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7.神々と星々①
太陽は東から昇り、西に沈みます。日が沈むと夜が訪れます。このサイクルからはだれも逃れられません。
邪教(サタン崇拝)の創始者は聖書にも出てくるニムロデで、今日までつづく秘教のテンプレをこしらえ、死んだ人間(ニムロデ)を神として崇めさせたのが、妻であり母であったセミラミスです。
ニムロデとセミラミス、息子のタンムズを核とし、神話の宇宙が膨張していくわけですが、ニムロデが占星術を重視したように、邪教の神々は惑星や星々と関連づけられていきます。
死にゆく神
社会人類学者のジェームズ・フレイザーは、大著『金枝篇』で、「死んで蘇る神」という神話の原型、アーキタイプをはじめて提唱しました。
「死にゆく神」のモチーフは、世界中の神話で見られます。冥界の神オシリスは遺体をバラバラにされてしまいますが、妻であり妹であるイシスの献身によって蘇ります。
ノアの子セムは(裁判によって)ニムロデを殺し、遺体をバラバラにし、みせしめに世界各地に送ります。
士師記にも、レビ人が妾をバラバラにしてイスラエルの部族に送ったというエピソードがあります。
神話が似ているのは単に元ネタが同じだからです。ちなみに殺されたのは、悪いことをしたからです。なぜか伝説としてありがたがられていますが、こういう天地をひっくり返す詐術を生み出したのも、自称月の女神セミラミスです。
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太陽神オシリスは優れた統治者で人気者。イシスは殺された夫を悲しみ遺体を探すも完全に復活させられず、(生まれ変わりとして)息子のホルスを育て、ホルスは成長し王になりました。めでたしめでたし。
これは、暴君が正義の鉄槌によって殺されたので、邪悪な妻が権力維持のためにどうにかしようとこしらえた設定です。単純な話です。
太陽は必ず東から昇ります。人の生を超越しています。目立ちますし、使わない手はありません。そこで、あれがニムロデだ、神になったのだ、とします。
でも実際は、死んだ人間は太陽のように東から昇れません。「生き返った設定」はさすがにだれも信じないでしょう。なので本人は冥界で暮らし、息子が夫の生まれ変わり、という設定にしたわけです。
すべては美しき母、女の愛によって、です。
これならなんとか騙せそうです。そうしたら次は、自分が天に昇って神になる番です。
神は次々と生まれていきます。文字どおり星の数ほどです。
イースターの起源
地球には一日のサイクルのほかに、季節というサイクルもあります。寒い冬は死、暖かい春は生、というイメージがすぐに思い浮かびます。
死にゆく神の神話は、この季節のサイクルが根底にあります。死にゆく神(ニムロデ)は太陽の象徴で、冬至(クリスマス)に死に、春分(イースター)に復活します。さらに夏至(聖ヨハネの日)や秋分(ハロウィン、万聖節、諸聖人の日)にもお祭りが行われます。
イースター、感謝祭は、イエス・キリストの復活を祝うお祭りとして現在も毎年行われていますが、実際はタンムズの復活を祝うお祭りです。
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セミラミスは生前、自分は卵になって月からユーフラテス川に落ちてきたのだ、と主張しました。春分後の最初の満月の日に起こったとされています。
その後太陽(ニムロデ)の力によって妊娠し、タンムズを産みます。
タンムズはウサギが大好きで、そのためウサギは神聖なものとされるようになりました。
親父と同じくタンムズも狩人でした。ヒョウやライオンを狩っていたのでしょうが、ある日突然、野生の豚に殺されてしまいました。
神の生まれ変わりがあっさり死んだのです。世界に与えた衝撃は大きかったことでしょう。
さらなる設定が必要になってきました。そこでセミラミス=イシュタルはどうしたかというと、タンムズは父の元に昇り、二人はロウソクやランプの炎の中でおまえたちと共にいるのだ、と宣言しました。ここでも愛や絆を利用します。
またセミラミスは、タンムズの命日の前の四十日間を、悲しみの期間として設定しました。
信者は胸の前で「T」の印を結びながら礼拝し、「T」の字や十字架のついた聖なるケーキを食べました。
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そして毎年、祝祭が行われるようになりました。日付は春分の日のあとの最初の満月のあとの最初の日曜日で、ウサギと卵で祝われました。信者は復讐のために豚を食べなければならないという命令もありました。
苦しい設定ですが、お祭りは楽しいものです。毎年繰り返されていくと、ルーツなどどうでもよくなります。
もちろんタンムズも、死にっぱなしでは太陽らしくないので、オシリスのように蘇ります。死んだ当時はいろいろ言い訳をしていたのでしょうが、百年二百年後の人間は、タンムズを知りません。
ですが神話は神秘的に受け継がれていきます。だからタンムズはたしかに冥界から脱出し、暖かな春の訪れのように蘇ったのです。絶対に蘇ったのです。
そしてイースターはローマ・カトリックによって取り込まれ、現在もタンムズを祝うためにつづいています。これをキリスト教徒に言わせると、「狡猾なサタンはこのようにしてわれわれを欺く」となります。サタン側からすると、「こいつらなんにも知らずに祝ってるぜ」というのが最高に愉快なのです。
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ちなみにバニーガールはセミラミスです。性欲を煽るだけならほかの衣装(ネコなど)でもいいはずですが、歴史的に意味があるので、オカルトの人たちはあえてウサギを選び、広めるわけです。
日本でもハロウィン
クリスマスもイエス・キリストの生誕ではなく、ニムロデの誕生を祝うお祭りです。クリスマスをXmasと書きますが、Xはニムロデを指します。
日本でもすっかり定着していますが、だれかが意図的に広めたからです。現在はハロウィンも定着させようとしています。その推し方にはかなり無理やり感を覚えます。
ハロウィンは死と魔術とオカルトを祝うお祭りで、サムハインと呼ばれていました。地上の次元と悪魔の領域を隔てるベールが最も薄くなるのが、サムハインの時期です。
惑星の周期によって強力なエネルギーがあらわれる時期なので、オカルトの人たちは悪い儀式を行うことでエネルギーを利用します。このエネルギーはいいことにも使えるようですが、だれもやらないだけです。
十月十三日から血とセックスの儀式が行われ、オシリスの復活を祝います。ユリウス・カエサルによると、サムハインでは小枝を組んで巨大な人の像をこしらえ、生きた人間を中に詰め込んで火をつけたのだそうです。
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ハロウィンの衣装は年々性的になっていき、アメリカでは三歳の女の子が性欲を煽る衣装でコスプレをさせられています。さすがに気づくのか、祝う人は減っているようです。
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