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ノルウェーの診察ってどんな感じ?ファストレーゲに行ってみた

Hei, alle sammen! まいど、さっちゃんです。

本日はノルウェーで診察を受けた話です。医療の話って興味が分かれますが、今回はノルウェーの診察体験を面白く&わかりやすくお届けします。

ノルウェーのかかりつけ医制度

ブログタイトルから早速、聞き慣れない言葉が登場していますが、ファストレーゲ(Fastlege)とは、ノルウェー語で『かかりつけ医制度』のこと。

ノルウェーには国民一人ひとりにかかりつけ医(以下、ファストレーゲ)が割り当てられています。体調が悪くなったら、どんな症状でもまずは自分のファストレーゲへ。日本みたいに症状に応じて病院を選ぶことはできません。

なので、
風邪を引いた!→内科?→いえ、ファストレーゲ
骨折したかも!→整形外科?→いえ、ファストレーゲ
肌荒れがひどい!→皮膚科?→いえ、ファストレーゲ
精神的にダウン!→メンタルクリニック?→いえ、ファストレーゲ

いやいや、そんな全部診れるお医者さんなんておるんかよ!って感じなんですが、ファストレーゲってノルウェーでなんでも診てくれる総合的なクリニックのような存在です。ある意味すごい(笑)

ノルウェーに住む外国人も同じ。私もビザが下りたタイミングで、家の近くの診療所のお医者さんが自動的に自分のファストレーゲになりました。

ちなみにこのファストレーゲ、もし自分に合わないと感じた場合や引っ越しなどの場合には、変更手続きをすることができます。

何を診てもらったの?

今回診てもらったのは、肌荒れ。私は昔から皮膚が敏感で、日本でも皮膚科にお世話になってました。ビザが下りるまでは「まぁ、なんとかなるか…」と耐えていたんです。が、最近の肌荒れがそろそろキツい!特にやばかったのが 手と背中

手は母指球(親指の付け根の下)がガサガサで、痒みが半端ない。かきむしりたいけど、かいたら悪化する無限ループ。背中には湿疹のような赤いぽつぽつができ、下着が擦れるたびに痛い。地味にストレス。どちらも保湿を頑張っても良くならず、 「もうあかん!!」 となって診てもらうことにしました。

(ちなみに、ビザが下りる前、メンタル面で限界を迎えて自己負担で精神科へ行った話はこちら

予約から診察、薬の処方まで

ネット予約もできるけど、私は電話で予約しました。そして迎えた診察当日、家の近くの診療所へ。まだノルウェー語で症状を伝えるのは心もとないので、通訳として夫も同行。待合室でドキドキしながら待っていると、名前を呼ばれて診察室へ。出てきたのは、めちゃくちゃ優しそうなおじさま先生!

問題の手と背中を診てもらったところ、「これは慢性的な状態になってるね」とのこと。皮膚を柔らかくするクリーム2種類とかゆみ止めの錠剤を処方してもらいました。診察自体はサクッと5分くらい。でも、先生は初対面の私に親しみを持ってくれたのか、そこから雑談タイムがスタート。

「いつからノルウェーに住んでるの?」
「大丈夫。ノルウェー語、これからどんどん上手になるよ!」
「日本って本当に素敵な国らしいね! 君みたいに礼儀正しい人がたくさんいるんでしょ?(私:はい、おります)」

え、やっば、ポジティブの神様なん???肌診てもらいに来ただけやのにメンタルまで回復していくんやけど!??

といった具合で、泣くほど嬉しいことを言い続けてくれる紳士でした。もう帰る頃には気分ぶちあがりです。

その後、処方箋を発行してもらい薬局へ。ここは日本と同じですね。ちなみにノルウェーの処方箋には2種類あります。
普通の処方箋(hvit resept) → 一回きりのもの
青い処方箋(blå resept) → 慢性疾患用で1年間有効(薬がなくなっても薬局に行けば補充できる)

今回、私はありがたく青い処方箋で薬をもらいました。助かる~泣

Apotek(アポテーク):薬剤師が常駐しており、医師の処方箋が必要な薬を受け取れる薬局。ノルウェーは電子処方箋なので名前と身分証明書を提示すればOK。市販薬も販売している。

ファストレーゲも一長一短

さて、そんな素晴らしいファストレーゲに出会えた私ですが、月曜に予約→金曜に診察。そう、そんなすぐには診てもらえないのがファストレーゲです。

ファストレーゲの良いところ

最大のメリットは、医療が手軽でアクセスしやすい点です。住まいからなるべく近い診療所のお医者さんがファストレーゲとして登録され、予約もネットや電話で簡単にできます。

すべての住民に平等に提供される医療サービスなので、医療格差が少ないのも特徴です。経済的に困難な状況の人でも、適切な医療を受けることができるので、医療の公平性という点ではとても良いと思います。

ファストレーゲの問題点

デメリットは、混雑と待機時間が発生すること。人口が多い地域では予約が取りづらく、急な症状に対応してもらうには時間がかかることもあります。

また、ファストレーゲは基本的に一般的な診療を担当するので、専門的な治療や手術が必要な場合は専門医への紹介状が必要です。

そして、緊急を要する病気や事故には対応していないので、そういう時は救急外来へ直接向かいます。

といった感じなので、ノルウェー人は風邪ごときでは病院へは行かないそう。診てもらえる頃にはもう治ってるかもやん、ってことです(笑)

ノルウェーの医療制度、無料ってほんと?

「北欧は医療が無料!」と聞いたことある人も多いかもしれません。でも実際、一般診察は診察費も薬代もかかります。

例えば、今回の診察は
・診察費 179kr(約2,400円)
・薬代 220kr(約3,000円)
で、合計400kr(約5,400円)ほどかかっています。

なんや、無料ちゃうやん!金かかるんかいな!十分高いやんけ!と突っ込みたくなるところですが、重度の治療や手術、入院は無料です。また、年間の自己負担額が一定額を超えると、一般診察であってもそれ以降は無料。つまり、完全無料というより、『みんなで負担を分け合ってる』感じですね。

ちなみに今回処方してもらった薬(3種類で計3,000円)はノルウェーの物価で考えるとかなり安いです。これももちろん一部負担の金額です。そのほか、妊娠・出産にかかる医療費も基本的に無料です。

処方された薬。ボトルは500gのクリーム、黄色の箱は100gのクリーム、ピンクの箱は100錠入りの錠剤。なんとも大容量である。

ノルウェーは高い税金や社会保険料を払い、そのお金で医療・教育・福祉を支えています。つまり、『みんなでお金を出し合って、必要な人が無料で使える仕組み』というのがノルウェーのみならず、北欧の高福祉・高負担の原理です。

今回、ファストレーゲを初めて利用し、その有難さを実感しました。私はまだ働いていませんし、しばらくは支えまくってもらう側ですが、ゆくゆくはちゃんと税金を納めるからね!ノルウェー!

ところで神のような私のファストレーゲでしたが、その後なんと諸事情で退職されることに…うそやろ!!うそやと言うてくれ!!!翌週には新しいファストレーゲを知らせる手紙が。なんとあれが最初で最後の出会いになってしまったのでした泣 次のお医者さんも優しい人だったらいいなあ。

今回はちょっとお勉強じみた記事になってしまいましたが、次回はノルウェーの冬ネタで何か書きたいなと。如何せん北国の春はまだまだ先なので…

本日も読んでいただきありがとうございました。

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