クレイジー・パーティー

クレイジー・パーティー(2016年:アメリカ)
監督:セオドア・シャピロ
制作:ドリームワークス
出演:ジェイソン・ベイトマン
  :T・J・ミラー
  :オリヴィア・マン
  :ケイト・マッキノン
  :ジェニファー・アニストン
 
閉鎖宣告を受けた支社を守るため、管理職と支社長が新規事業の商談を取り付けようと取引相手を社内クリスマスパーティーに招待する。そのクリスマスパーティーがぶっ飛んでいて、まぁ日本では考えられない内容。もっと主役たちが奮闘する姿を映してほしかったんだがねぇ…。
クリスマス直前に離婚が成立した管理職の男が出勤すると、故創業者息子の支社長はクリスマスパーティーの開催に余念がなかった。社員を楽しませるためのプレゼントを抱えて帰社した二人に対して、オフィスの緩み切った労働環境を見た支社長姉の見習いCEOがこの支社の閉鎖を宣告。管理職の男と技術SEの女性はまだ未確定の新規事業の商談をまとめると返して、首の皮一枚つながる。そして取引相手と商談するが芳しくなく、自由で楽しい社風を見せるべく、社内クリスマスパーティーへと招待するのであった。そしてドタバタで混乱のパーティーが始まる。
支社の面々は個性的。離婚されちょっと寂しさを抱えた良識的な技術部長の管理職。その部下のセクシーだけど気の強い女性SE。ボンクラっぽいが社員を大切にする故創業者息子の支社長。コンプラにうるさいお局様に反抗的なサポセンの中年オヤジ。いかにも童貞の若手に男運がない支社長秘書。個性がいっぱいありすぎてやかましい。多様性にも配慮した感じはするが、もう少しキャストをまとめればスッキリ見ることができたのではと感じる。
主となる管理職が良識人なので、騒ぎの渦中にいることもなく、ましてや商談を進めているわけでもないのでほったらかし感がある。部下の女性SEといい雰囲気になるのが解せない。支社長姉の見習いCEOからN.Y本社へ引き抜きの話もあるので有能なのが示唆されるが、はっきりとした返事はしなかった。自身の離婚や恋愛、引き抜きの件、個性的な支社員や陰鬱な取引相手に振り回される姿を描いて欲しかったな。
そして残念に思ったのが見習いCEO役のジェニファー・アニストン。自分の中でも目下魅力急上昇中の女優なのだが、活躍の場が少なすぎる。キャリバを引きずって支社に乗り込んできて、閉鎖を宣告して去っていくのだが、後半に再登場するまで出番なし。性格的には子供相手にも大人げないきっつい性格で、自身は有能なんだが可愛がられた弟にコンプレックスを抱いてる。ビシビシと事業を切り盛りしようと奮闘する姿はジェニファー・アニストンの演技力の高さが見られていカッコいい。軍隊格闘技をマスターしているので、後半には屈強な男を締め技で制圧していたのもなかなか役にハマっているが、出番が少ないので物足りない。もっと表情がコロコロ変わって、すっ飛んだ演技を観たかった。
商談のために始まったパーティーは序盤からノリノリの大盛り上がりだったが、次第に混乱の極みに達していき、あちこちで狂乱が始まる。素っ裸になってコピー機で自分のモノをコピーし始めたり(映ったらいかんモンが映った気がするが)3Dプリンターで自分のモノの型を取り始めたり、ツリーに火をつける、窓から器物を投げ捨てたりと等々やりたい放題。あんまり見るに堪えなかった。翌朝のオフィスの惨状は戦争の後のよう。泥酔してつぶれた社員たちがあちこちで野垂れていたのが見苦しくてイヤだった。オレもこんな吞み方せんようにしよう。
ストーリーは終盤に転換へと進むが、それだけの大事故を起こして、その程度で済ませられるのが理解ができない。インターネットは現在非常に重要なインフラのはずだが、それを止めてしまったらかなりの賠償を求められるのでは。女性SEのアイデアと技術で回復させるのだが、その功績で大円団とはちょっとおかしい。
アメリカ人のパーティー好きはよく知られているが、ここまでハメを外せば訴訟モンだろうし、日本人では考えられない盛り上がり方。大学生でもしないぞ、ここまでの大騒ぎ。その騒ぎの中でも役立たなさそうな個性的な面々が危機に際して協力して乗り越える姿を描きたかったんだろうが、結局活躍するのは数人程度。盛り上がりは弱い。
この映画から得られた教訓は、いざという時にリストラされないように毎日ちゃんと実績ある仕事をしましょうということかな。

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