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せんだい演劇工房10-BOXで音響機材を体感!「音響機材を仕込んで遊ぶ会」レポート



開催趣旨


キーウィサウンドワークスの本儀さんおよび、宮本の発案で、「音響機材を仕込んで遊ぶ会」の第0回を2025年2月19日開催しました。

この会は、さまざまな音響機材を実際に触ってみる経験と音響について実験してみる機会を作ることで、音響技術者の知見を深めることを目的として活動しています。

  • 機材を仕込んでみたり

  • 普段触れない機材を試してみたり

  • 気になることを実験したり

  • キーウィサウンドワークスの機材を触ってみたり

など、実際に手を動かしながら音響機材について学べます。

「劇場で音響機材をどうやって使うのかわからない」
「音響機材はあるけど、使い方が不安」という方は、
ぜひこの会に参加してみてください!

本番前に

  • 音響プランを試してみたい!

  • 音響機材について本儀さんに相談したい!

という方も大歓迎です!

もちろん、本儀さんや宮本さんと直接お話したい方も、ぜひご参加ください!

イベントレポートについて

本レポートは当日参加できなかった人向けに
会の様子や実験したことについて触れられるようにと思い書いてみました。

主には音響初学者へ向けて、そして、宮本の学びのため(笑)
宮本と!参加者と!レポートをご覧いただいている方々の
知見を広げることを目指しています。(おこがましい笑。)

  • 音響のプランニングについての参考として

  • 演劇音響の考え方について

  • 音響以外のセクションで演劇に関わる人へ向けて普段音響さんがどんなことを考えてプラニングしているのか?

創作の糧になるような内容になれば幸いと思いレポートを拵えました。
今後開催の「音響機材を仕込んで遊ぶ会」の内容もレポートを作成しますのでぜひ、ご覧ください!

文章を書くのは大変なので、続かないかもしれませんが
2回続いたら…..
2年くらい続いたら褒めてください。

はじめに…

当日のホワイトボード

当日は、参加者同士のざっくばらんとした自己紹介からスタート。
宮本と本儀さんほか2名の参加がありました。

お茶を飲みながらそれぞれの参加者からヒアリングして
それぞれ参加者の本日のやりたいことをリストアップしました。

  • 劇場の機材を搬入してみる

  • box-5でカラオケを流して歌う際のモニタープランを実験してみる

  • 演劇でのデジタルミキサーの運用方法について聞いてみる

  • デジタルミキサーがなかった時は、どうやっていたのか?実際にやってみる。

  • マイクの違いを聴き比べてみる

  • スピーカーの違いを聴き比べてみる


①劇場の機材を搬入してみる


ゆるゆると劇場から機材を借りてきたり、本儀さんにお持ち込みいただいた機材を仕込んでみました。

・10-BOXの機材
EV Sx300 x4(スピーカー)
EV Sb122 x2(サブウーファー)
YAMAHA P3500 x2(パワーアンプ)
YAMAHA P2500 x1(パワーアンプ)
16chマルチ 1式(マイクケーブル)
SHURE SM57 スピーカースタンド x6(マイク)
標準ブームマイクスタンド x3(スタンド)
YAMAHA MG20XU (アナログミキサー)
ケーブル類ほぼすべて

・キーウィサウンドワークス機材
YAMAHA 01V96i(デジタルミキサー)
YAMAHA CBR12(スピーカー)
YAMAHA CHR10(スピーカー)
Martin Blackline X8(スピーカー)
YAMAHA S15(スピーカー)
BOSE 111AD(スピーカー)
Classic ProCube Mini(スピーカー)
YAMAHA VXSF3(スピーカー)
YAMAHA VXS1(スピーカー)
SHURE SM58S(マイク)
Sennheiser e845S(マイク)
Sennheiser e835S(マイク)
Sennheiser e945(マイク)
audio-technica AE6100(マイク)
MACKIE MDB-USB(オーディオインターフェース)
Ableton Live(DAWソフト)

・そのほか持ってきてはいただいたが、使わなかっり、さらっとしか触れる時間がなかった、キーウィサウンドワークスさんの機材
BEHRINGER X-Touch(コントローラー)
KORG nanoKONTROL Studio(MIDIコントローラー)
audio-technica Studio Pro42(バウンダリーマイク)
Midas M32R Live(デジタルミキサー)
RME Fireface UC (オーディオインターフェース)

