欧州にはジプシーと呼ばれる民族がいる
僕は元々写真の仕事をしていて、国内外の有名な写真家たちの写真集を手当たり次第読み漁っていた時期があったのだけども、その中でも一番グッとくる写真集がジョセフ・クーデルカという写真家の”ジプシー”という写真集だ。
他にも、彼の作品には数々の名作があって、”エグザイル(放浪者)”という写真集もとても有名で秀逸な写真集だけど、自分の中では”ジプシー”が一番グッとくる。
写真集なんてものは、恐らく日本人であれば、写真に関わってことがない人であればグラビアの写真集しか思い浮かばないだろうと思うのだけど、”写真”というものの全てが詰まっている結晶の様なものなので是非一度見てみて欲しい。
この写真集”ジプシー”なのだけど、具体的な中身はヨーロッパで生活するジプシーたちと生活を共にし、彼らの生活感に溢れた中で切り取られるポートレートが中心の写真集だ。
なぜ自分にとってグッとくるのか、というと音楽でいうビートルズのアルバムの様なもので、この写真集で今日の写真の全てが既にここに収められてしまっている、と僕にとっては思う。それくらい珠玉の写真たちが集まっている。
またジプシーという、ある種特殊な民族の中に入り込み、馴染むことができるクーデルカ自身の人間的魅力も計り知れない。
そんな”ジプシー”たちなのだけど、最近東欧の国ブルガリアに滞在していて彼ら(ここでロマ族と呼ばれる)と出くわす機会何度かあったので、書いてみる。
ヨーロッパのスリ事情とジプシー
ヨーロッパは、スリが非常に多い。ジーパンの後ろポケットや、上着のポケットに財布など入れておこうものなら簡単に抜かれる。カバンのポケットに入れていても、ガサガサ当たられて、気がついたらない、、みたいなことも多い。
大概狙われるのは観光客です。
そのスリ、一体誰が主体で行なっているのかといえば、ジプシーの方達らしい。しかも子供がおもで、とってきたお金は全て集団に持って帰るらしい。
もしとってこれないと、親たちに怒られる、という何とも厳しいシステム。つまり彼ら子供達にとってはある意味仕事の様なものだと言える。
ヨーロッパは危ない、危険、とかいうのは正直当たっていると思うのだけど、本当に危険なことをしてくるのは、彼らではなくもう少しイカツイ人たちで、ジプシーたちとはまた違う別の人らしい。
色々と日本では考えられないですよね、、
ブルガリアで遭遇したジプシー
駅で急に話しかけてくる少年がいた、ブルガリア語が全くわからないので” sorry”といって、その場をかわそうとすると"ENGlish?"といって、"give me 1 lev"(levは通貨)と恐ろしいほど真っ直ぐな瞳で訴えてくる。
あまりにも真っ直ぐな目で見てくるのでちょっと心が揺れるだけど、基本的にはこういうのは渡さないスタイルなので、何とかsorryと言ってしのいだ。
もう一つ、airbnbで部屋を借りているのだけど、窓をトントンと叩いてくるので、外に出ると、少年が二人、窓掃除用の長い棒とバケツを持ってこちらに向かって何か言っている。 ”sorry”というと、なぜか"Italian?"とか言ってイタリア語でまくし立ててくる。"English okay?"と聞くと、やっと英語で対応してくれる。
窓を拭いてやるから、お金をくれと言ってくる。自分の家ならまだしも、借りている家だし、掃除もしてもらった直後だったので、いらないというと"1lev ,coffee"と言ってねだってくる。
子供だし、またしてもちょっと心が揺らいだのだけど、耐える。
それにしても生の学習をしているせいか、何回聞いてもよくわからないブルガリア語と、イタリア語に英語、、全てこなせるのかあ、、日本で3ヶ国語話せると言ったらちょっと一目置かれるぐらいなのになあ、とふと思う。
価値観も生き方も、日本人からすると全く違った生き方をする彼ら。
単純に考えると、日本人て恵まれているなあ、日本人の子供も日本に生まれただけでラッキーだよなあ、と思うのだけど、幸せの基準も物の価値もきっと全く違うものなので一概に判別することができない何か変な感覚になりますね。
山奥に住む少数民族の生き方と、我々の生き方が比べられない様に。。
世界はやっぱり面白いです。
正直なところジプシーについて僕自身よくわかっていないことも多いので、ぜひ気になった方は調べてみてください。
今はブルガリアの首都ソフィアという場所に滞在しております。
今週末に第2の都市プロブディフに移動する予定です。