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5/10 はりついた背中


考えなければならない。いつまでも、眠っているわけにはいかない。
2ヶ月も前から、敷いた布団を背に貼り付けているかのようだ。
昔のことと、死んでしまったことを考えなければならない。
朗らかな陽の光をガラス越しに見るみたいに
それは、まるで、
死んでから人をシバルその優しさは尚も
冷たく濡れた刃みたいに
さして
メロンの熟れた内部をくりぬいたぬめりに自身をみて
なんだかいやになった
だから嫌い
あぁ
はやく死んだら良い命が 彼を産んでくれたらなあ
そうしたら、なんだって食べるのに
瓜だっていいよ。でもあのつぶつぶが嫌
生命ぶっちゃって、嫌い。
いつもあの塀の上にいる野良猫
昨晩、あの女に殺されたって聞いたよ
どうしても急行にのりたいからって
階段を駆け下りた先にいつもいる
あの大きなおおきなおじいさん
あいつが犯人だと思っていたのになあ
ああ
通り過ぎるたびに背中にぶつけられた声
うっとうしかった、本当に
どうしろっていうの
夜のまにまにホテルにいって、そのまま
誰かに逢いにいったつもりだったのに
だって
生命ぶっちゃって本当、嫌い
どこかいって
もういなくなって
死んでよ 私はここにいるから
—————
恥ずかしい過去も乏しい言葉も他者になって、また私に返ってくる。
返ってくるといいよね。


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