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私に翼は生えているか
4月1日から始まったNHKの朝ドラ『虎に翼』がすばらしい。
日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー。困難な時代に立ち向かい、道なき道を切り開いてきた法曹たちの情熱あふれる姿を描く。
物語は昭和初期。1929年とあるから、今から100年近く前の話だ。当時は女性の人権意識がものすごく低く、女性に選挙権すらない。結婚すれば妻の財産は夫のものになり、妻は夫の庇護下におかれ「無能力者」とされる。
さらに当時、「姦淫罪」は女性にのみ適用されていた。夫は結婚後浮気してもかまわないけれど、妻が不倫をすれば罪になる、ということだ。なんでやねん、どっちも悪いやろ。
現代の感覚からすればありえないけれど、これはたった100年近く前の話なのだ。うちの祖母は91歳。まだ存命の人だっていらっしゃる。決して「むかしむかし」のお話ではない。
このように、女性をとりまく不自由すぎる社会に対し、伊藤沙莉さん演じる主人公の寅子は「はて?」と疑問を持ち続ける。寅子の視点で描かれる多くの「はて?」は、現代を生きる私たちの心の中に、そのまま刻まれてゆく。
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『虎に翼』とは、「ただでさえ力のあるものに、さらに力が加わること」ということわざだ。まだ物語は序盤で、寅子たちに翼はないけれど、これから話が進むうちにどんどん大きな翼が生えてくるのではないか。楽しみである。
さて、ここで自分自身のこともふりかえってみよう。今の私に、「翼」は生えているだろうか。
しばらく考えてみたけれど、出てきた答えは「どちらとも言えないな」だった。
翼が生えて、のびのびと空を飛べることもあるし、もっと高く昇っていきたいと思うこともある。でも、時間やお金が自由にならず、翼をもぎとられてしまったような気持ちになることだって、ある。
でも、そんな今の状況、嫌いじゃない。
息子が小さいうちはどうしても、自分にかけられる時間は少なくなってしまう。でも、今しかもらえないきらめきの時間を、たくさんたくさんもらっているのも事実だ。とはいえ、余裕がないと苦しくなるのもまた事実なのだけどね。
翼には色々なカタチがある。だからそのつど、自分に合った翼を着脱しつつ、人生を送っていきたいな。
いつでも『虎に翼』ではいられないけれど、少なくとも「虎」ではいたいと思う次第である。
(Day.1)
▼前回の記事。快適でいることの勇気。▼
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![糸崎 舞|カルチャーライター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/114460347/profile_cc88b53f49f8ce830ffa1dbf55ea272f.png?width=600&crop=1:1,smart)