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あきのおさんぽ【ショートショート】600文字

さくさくさく。足元にはいろんな形の葉っぱが落ちている。
ちゃんと秋はきていて、そろそろ冬に季節を譲ろうとしている。

紅葉みっけ

お散歩はまぁ好きだ。天気の悪い日に行こうとは思わないけど。
レインコートを着てまで歩いているやつらもいるが、ぼくはそこまでしてお散歩に行きたいとは思わない。
だから、これからの時期は太ってしまう。
ごろんと横になると柔らかいものがぼくを包み込んでいる感じがする。
いいじゃん、暖かいんだから。今だけ今だけ。


見上げると

今日はお休みの日。車に乗っておでかけだ。
ずっと天気が悪くてお散歩に行けなかったので、科学博物館に併設されている広場を堪能する。
見上げると、橙色だいだいいろの葉をつけた大きな木がぼくを招いてくれる。
ようこそ。


真っ赤なじゅうたん

木々の間を歩いて行く。足の裏まで真っ赤になるんじゃないかなぁ。
暗がりはちょっと心細くなるけれど、木漏れ日を見つけてぼくは駆け寄る。
うん、暖かい。

まだたくさん

広場に戻ると大きな葉っぱが落ちていた。

どれぐらい大きいかって?
こどもの顔ぐらいあるよ

「そろそろ帰ろうか?」
お休みの日に、ほんわり暖かくてお日様が出ることなんて、春まであと何回あるんだろうか。
春になったらなったで、花粉との闘いもあるから、実はこの時期がお散歩していて一番楽しいのかもしれない。
さくさくさく。


神々しい

「また来ようね。アキ。」
もちろん!また助手席に乗せてね。
ワン!ワン!

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