・そのほか参加者からのお持ち込み
 SHURE Beta 58(マイク)

会場の仕込みの様子

Sx300とSb122を奥LRに立て、CBR12、CHR10、Blackline X8などのスピーカーと演劇などで仕込む小さいスピーカー達を1回線ずつ繋ぎました。
アンプ、マルチ、01V96i、を仕込み、
卓内のパッチをし、ピンクノイズで回線チェック。


②box-5でカラオケを流して歌う際のモニタープランを試行してみる


box-5を会場として予定している演劇公演にて、
カラオケを流して歌うシーンがある。会場が狭い会場なのでモニタースピーカーを仕込むかどうか現在検討している。
実際に仕込んでみてモニターがあったほうが良いのか検討したい。
また、サブウーファーを入れたいが、舞台上に置くスペースがなさそうなので良いアイディアはないか?

01V96iとPCを繋いで卓内のパッチをし、Ableton Liveにカラオケデータを入れ、再生。

本儀さんの提案で、Sx300 1ペアをサイドモニターとして使用。さらにパラレル接続でSb122に接続。さらにSb122にSx300をスタックして、モニターの位置のパターンを試してみる。(下記図1を参照)

図1)最初のプラン

「舞台奥の方は音が届きにくいかな?」
「角度を調整すれば、もっと音が届くかも!」
等試行錯誤を行い、最終的には以下のような配置を試しました。
Sb122を客席側に向けて、
SX300を客席側から舞台奥に向けてモニターを動かしました。
パラレル接続は仕込みの都合でパラレル接続にしたので、メインから回線を取っても良いですし、別でアンプを仕込んで回路をもらうでも良さそうです!(下記図2を参照)

図2)改良したプラン

③演劇でのデジタルミキサーの運用方法について聞いてみる

ここからは私の質問なので大分、ボリューミーになります。
デジタルミキサーのお芝居の時の運用方法方法を本儀さんに聞いてみました。
お芝居での使い方の一番の特徴として『マルチトラックの出力』(一つのPCで複数のトラックを出力する。)があると思います。

1つのPC、タブレット端末には通常、1つのイヤホンジャックがあります。通常はイヤホンジャックにイヤホンを刺して音楽を聞いたり、ミキサーに入れてBGMを再生します。

しかしながら、お芝居ではあっちのスピーカーからこの音、あそこのスピーカーからはあの音など音を出すことがありますので、イヤホンジャックが一つだと不便ですよね。

最悪、出したい音の位置(定位)のイメージ分タブレットやPCを用意したり….

で、音響さんはどうしているのか?というと
1つのPCでマルチトラックに対応しているインターフェース(ここでいう01V96iや下記に紹介しているGIGAPORT eXなど)を通じて、さまざまなアウトプットを出しています。

イヤホンジャック的なものが複数に分岐できる機材をPCに接続して、
複数のフェーダーでそれぞれから出したい音を出すような形。

さらに本番中のデジタルミキサーの運用に関して
本儀さん曰く
『01V96iならカスタムフェーダー(インプット、アウトプット、エフェクトへの送り、などをフェーダーに割り当てられる)機能があるので、本番中はその機能で運用することが多い。
PCの再生ソフトAblton LIVEで出したい音の位置(定位)ごとにトラックを設けて、そのトラックをデジタルミキサーのフェーダーに割り当てている。
芝居のタイミングに合わせて、デジタルミキサーのフェーダーで操作したりしている。

また、そのようなデジタルミキサーがなくてもAblton LIVEの機能でオートメーションを組んだり、LIVE内部でセンド・リターンを使って定位を決めたり、あるいはPCにX TouchなどのフェーダーのあるMIDIコントローラを接続して、LIVEのトラックのフェーダーを操作することもできる。』とのこと

デジタルミキサーの使い方は何となく知ってはいたが、具体的にどうやっているのか?また、実際の経験では後者のやり方しか知らなかったため、大変勉強になった。

さらに、後者の、Ablton LIVEのフェーダーを操作したり音像のバランスをとる場合では

  • Abloton LIVEで行う処理が多くなると負荷が大きくなり、処理によりフリーズなどの危険性が高まる。外の機材に委託できるとこは任せた方が良さそう。

  • ミキサーを介さず、オーディオインターフェースから直接アンプ繋ぐということもできるのど、仕込みバラシの時間、劇場の条件とプランによっては有効そう

など実務的なことの話も聞けて、よだれが出た。


④デジタルミキサーがなかった時は
どうやっていたのか?実際にやってみる。


話を聞いてデジタルミキサーの偉大さに、顎が外れた。
しかしながら、ふと…
「アナログしかなかった時はどうやって…音の出しわけをしていたのだろう…」
さらに「大学生や高校生など学校の機材など身の回りの機材がアナログのものが多い場合はどうしたら…再現できるんだろう…」
と思ったため、質問してみた。

