血まみれスケバンチェーンソー RED 前編 ネロの復讐・後編 ギーコの覚醒

血まみれスケバンチェーンソー RED 前編 ネロの復讐・後編 ギーコの覚醒(邦画:2019年)
監督:山口ヒロキ
原作:三家本礼「血まみれスケバンチェーンソー」
出演:浅川梨奈
  :あの
  :日高七海
  :替地桃子
  :護あさな
  :佐野いずみ
 
改造死体と呼ばれるリビングデッドどもを、JKが血しぶき上げて切り刻んでいくスプラッターコメディ。お色気やギャグに目を奪われがちだが、出演している俳優たちの体当たりのアクションや立ち廻りになかなか爽快感があって、軽く見始めた自分にちょっと反省。
スクールバスの中でいきなりJKが改造死体どもに襲われる。が、彼女は手にした愛用のチェーンソー(なんだそれは)を引っ提げてバッサバッサと切り刻んで反撃。その襲撃の裏には、学校でいじめられていたマッドサイエンティストJKの存在があった。彼女たちの激しい戦いが繰り広げられる(前編)。事態に決着をつけた主人公JKだったが、学園は西洋甲冑セーラー服の生徒会長に支配される。彼女は学園の治安を名目に主人公JKらを拘束。学園刑務所(だからなんだそれは)へ送り込む。主人公JKは仲間と力をあわせて戦うがその背後には陰謀があった(後編)。
原作は三家本礼の同名漫画。カルト的な人気があり、以前も映画化されたこともある。実は前作を観ており、内容はともかく主演の俳優のキャラクター性が素晴らしかったので、リブートである今作を観た。まぁ内容はない。設定のためのストーリー展開で、何もかもご都合的。あくまでもB級エクスプロイテーションなんで真剣にあーだこーだというのが野暮というもの。ただ昨今言われている原作改変による不満は感じてしまい、前作にも出演していて、原作でも人気のある人間兵器のJKが出ていないのが残念。下ネタだけど、そこからミサイル発射するかっていうのに腹抱えて笑ったんだが。
今作も主人公のキャラクター性を大事にしているとは感じる。黒髪ロングの前髪ぱっつん、ミニスカセーラ服にギミック仕込んだでっかいチェーンソーを振り廻し、下着は晒とふんどし。素足に下駄履きが唯一スケバン感を残している。その彼女が泥にまみれて、返り血浴びて憤怒の表情を浮かべて改造死体どもを切り倒していく爽快さを感じた。主演の浅川梨奈が身体を張って、立ち廻りを演じているのが好感持てる。グラビアアイドルだからお色気を推すのかなと思ったら、アクションに力を入れているのがよい。お色気もあるんだけど。ただ顔が幼いので、原作主人公JKのキツめで勝気な表情を再現しつくせていないのが残念。
ヴィラン役が今人気のタレント、あのでビックリ。某大型古書店のポスターで見るようなとぼけた表情とは違い、猛り狂って怒鳴り散らし、自分が作った改造死体どもをヒステリックに惨殺し、主人公JKとは血まみれになりながら激闘を繰り広げる。あんまり動けるイメージなかったが、主人公JKの向こうを張った禍々しいチェーンソーをブンブン振り回して、火花を上げつつ全身をぶつけるようなアクションを繰り広げていた。
しかし、やっぱり出演者頼みの作品。それぞれの魅力は出せているが、作品としてまとまりはほぼない。原作では重要な人物は活躍せず、画面の賑やかしに終わってしまっている。特に後編の主人公JKの幼なじみはショートカットで格闘が映えるキャラクターなのに物足りない。黒髪ロングの主人公と二人並ぶと、対比があって見た目に華ができるんだが、序盤しか活躍しない。西洋甲冑セーラー服の生徒会長もその見た目で戦ってほしかったが、なんで魔女っ娘に変身するか。もったいない。
前後編と分けて観ることができたことは休憩を挟めてよかったが、それほど二つに分けて観せるほどのものなのかと思ってしまう。内容はあってないということは分かるが、分けるほど内容が違うほどでもない。繋がっているならわざわざあるキャラクターを一時退場させるものではないと思う。その理由をもっともらしく語ったが、それほど大がかりに計略しかけんでもええんちゃうか。
可愛らしい出演陣が身体を張ってアクションをして、苦労しながら演技する姿には思わずがんばれと心でエールを送ってしまった。B級でマイナーな作品だが、熱意を感じられる良作だったと思う。お色気が思ったより少なめなのは残念ではない・・・はず。

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