が描かれているのもあって、「この機会、逃してなるまじ」とばかりに源氏物語に再挑戦した。 「再挑戦」もタイトルのとおり、これで6回目である。 枕草子や平家物語はこれまでに何度か読み返しているというのに(それだけではなく徒然草も伊勢物語も梁塵秘抄も風姿花伝だってちゃんと読んでる。ちょっと自慢)、どういうわけか源氏物語は厚く高い壁であり続けた。 今回も6度目の挫折となりそうな瞬間は絶えずあったけれど、どうにか読み切って、これでこの世に思い残すことの

      • 不快感だけが残った今朝の夢見

        内容はまったく覚えていないのだが、未明に見た夢は不快感以外のすべてのものがきれいに切り落とされたような嫌なものだった。 目が覚めた瞬間、甘柿だと謀られて渋柿を目一杯頬張ってしまったような不快感だけがべっとりと張り付いていて、まだ夜が明ける前の暗い部屋の中で途方にくれた。 物事の好き嫌いがはっきりとしているせいなのか、時々、鍋で煮詰めて不快感だけを取り出したような、やたらと純度の高い悪夢を見ることがある。 誰かに追いかけられるとか、殺されるといった直接的な恐怖ではなくて、一人

        • やたらと完成度の高い夢

          僕はまだ二十歳そこそこの大学生で、家には両親と5つ違いの姉が暮らしている。 姉の上には長男の兄がいて、兄は転勤先の福岡からシンガポールへ異動になって、引越のために来月は家に戻ってくることになっている。 姉と僕は割に仲が良く——というより性格がとても似ていて、父方の祖父と伯母、そして僕ら姉弟の性格はあまりに似すぎていて、「これはもはや遺伝以外の何者でもないよね」と笑うしかないくらい似ている——思考する順序や発想が同じなので、話が早く進む。仲の良さはそうして心地よさによるものが大

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        記事

          『カフカ断片集』

          フランツ・カフカの遺稿——遺稿というよりもノートの隅などに書かれたメモのような類のようだが——を集めたものが新潮文庫から出ている。 僕には「カフカ=未完」みたいな公式めいた先入観があるのだが、さらに未完にも至らない断片を集めて出版して成立するんだろうか、とタイトルを目にしてまず思った。 商魂逞しいといえばその通りだし、出版不況と言われる中、食っていくためにはこんなことまでやっちゃうわけかと感心とげんなりが同時発生するような気分にもなった。 ところが読んでみると、これがなかなか

          『カフカ断片集』

          メタファーとしての孤高

          このところ浮世の芥にまみれて人やら仕事やらに精神も肉体も振り回されることが多くて、擦り減ったり、焦点が定まらなかったり、足元がおぼつかない毎日が続いている。 人の中にいることは決して嫌いではないのだが、どこでも誰でも構わずどっぷりと浸かるのは昔から苦手だ。 格好をつけて「和して同ぜず」なんて言ったりもするのだけれど、その実は単に自分の弱さをある程度理解しているがための防御反応なのだと思う。 人に塗れると弱くなる。 誰にでも言えることではないだろうが、僕には実によく当てはまる

          メタファーとしての孤高

          松岡正剛さんの逝去をきっかけに

          まったくもって情けないことなのだが、松岡正剛さんが亡くなったのを知ったのは、今月も10日を過ぎた頃のことだった。 世間的には松岡さんに対して編集者、著述家なんて肩書きが付けられているようだが、どれも妙に陳腐に思えて仕方がない。 関心を持つ領域が広大で、森のように深い人にはどんな肩書をつけても局所的にしか照らせていないことが丸わかりで、肩書きのつけようがないのかもしれない。 10代の頃、友達らと将来何になりたいか、と誰もがやりがちなありふれた話に興じている時、当時の僕は具体

          松岡正剛さんの逝去をきっかけに

          今朝の夢見

          こうしないとダメ、こうすべき、これが普通、こんなのを選ぶのは異常……とあれこれ注文を付けてくる女の鼻先に指を突きつけ「貴様の価値観を俺の人生に持ち込むな」と最強の語気で言い放つ夢を見た。 自分の有り様が露見しているような夢だったけれど、どうしてそんな夢を見たんだか。 そして相変わらずのハリネズミ体質らしい。

