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色彩検定3級の取得と、お絵描きについて

こんにちは、イツキです。
デジタルやアナログでお絵描きを愉しむ方の中には、いつか絵画に関連する資格を取ってみたい…と思っている方も多いのではないでしょうか。

色彩検定3級を取得した動機や理由と、資格取得で得られること、勉強の仕方などについて、まとめていきたいと思います。


資格取得を目指した理由

まず、自分語りで恐縮ですが、色彩検定を目指した理由をお話ししようと思います。
3級については、合格難易度が高くありません。そのためお読みくださる皆さんのご興味も、取得のための勉強方法より、取得の動機や効果…「なぜ取得しようと思ったのか」「資格取得は役に立つのか」…に興味があるのではないか、と思っています。

動機や理由をあらためて考えてみると、とても複合的です。
大きく分けて、この二つが挙げられます。
①職歴を強化するため
②お絵描き・色に関するスキルを伸ばすため

①職歴を強化するため

私は、長年広告宣伝畑で仕事をしてきましたが、絵に関する資格は持っていませんでした。資格が仕事の業績に直結するわけではないからです。そして、今更体系的に学ばなくても、何となくコツを掴んで仕事が回っていたので、必要に迫られませんでした。勉強と仕事は、学びどころが少し違うんですね。
ただ、どの業界もそうですが、今は仕事の在り方が大きく変化しています。特に広告媒体の情報拡散の手段や、そのクリエイティブの創り方は、劇的に変わりました。銀盤や写植が世の中から消えたように、Photoshopやillustratorでのデザイン制作の技術もいずれ過去の技術になるのだと思います。
変化の中で私の会社も経営の雲行きが怪しく、どの業界も昔の仕事の仕方を変える過渡期に来ていると感じています。

そこで、転職や起業ができるよう、新しい技術を学んだり、これまでの知識を学び直しています。そうすると、これまで感覚でしか理解していなかった基本の色の在り方を再確認したほうがいいな、と思うようになりました。仕事が回っているうちは学ぼうとは思わないのですが、学び始めると知らないことが多いことに気が付き、驚きました。
今後、技術の変遷によりデザインに関する仕事方法・技術を一から再構築する必要が発生するような場合、いちど基本に立ち戻ることが必要です。何となく仕事をしていると「なんとなくできてしまう」ものですが、それは既存の仕事を慣れで回せるようになっただけであって、原理原則を根本的に理解しているわけではありません。また、それは本質的な意味で仕事ができるわけでも無いのです。
やり方そのものが変わろうとしている時、原理原則が分かっていないと顧客に自信をもって提案できません。そして「知っている」ということは簡単ですが、学んだという事を対外的に証明してくれるのは資格しか手段がありません。

②お絵描き・色に関するスキルを伸ばすため

さて、そのように転職・起業も視野に入れて学び直しをしています。職業選択肢として、絵を描く側になる可能性を広げたいという期待もあります。
これまで私のお絵描きといえば、モノクロの漫画がほとんどです(コミックスにも載せていただきました、嬉しかったなあ)。昔の漫画がモノクロだったのは、雑誌書籍を安く印刷するためです。ただ昨今はスマホ閲覧を前提としカラー漫画も一般的ですので、配色のセンスも欲しいと感じるようになりました。
それに漫画は複合的なスキルを束ね尖らせて創作する総合作品ですから、よりどころとなるスキルはひとつでも磨いておきたい思いが強くなりました。

まず色への感度を高めようと思い、できるだけ絵具に触れるようになりました。そこで水彩画を再開し、ここ何年かは、色を自分で作ろうと考えハンドメイドの透明水彩絵具も練っています。練り始めて数年が立ち、少しずつおすそ分け販売をするようになりました。思いがけず、練った絵具が作家さんの水彩作品に役立てていただけるようになりました。これまで自分のスキルを磨くことばかりに注力してきた私にとって、作家活動のお役に立てるということは、望外の喜びであり、新しい気づきになりました
絵具を練るほどに、もっとお絵描きに活かしやすい実践的で役立つ色を練り上げたい!という思いが強くなりました。そして色に詳しくなって、自信をもって色提案ができるようになりたいとも感じるようになりました。
顔料に関する様々な書籍を読み漁り、色彩検定の受験を考えるようになりました。

このように理由を探すと、目的も理由も複合的です。趣味のためか仕事のためか、自分のためか人のためか、様々な要素が絡み合って動機を織りなしています。ひとつひとつの動機は学び始めるに十分ではありませんが、寄り集めていくうちに、「まずは3級で手慣らしをし、やるからには1級を取ろう」という気持ちになってきました。
よく「資格を取得しても意味がない」という言葉を耳にします。資格はあくまでも第三者からのお墨付きに過ぎないし、業務にすぐ活かせるという類のものでもないので、実際的ではないからです。
ただ、現実的には、とくにフリーランスや肩書商売にとっては、「第三者からのお墨付きが必要な場面」がたくさんあります。また、業務にすぐ役立つことができるスキルはOJTで学んでいく類のもので、勉強というものは裾野が広くあるべきだろうとも思っています。専門性が高まるほど、業務への即時的に役立つのですが、それが不要になった時(このご時世ではその可能性も高いのです)、まるごと役立たなくなるリスクもあるのです。
また、私もそこそこ職業人として長いので、この資格をとったからといって(どの資格であろうとも)、取得して一生安泰だという考えが、そもそもありません。
職能とは、積み木のように様々なピースを積み重ねて築き上げるもので、この検定もピースのひとつに過ぎないと理解しています。

