ゲームプレイ感想:NieR Replicant ver.1.22474487139...(ニーア レプリカント)

オートマタで一世を風靡したNieRシリーズの原点、レプリカントのリメイク(公式ではバージョンアップ)版が出たとのことでこの機会にと思ってやってみた。

NieRシリーズといえば鬱ゲーとして名高い(その前のDoDほどではないらしいが…)のでハマるかどうかわかんないなーと思いながら手を出したんですが見事にハマりました。
どのくらいハマったかってクリア後すぐにリィンカーネーション(NieRのスマホゲー)をダウンロードしオートマタをポチるくらいにはハマりました。どちらも語りたいことはあるんですがそれはまた今度。

万人受けではないのをわかりつつ私の性癖にぶっ刺さったところとゲームとしての面白さを今回は語ろうと思います。

・ストーリー
メインストーリーからサブクエストまでもれなく心を折りにくるストーリー。

最初にこのゲームはヤバいと思ったのはサブクエの灯台のおばあさんの話かなあ。やるせなさでボロ泣きしながら最後の選択肢は「選べねえよ」って夜中に泣きながら選んだ思い出。ロボット山の兄弟とかもキツイよなあ…。

少年編と青年編にわかれていて、青年編を周回することで隠されていた世界の裏側とエンディングが解放されていくスタイルで、1周目と2周目は起こるイベントは同じなのに何もかもがひっくり返ってしまう。2周目から文字通り見える世界が変わる。
今まで人間を殺すマモノを殺す、という話だったのにマモノ側の視点で同じ話が展開されることでマモノたちも大切な人を守ろうとしていただけだということに気付かされてしまう。助けて、殺さないでと懇願するマモノを妹を助けるためと言って殺しにやってくる主人公(=プレイヤー)が本物のマモノなのでは?とプレイヤーの心をへし折りにくる仕様。

個人的には仮面の国まわり、フィーアとロックの話が1番やるせなくてキツかった。
1周目は「フィーアを殺したマモノ許せねえよ、絶対殺してやる」と思ってたのに狼マモノ側、ロックの心を知ると「なんで殺さなきゃいけないんだ、なんで共存できなかったんだ」となって心が痛かった。だからってフィーアが死ななきゃいけない理由にはならないんだよ、でも殺したいわけじゃないんだよってボロボロ泣きながらトドメを刺した記憶。ボスを泣きながら殺すRPGってのもなかなかないぞ。ちなみに「倒す」ではなく「殺す」がしっくりくるというのも鬱ゲーたる所以だろう。

鬱だ鬱だと言われるけれど、私としては自分は自分にとって都合のいい世界しか見てないし、立場が変われば正しさは変わるということに気づかせてくれる素晴らしい作品だと思う。
それはそれとして妹愛の重いお兄ちゃんがマモノをぶっ殺しまくるゲームだと思ってたときの方が幸せだったかもな…。もう引き返せないところまできちまったぜ。

3周目は途中ちょっとダレたけどエンディング見るために頑張れたけど、待ち受けるCDエンドの選択もすごく苦しかった。カイネと主人公がハッピーエンドで終わる選択はこの世界には残されていないんだという絶望感。だからこそどちらのエンドも美しさがあるし、Eエンドがあるんだろうね。

ただ、普通にプレイするだけだとこのお話の設定(ゲシュタルト計画とかレプリカントとか)って正直わからない。私は2周目終わったくらいで解説見たり用語調べながらやったけど考察とか解説見た方がより絶望感を味わえるのでオススメ。
設定資料集も買いました。ニーア(主人公)が男娼やってた話とか、噂には聞いてたけど実際読んで絶望に深みが増したね。最高だと思う。

