意外と似ている?舞台俳優とライターに共通する仕事術
舞台の袖で、次のセリフを反芻しながら出番を待ち、光のなかへと進んでいく。そんな時間が、机に向かってキーボードを打つ日々に変わってから4年が経ちました。
舞台俳優として10年以上、観客の息遣いを感じてきた私が、今はライターとして読者の心の動きを想像しています。最初は全く違う世界に飛び込んだと思っていましたが、人の心に届けるという本質は、驚くほど似ているのです。
共通点①リサーチ力の重要性
私は時代劇や実際の事件を扱った社会派の舞台演劇に出演することが多い俳優でした。
そのため、情報をきちんと調べることの重要性を強く実感してきました。
座組によっては「ドラマツルギー」という、実際の歴史や当時の文化を調べてシェアしてくれる役割の方がいらっしゃることも。
作品の拝見をその方から学んだり、座組のみんなで同じ本を読んで情報共有したり、史実に相違がないかを確認したりしていました。
なぜこのような作業が必要かというと、当時の背景をきちんと理解することが演技の表現に直結するからなんですね。
例えば、座り方ひとつでも現代と江戸時代で全然違いますし、家族間の呼び名なども当時とは異なります。
そういった細かいニュアンスを理解していないと、現代的な感覚でセリフを話してしまい、違和感が生じてしまうんです。
そのため、役作りの前段階でリサーチは必須のスキルでした。
この点は、ライターの仕事とすごく共通していると感じています。
共通点②営業力の必要性
芸能や舞台の世界に詳しくない方でも、この世界では営業が大切だということは想像していただけると思います。
ライターの仕事でも営業力はとても重要。
自分の経歴や、どういうメディアで書いてきたか、どんなことができるのかを明確にしている方が多いですよね。
舞台俳優の世界でも同じことが言えます。どんな舞台に立ってきたのか、どういう経歴があるのか、さらには特殊スキル――例えばクラシックバレエや声楽、ピアノ演奏のスキル、日本舞踊の名取といった――を持っているかどうかも重要視されます。
共通点③人との繋がりの重要性
どちらの仕事も、人との繋がりから生まれると言っても過言ではありません。
舞台俳優の世界では”誰とつながっているか”で次の出演作品が決まることが多々ありました。
何気ない雑談の中で「次も出てよ」という話が出たり、実際の交流を通じて新しい仕事が決まったり、共演者との繋がりから次の現場に声がかかるなどのことが頻繁にありました。
これはライターの世界でも同じで、紹介やお声がけで仕事が決まるなぁと実感しています。
共通点④他者の視点に立つ力
最後に、他の人の立場になって考える力も両者に共通する重要なスキルです。
ライティングをしていると、ターゲット層やペルソナを設定することが必要になりますが、これは俳優が役を演じることと全く同じだと思います。
自分の視点ではなく、他者の視点で物事を見る力は、ライティングと舞台の仕事の両方に不可欠な要素だと感じています。
おわりに
このように、舞台俳優とライターの仕事にはいくつかの共通点があります。
「書く」ことそのものはもちろん、仕事への向き合い方や本質に惹かれ、私はこの仕事を続けているのかもしれません。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
この連載は、毎週火曜日に更新予定です。
次回をお楽しみに!