ハンドメイド絵具を練り上げる世界観を広げて、作家さんの役に立ちたい気持ちが1番強かったかも知れません。

色彩検定3級の勉強方法について

色彩検定3級の難易度

色彩検定3級は、あまたの資格試験の中でも簡単な部類に属し、資格偏差値でいえば40程度です。これは、適切に学ぶ努力を行うことで、多くの人が取得を目指せる数値です。
一部に、光学に関するやや科学的な話が含まれるので、根っからの文系の方や、これまであまり科学に親しみが持てなかった方は、苦手意識を感じるかもしれません。
ただ、この記事をお読みくださっているみなさんはお絵描き畑の方が多いはずで、そのような方は学びの中で「知ってる知ってる、めちゃめちゃたのしい」「これはしらんかった、目からうろこ」「やってみたくなる配色」「知らんけどファッションもなんか楽しそう」「知らんけど建築も面白そう」「インテリアにも凝ってみたくなった」という感想を抱くでしょうし、色に対する萌えの詰まった楽しい勉強になるのではないかと思います。得た知識で今日のお絵描きをどう配色していくか妄想を膨らませながら楽しく読むのが、楽しみながら目指すコツだと思います。

色彩検定3級に必要な教材


教材は「公式テキスト」があれば、合格することが可能です。

A4サイズ・カバー付きの公式テキスト



購入を迷うのは、安くはない「新配色カード」を購入するかどうか…!?ではないかと思います。


新配色カード。一級二次試験で配布されるので、購入したカードと合わせて2冊持っています。



1円でも節約して合格したい!というのであれば、確かに購入しなくても無理ではないかな、と思います。
ただ公式テキストでは習った配色を実際にカラーカードで配色してみる設問がありますので、10人中9人には購入をオススメする資料です。買わせようとする公式のマネー作戦が見え見えでチョット悔しいのですが…色に親しむのがこの資格の特徴ですので、カラーカードを眺め配色を考えるクセを身に付けるのは有用です。
また、今後2級1級と学び進めていくのなら…とくに1級を目指す場合は、絶対必要になってきます。(余談ですが1級合格者の中には配色カードを20冊購入したという方もいました…1冊で十分だと思いますが、とにかく、あらまほしき素材ではあります。ご参考まで!)

色彩検定3級の勉強時間・勉強方法

概ね一か月程度の期間があれば必要十分であり、さらに満点を狙うのでなければ、2週間程度で10回通り読みこなせばなんとかなるかと思います。

資格試験や勉強といった事柄から遠ざかっていた、勉強の習慣がない、読書そのものに不安がある、本を読みなれるところから始めたい、という方は、もう半月ほど猶予があってもいいと思います。

テキストには様々な内容が網羅されており、「苦手」と感じる内容が多ければ時間がかかる可能性があります。
概ね、これまでお絵描き畑にいらっしゃったみなさんは「色彩心理」「色彩調和」「配色イメージ」「慣用色名」あたりはもう、脳汁がたぎるほど楽しく学ぶことができるのではないかと思います。
ただ、「ファッション」「インテリア」の分野は、お絵描き畑の人にとっては今すぐ必要な知識ではないことが多く、多少好みが分かれることと思います。周辺の情報を得ることで知見を広げよう、楽しく習得しよう、という気持ちで読み込むといいですね。
苦手な方が多そうな分野は「光の性質」「目の仕組み」「照明」といった、科学・生物・光学といった理系的な内容ではないかな、と思います。ただし3級ではこれらの配分が多くなく(級が上がるごとにどんどん理系的になってきます)、「お絵描きたのしい」「色がきれい」という感覚を活かしながら、それでいて苦手な項目は最低限の出題量で学びとることができます。

また、色彩検定のメールマガジンを登録しておくと、関連した情報が定期的に届きます。これが、そこはかとなく学びに繋がります。絶対に登録しておきましょう。

さらに、色彩検定の公式サイトには過去問題が数問掲載されています。案外難しいのが「配色」で、これは教科書丸暗記スタイルでは解題できません。色相・明度・彩度の定義をちゃんと覚えたつもりでも、いざ配色4択問題がでてくると、理論ではなくて「それっぽさ」で選択して間違えてしまいがちです。ともかくこの色彩検定の配色問題系は「それっぽさ」で選んではいけません。絵心がある人ほど配色センスがあるので感覚的に「それっぽさ」で選ぼうとしますが、この色彩検定は、まったく「生来のセンスを問われない」ところが特徴です。色彩理論を学び、その理論を理解できたか・実践できるかどうかが問われているのです。よって「理論通りに解題すること」「感覚で選択してはいけないこと」が大切です。もう一度言います。お絵描きさんが気を付けるべきことは「感覚に頼らないこと」です。

そして、過去問題集は、3級はまず買わなくていいと思います。(というか1級の1次試験までは不要だと考えています。)
公式テキストを見て難しさを感じたら、購入を検討してみるのでいかがでしょうか。

色彩検定3級の出題形式

マークシート形式で出題されます。
手元に、受験票、時計、筆記用具、身分証を置き、問題の解をマークシートに記入するスタイルです。問題用紙は持ち帰ることができます。
筆記用具は、鉛筆など、塗りつぶしがしやすいものがいいですね。尚デザイン・デッサン畑の人は鉛筆はないが木炭ならある…という方もいると思いますが、美大受験ではありませんので、木炭と食パンは絶対いけません
受験地は、都内だと、池袋の立教大学で受験するケースが多いと思います。
おしゃれなキャンパスですので、受験会場自体をも楽しむつもりで挑むと良いかもしれません。帰りはパルコ上の世界堂に立ち寄って、セヌリエの1本でも買って帰りましょう。

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