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「原稿用紙一枚分の物語」#12 顔

その顔


「お前さ、それ止めてくんない?」

「オレ、何かしたか?」

「悩み事を一人で抱え込んでるよーな、憂鬱な顔」

「してるわけねーだろ」

「してるよ」

「してねーよ!」

「してたって!」

と、二人の押し問答が続く。

「例えしてたとして、何が悪ぃーんだよ!」

「いつもチャラけてるお前がそんな顔してたら、

 何があったか気になるじゃねーか!」

「じゃあ、話してやろうか! 話せば文句ねーんだろ⁉」

「聞きたくねーし! そもそもそんなこと言ってねーし!」

「じゃあ、どうすりゃいいってんだよっ!」

しばらく、二人の間に沈黙が流れた。

「お前のそんな顔、見たくねーんだよ」

ヒロシは哀しそうに、そう呟いた。

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