          今朝の夢見

          プロセスを愉しむ

          名のある仏師は一本の木を目の前にして、掘り出すべき仏の姿を目にすることができたと聞く。 見えたなら、あとは余計な部分を削ぎ落としていけば、やがて仏の姿だけが残る。 こうして一体の仏像が彫り上げられるというわけだ。 言わんとしていることは何となく判る気はする。 だが、名仏師のごとく最初から決着点、到達点が見えていることなど例外中の例外で、凡庸な自分には求めるべくもない。 手を動かして何かを作る時など(僕は日用大工からノートのリフィルまで、割といろいろなものを拵える趣味がある)

          プロセスを愉しむ

          ひどい夢見と、夢の分析

          かなり頻繁に夢を見る。 夢の典型のような支離滅裂な夢もあれば、2時間もののドラマのように不出来ながらちゃんと完結しているものまで、見る夢の様相はいろいろだ。 夜中に夢から覚めて、まだしっかりと記憶に残っていた時には、まれにメモを残すこともある。 状況や夢に出てきた人間、誰かが口にした言葉などを簡単に記しておくようにしているのだが、後から読み返すと書いておく必要があったのだろうかと思うことも少なくない。 元々が断片的で脈絡も生合成も最初から無視して出来上がっている夢をさらに断

          ひどい夢見と、夢の分析

          興味があるのは情景だけ

          年齢と体調と暑さのトリプルパンチで、日々のエネルギーは毎日夕方には空っぽ同然になる毎日。 それはそれで嫌でも嫌いでもないのだけれど、他に何もできない——日々のプラスアルファ、余禄、余白がゼロ同然というのはいささかキツい。 日によっては夕飯を作ることすら放り出してしまうほどの疲弊では何かを作ることなどできるはずもない。 できることと言ったら考え事ぐらいのものだ。 身体を動かすこともなく、じっと座って頭の中だけをひたすら動かすだけだから、毎日の残りエネルギーだけでもどうにかなる。

          興味があるのは情景だけ

          なるほど、ブレイキンというのは盛大に筋肉と体幹を使いまくった非言語の口喧嘩みたいなものなのだな。

          なるほど、ブレイキンというのは盛大に筋肉と体幹を使いまくった非言語の口喧嘩みたいなものなのだな。

          ポメラ、買うか、買わざるか

          ここ10日ほど、相も変わらずポメラを買うかどうかの逡巡を繰り返していた。 以前なら迷わず買ってしまったところなのだろうが、ポメラには勢いで買ってしまうのを踏み止まってしまう何かがある。迷いを払拭できずによろよろ、おろおろと決断できないまま今日に至っている。 「道具はすべからく手にフィットするべし」というのが信条だ。持った瞬間に「これだ!」と感じないものはどこかしらに問題が潜んでいる。これはもう理屈ではない。ただの直感だ。でもその直感は7〜8割の確率で的中する。 ポメラは優秀

          ポメラ、買うか、買わざるか

          ロートレック

          仕事を終えて駅まで歩いていく途中、週の終わりの開館時間延長中のそんぽ美術館へ立ち寄ってロートレック展を鑑賞。 ロートレックを画家と一括りにするのは昔からちょっとした違和感がある。 もちろん描くことは素晴らしく上手かったのだろうけれど、絵画というものに対する執着心、どろどろとした熱みたいなものが他の画家と比べると希薄な感じがして、いつも「この人は程度の良い趣味人だったんじゃないか」と感じることが多かった。 伝統のある伯爵家に生まれ、きっとそこそこちゃんとした教育を施された素地

          ロートレック

          誕生日

          七夕の今日は誕生日。 まったく自覚も実感もないが、なんと還暦なのである。 ミック・ジャガーが80歳超えてるのが信じられないのと似たり寄ったりの信じられなさだ。 子供の頃、7月といえばやっていた競泳のシーズン突入直後で、誕生日が特別な1日だったことなんて全然なかった。 お誕生会はもちろん、小学校も高学年になってからは合宿で家におらず、プレゼントをもらった覚えもない(きっと何かしらはもらっていたはずだが)。 そんなわけで年齢がひとつ増えることに妙な感慨があったのは19歳になった

          珈琲とコーヒー飲料

          ようやく創作期は終わったようで、このところは読書期に移行しつつある。 創作期の間は小説をまったく受け付けなくなっていたのが嘘のように、ここ1週間で小説を8冊読み終えた。 軽いものが混ざっていたのも確かだけれど(書店の売上に貢献著しい「成天」「成信」もこの1週間で読んだ中に入っている)、軽かろうが重かろうが、本来、楽しんで読めた小説にはどこかしら発見があるものだ。 そして今週読んだ小説から発見したものは打ち捨てられた金山から拾える砂金よりもさらに少なかった。 「新刊書店に行っ

          珈琲とコーヒー飲料