レッドライン 奪還
レッドライン 奪還(アメリカ:2022年)
監督・脚本:ブライアン・スキーバ
出演:エミール・ハーシュ
:ウィリアム・カット
:エリザベス・フェイス・ラドロウ
:ジェイク・マンリー
:ジョン・キューザック
久しぶりにつまらない映画を観た。誰が主役で、何が目的で(一応誘拐された妻の奪還と麻薬組織の捜査)、どんな人間関係なのか。設定も、映像も、アクションも、方向性もすべて雑。たまぁにこういう迷作を引いてしまう、自分の運のなさに驚く。
妻子が誘拐されたハッカーらしき顔面タトゥー男は身代金を支払うも二人は返ってこない。仲間を集い誘拐した連中に襲撃をかけ情報を得るが、そこに警察の潜入捜査官がヤクの売人たちと接触していた。ハッカー側の一方的な襲撃の最中に警察の突入があり、ハッカーたちは逃走。追ってきた潜入捜査官を何とか巻いたが、ハッカーは潜入捜査官に関心を持ち彼の過去を探る。潜入捜査官もかつて妻を誘拐され殺害されたという辛い過去があった。警察もハッカーの身元を特定。彼を拘束することができたが、同じ境遇で、さらに妻子の奪還がしやすくなると考えたハッカーは潜入捜査官に麻薬組織の情報を提供。共闘することとなる。二人は妻の足取りと麻薬組織の捜査のため、ハッカーの故郷へと戻ってくる。そこは麻薬組織が支配する町で保安官さえも組織に協力しているような場所。しかもその組織のボスはハッカーとは深い因縁あり、誘拐はハッカー自身の因果によるものだった。
最初の突入アクションで脱落した。突入前の緊迫感はない。突入時はさらにバタバタした展開で、やけにくどいカメラワークで何度も観せられる締まりのない役者の表情や妙なスローモー、雑な撃ち合いで直感的にこれはアカンと感じた。実際全編通じて周囲を巻き込んでの銃撃戦があるが、ご都合的なアクションの連続で、盛り上げ、賑やかしのためだけの演出。敵はバタバタと撃たれていくのに、当たり前のように主役側には弾丸は当たらない。こういうのは緊張感が伝わらないので、惹きこまれる没入感も無くなる。映像も見づらいからさらにフラストレーションが溜まった。
キャラクター、人間関係も雑に扱われているので、ハッカーと潜入捜査官の区別がない。ハッカーの頭脳プレイと潜入捜査官の体当たりアクションの二面で行くのかなと思ったが、お互いキャラ性の領域をつぶし合って魅力がない。さらには麻薬組織のボスの性格や人間関係が不明瞭かつ、薄っぺらいので何のために誘拐したって突っ込む。誘拐した子供を大事にする(そこも重要な設定だが)から悪人らしさが薄い。悪辣だが情のある懐深いボスを演じようとしているのか鷹揚さも感じるが、これが見事に外している。ジョン・キューザックってこんな面白みのない役者だったっけ。
全編通じて大げさで鼻につくセリフが気に入らず、何気ないシーンに挟んでくるのが一番のストレスだった。視聴していて早々に飽きてしまい、眺めるだけで終わった。振り返っても何が面白かったのか思い出せず、無理やりいい所を作ろうとしても何も出てこない。感想も細かく作れず、残念に感じることばかりだった。近年まれに見ぬ面白くなかった作品。