・キャラクター
RPGにしては名前つきのキャラは少ないと思う。マモノ側含めるとまた違うかもだけど…。メインと思い入れのあるキャラたちについて語ります。

ニーア(主人公):妹を溺愛してるマモノ絶対殺すマンなお兄ちゃん。でもなんか全てを知った後だと妹に執着するのも仕方ないのかなと思う。キャッチコピーの「一人のために、全てを滅ぼす」というのはニーアのことで、文字通りニーアがヨナを助けたことで世界は滅亡するというほんととんでもないストーリー。しかもニーアは知らないとはいえ世界の滅亡を確定させてまで助けたヨナも絶対助からないのが決まってるんだからそりゃないだろヨコオさん(ニーアシリーズのディレクター)って感じ。もうちょっと自分の幸せのために生きてもいいんだよ…って言ってあげたくなる。ことごとく選択の先にあるのが自己犠牲で、唯一エゴを通したのがヨナの救出(世界の滅亡)だってんだからほんとなあ…。

カイネ:毒舌下着女。セリフにピー音入るメインヒロインは後にも先にもカイネさんだけっす!ついてること忘れる美しさとそれを台無しにする口の悪さで唯一無二のヒロインだと思う。マモノの声が聞こえている状態でよく発狂しなかったな。それだけニーアへの思いが強かったのかもしれない。「奴の刃になって死んでやる!」という台詞がもう愛の言葉にしか聞こえない。回想のノベルパートで明かされる過去がキツすぎて吐きそうになる。それもあって崖の村の人関連の話は最初から最後まで胸くそ悪かった。幸せになってくれよお…。

エミール:不気味なのにだんだんかわいく見えてくる元美少年。ニーアのこと好きだって知ったときはびっくりした。ほんと性癖のオンパレードだよねこのゲーム。この先のオートマタの話を知ってる身としては1人永遠にも近い命を与えられた彼がこの先生きていく中で、ニーア達と過ごした日々がどれだけかけがえのないものだったかがわかるから存在だけで泣ける。

白の書:ツンデレ要素をまさかの本に詰め込むという斬新なキャラクター。通称シロ。ニーアとの絆を感じるラストシーンは胸にきました。終始残酷で胸が締めつけられるストーリーの中でニーアとシロのやりとりが癒しでした。かわいい本だよ。

ヨナ:お兄ちゃん大好きな薄幸の少女…ではあるんだけどいろいろ知ってから改めて思うのは無知とか無邪気っていうのは時に残酷だなということ。男娼やってまで金を稼いでいたニーアにかける何気ない言葉とか、ABエンドでカイネを気にかけるニーアにまあまあ最悪なタイミングで無邪気に声をかけるシーンとか…。ヨナは悪くないんだけどね。

デボルポポル:この人たちも業が深いよなあ…続編を知ってるとなおさら。デボルの死に際の「1人で生きるには寂しすぎるんだ」という言葉がとても美しくて儚くて、そのあとのポポルの「おせーんだよ何もかも!」という叫びに繋がるのがなんとも言えないんですよ。

・バトル周り
PS3よりかなり良くなったと聞いているだけありストレスはほぼない。魔法は種類決まってるからそんなに自由度はないけどアクションが気持ちよく繋がるので結構楽しい。

・その他
急にノベルゲー始まったり弾幕ゲーになったり視点が謎に固定されたりバイオハザードになったりする場面がある。飽きさせないための要素なのかな?と思うけど個人的には操作感変わると気持ち悪いから統一してくんないかな…と思う。ノベルはまあいいけどコンシューマーでノベルってもうだいぶ懐かしいよね。カイネのノベルパートとか動いてたら崖の村の人たち皆殺しにしちゃったかもしれないからそう思うとよかったかも。

・総評
一般受けはしないから人に勧めるかというと微妙だけど私は好き、と言うゲーム。ストーリーが激重で心が抉られるタイプのRPGは大好物なので最高だった。世界が救われないRPG。ただもう少し救いがあってもいいのよ。主人公チームみんなはみ出しもので、普通には幸せになれないのわかってるけど幸せになってほしい。イベントによっては相当心抉られるので気持ちに余裕があるときにやりましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?