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_kei_
原稿用紙一枚分の物語 #1『じいちゃん』
じいちゃんが亡くなった。
ここ数年仕事に忙殺され、つい足が遠のいてしまってことを悔やんだ。
じいちゃんは私に、営んでいた駄菓子屋を置いて行った。
じいちゃんが、少し休めと言ってくれているようだったので、
田舎でゆっくり先のことでも考えるのもいいかと、
思い切って後を継ぐことにした。
ただ、これで婚期が遅れるのは間違いなかった。
客はほとんどが小学生。
だから彼らが学校に行っている間は、じつに閑散としている。
そんなある日のお昼過ぎ、
店の外に女の子が立って中の様子を伺っていた。
何だろうと、店を出て声をかけてみると、
「おばあちゃん、むかえにきたの?」
と尋ねてきた。
すぐにじいちゃんのことだなとわかった。
私が頷くと、
「やっと会えたんだね、良かったね」
と言って笑った。
そう考えると、じいちゃんの死も悲しいものではないのかなと、
ちょっと温かい気持ちになった。