10-BOXの機材であるYAMAHA MG20XUを使って、本儀さんに当時のプランを再現していただくことに(下記図3を参照)

図3)MDやCDおよびアナログミキサーしかなかった時の演劇結線の図

と、セッティングいただいた例としては図3の通り

これなら、舞台奥側に音像を置きたいとき
2台のCDを同時再生ボタンを押して4本のフェーダーをいじらずに済みそうです!(指の本数が足りないのではないか…)
また、同時に仕込みスピーカーのEQもミキサーのEQでいじれるので汎用性が高さそう!

また、話しながら
現在の高校や大学の演劇の設備的にアナログ環境しかないということもあるのでこのようなプランなら演劇音響をもう少し楽にできるのではないかと考えました。


⑤マイクの違いを聴き比べてみる


  • SHURE SM58S

  • Sennheiser e845S

  • Sennheiser e835S

の違いを聞き比べてみました。
スイッチノイズ(マイクの手元スイッチを切る時に出るノイズ)が巷で話題になっています。Sennheiser系はSHURE SM58Sに比べてスイッチノイズが小さいらしく、スイッチノイズが気になる現場ではSennheiser系の方を使うと良いでは?という内容であった。

実際にスイッチをON・OFFしてみた。
聞いてみた結論として….
小さいちゃ小さいけど…どちらも鳴りはします。』という感じ..
確かに、小さいちゃ小さいけど、気になる時は気になるよね。。。

続いて、ついでにe845Sとe835Sの指向性を比べてみました。
e845Sはスーパーカーディオイドなので、口元から離れると
音の減衰が大きいことがわかりました。

マイクの扱いに慣れていない方々にはe835Sが良いのかもという結論。

上記の実験から、
袖中などで使う際はスィッチ音をできるだけ小さくしたい場合はSennheiser系で、使う人の経験に応じてマイクを選択した方が良さそうだという結論。(主観です。)


⑥スピーカーの違いを聴き比べてみる


以下のスピーカーを聞き比べてみました。
感想は宮本の主観です。

YAMAHA CBR12

重量がサイズの割に軽い、真ん中より下あたりにモヤモヤする部分がある。広域は素直な感じ
軽さとトレードオフでモヤモヤもしている部分がある(本儀さん)

YAMAHA CHR10

エンクロージャーのおかげかCBRより重量感があり、まとまりがある音(宮本)
YAMAHAがNEXOを買収した後に発売したスピーカー。NEXOらしさも感じる。(本儀)

Blackline X8

8インチなのがびっくりするくらいの音量感とスッキリ感。(宮本)
上品な音(本儀)

Classic Pro Cube Mini

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/352819/?srsltid=AfmBOorqtrv3Ra34Fc4hL_Mc85hRa8I_DIkyKs_Ust2emItoCqYvilFn

高音域が持ち上がっている。低音はあまり….だが…高音域を少しどうにかすれば汎用性の高いスピーカー

BOSE 111AD
101と通じるBOSEぽい音….101とどう違うのか?今後比べてみたい

YAMAHA S15
BOSE 101と同クラスのサイズ感で、競合したせいかあまり数を見ないとのこと。
111ADと比べて、ドンドンチャチャという感じではなく、ナチュラルに聞けるまとまり感のある音でした。


以上2月19日(水曜)15:00~20:00で開催した
「音響機材を仕込んで遊ぶ会」についてのレポートでした。

次回のお知らせ


次回開催は3月29日(水曜)15:00~21:00
会場はせんだい演劇工房10-BOX box-5です。

<お申し込みは以下より>

<音響機材を仕込んで遊ぶ会の情報についてはこちら>
https://chisel-larch-c9c.notion.site/1a0ca4fe14f380d1a859e2be50be078b?pvs=4

皆様のご参加お待ちしております〜!

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