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歴代日本ダービー馬の子孫は、どれほど現存するのか?④(第61代ダービー馬~現在編)
はじめに
過去に日本ダービーを勝った馬たちの血が、現在の競走馬の血統にどれほど残っているのか検証する記事、今回がpart4です。
今回は第61回~現在(1994年サニーブライアン~現在)編です。
これまでの記事を読んでない方は、検証方法の確認も兼ねて、part1だけでも読むことをおすすめします。
検証結果(第61回〜第70回ダービー馬)
それでは、早速検証結果に移ります。まずは第61回~第70回ダービー馬まで。
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前回と比べると、一気に数字が伸びましたね。
要因としては、単純に現在からそう遠くない年代だから血が残りやすいという点もあるでしょうが、やはり内国産種牡馬の評価が上がっていった点も大きいでしょう。
その中でも抜きんでているのが、スペシャルウィークの476頭。破格ですね。
これは、自身の子孫であるエピファネイア(2020年産駒血統登録数154頭)やリオンディーズ(2020年産駒血統登録数111頭)といった現役有力種牡馬に後押しされた形です。
因みに、同じく彼の子孫であるサートゥルナーリアの産駒は2022年から生まれ始めているため、スペシャルウィークの子孫数は今後まだまだ増えていきます。末恐ろしいです。
2020年に生まれたスペシャルウィークの子孫を見てみても、きさらぎ賞馬フリームファクシやフラワーC馬エミュー、ラジオNIKKEI杯京都2歳Sを制したグリューネグリーン、そして名古屋競馬で7戦7勝中のセブンカラーズなど、ビッグネームがズラリと並びます。
一方で、父→父→父と繋がった直系子孫は18頭と少なめでした(リーチザクラウン産駒14頭、トーホウジャッカル産駒4頭)。
現役の直系子孫としてはダート戦線で活躍中のクラウンプライドがおり、果たしてこの父系を繋ぐ存在となるのか注目が集まるところです。
続いて数字が大きいのがネオユニヴァースの311頭。
このうち、父→父→父で繋がった直系子孫は103頭います(ネオユニヴァース自身の産駒9頭、ヴィクトワールピサやロジユニヴァースなどの後継種牡馬産駒が計94頭)。
直系子孫の中にはプリンシパルSを制したパクスオトマニカなどの有力馬もいます。
一方で、母父ネオユニヴァースという血統の子孫としては、全日本2歳優駿を制してケンタッキーダービーにも出走したデルマソトガケがいます。
また、母父経由の子孫としては他にもミッキーカプチーノ(父エピファネイア)やゼットリアン(父モーリス)などがおり、サンデーの4×3のクロスが作られたケースが多数見られました。
続いて、フサイチコンコルドについて。
2020年に生まれた彼の子孫のうち、19頭がジョーカプチーノ(母父がフサイチコンコルド)の産駒となります。
その中には、地方所属ながら札幌の2歳OPすずらん賞を勝利したコスモイグロークなどがいます。
また母方経由の子孫としては、世代屈指の逃げ馬グラニットなどがいます。
次に、アドマイヤベガについて。
2020年生まれの子孫としては、何といっても青葉賞馬のスキルヴィングがいます。本馬は日本ダービーにも出走予定で、史上初の青葉賞経由のダービー馬が誕生する可能性も十分にあるでしょう。
また、自身の娘であるマイルCS馬ブルーメンブラットの牝系からは中央勝ち馬スーパーアグリなどが生まれており、今後この牝系の拡大が期待されます。
検証結果(第71回〜第80回ダービー馬)
次に、第71回~80回優勝馬の子孫について見ていきます。
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はい、化け物が2頭います。
2020年に国内で生まれて血統登録されたサラブレッドは全部で7388頭ですから、年間に生まれてくる馬の5頭に1頭はディープインパクトの子孫であり、5頭に1頭はキングカメハメハの子孫ということになります。異次元ですね。
因みに、ディープ直系の子孫は1071頭、キンカメ直系の子孫は1021頭生まれていました。異次元ですね。
ただディープの後継種牡馬としては、エース格のキズナから牡馬のG1馬が出ていない点が気になるところ。コントレイル産駒の活躍が待望されます。
子孫の具体例はもはや挙げるまでもないでしょうが、キンカメの子孫としては牝馬三冠を目指すリバティアイランドと、ディープ・キンカメ両馬の血を継いでいる朝日杯FS馬ドルチェモアの馬名だけは書いておきます。
さて、このあたりの年代のダービー馬はまだ遠い祖先になっておらず、2020年に生まれてきた馬の父や母父として血統表に名を連ねているケースが大半です。
従って、各馬の子孫は容易に検索できるかと思いますので、ここでは軽く紹介する程度にさせていただきます。
まずはメイショウサムソンについて。
2020年産世代の中にはトーセンローリエ、セブンマジシャンといった有力な子孫がおり、どちらも母父としての子孫。
もしかしたら、母父のポジションに入ることで活躍するタイプの種牡馬なのかもしれません。
次に、オルフェーヴルについて。
この年は種付け数が少なかったので生まれてきた子孫数自体は少ないですが、母父としてホープフルS馬ドゥラエレーデを輩出しています。
最後に、ウオッカについて。
2020年に生まれてきたウオッカの子孫数は2頭と少なめですが、ウオッカの娘3頭はいずれも繁殖入りして順調に仔を産んでますし、昨年は孫のタニノミモザが繁殖牝馬になりました。
着実にウオッカの血が広がりつつあります。
検証結果(第81回〜第89回ダービー馬)
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いよいよ現在です。このあたりのダービー馬は、2020年にはまだ子孫が生まれていない馬が多いですね。
さて、ドゥラメンテの活躍は言うまでもなく。
2020年産世代では、ダービー直前時点で早くもリバティアイランド、シャンパンカラー、ドゥラエレーデとG1馬を3頭も輩出。
ドゥラメンテ産駒が活躍するたびに、ただただ早逝が悔やまれます。
彼の父系が繋がって彼の名が後世まで残ることを祈り、タイトルホルダーを含めた牡馬勢に大きな期待を寄せるばかりです。
一方、ワンアンドオンリーは健在。2023年からは熊本で種牡馬生活を送っています。
九州に日本ダービー馬の血が広まると考えると、九州産馬ファンの私としては何とも楽しみなものです。
レイデオロとロジャーバローズは、今年の2歳世代から産駒がデビュー。こちらも非常に楽しみです。
おわりに
今回で、全ての日本ダービー馬の子孫の現状について見ることができました(非常にざっくりではありますが)。
しかし、ディープインパクトとキングカメハメハの子孫数は凄まじかったですね。この2頭の血は、今後の日本の競走馬に対して大きな影響を与え続けることでしょう。
日本ダービーが優秀な種牡馬を選定するために行われるレースなのであれば、その存在意義はこの2頭の大種牡馬によって証明されたと言っても良いかもしれませんね。
以上で本シリーズを終わりとなります。
もし私の拙筆をここまで全て読んでくださった方がいるならば、感謝しかありません。
一応、続きの記事として、本検証で得られた副産物的なデータを使っていろいろな検証をする「おまけ」のような記事も出しますので、もしご興味があればそちらも読んでいただければ幸いです。
なお、本記事の内容はあくまで私個人で調査、分析したデータに基づくため、提示した情報には誤りが含まれる可能性があります。何卒ご容赦ください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。