お前はまだグンマを知らない
お前はまだグンマを知らない(2017年:日本)
監督:水野格
原作:井田ヒロト
出演:間宮祥太朗
:吉村界人
:馬場ふみか
:入江甚儀
:加治将樹
井田ヒロトの漫画「お前はまだグンマを知らない」を実写映画化。北関東にある「グンマ県」のおかしな習俗や文化をギャグテイストに誇張したドタバタコメディ。ただ視聴していい感情が湧かなかったのが正直なところ。
チバ県からグンマ県へ引っ越しした主人公。最後の秘境と呼ばれるその地は、独自の習俗・文化をもって他県からの侵攻を防ぎ、北関東残り二県との抗争を繰り広げていた。主人公はこの特異な県で生きていくことができるのか。そして同じクラスの女子との恋の行方は。
地方民の自分にとってはグンマ県でさえも陸路で大都会東京へと繋がっているので都会に思える。なので、そこまで田舎や特殊性をアピールされると反対に、自分の住む県もディスられているように感じてしまった。あくまでもコメディなので目くじらを立てるのは野暮なのだが、そこまでこき落さんでもええやんと思わざるを得ない。そしてグンマ県民は標準語をしゃべっているのに、敵対する二県の県民は方言でしゃべっているのに作為を感じてしまった。餃子も納豆もオレは大好きだ。
主人公の間宮祥太朗は下ネタを出しつつ変顔で笑いを誘ってくれる。意中のグンマ愛強の女子と仲良くなる妄想を独りよがりしてくれるが、主人公の属性がとっ散らかっていて感情移入ができない。原作でも山の神を鎮めるため股間を露出するシーンがあるが、そこまで神々しく演出はされてなかったので、実写で過度に演出するのはキャラクター崩壊になってしまっている。更に重要なキーマンの幼なじみは、原作とはまったく違う描かれ方をしており、もはや別物。わざわざ登場させなければいけないのかと思うほどのキャラ変。ふとキャラクターを整理してみると、グンマ愛狂気のキャラクターが丸くなっており、キャラ設定をやっちまった感を全開に感じる。
そして、主人公意中の女子はただのお色気要因でしかない。馬場ふみかのファンなら彼女に罵倒されたら嬉しいのだろうが、自分には不愉快に感じてしまった。サービス的にパンチラも見せてくれるが、作為的で健全なお色気が感じられない。原作の画も女子には色気が感じられなかったが、それを上回るひどさ。これもキャラクターが違うんだよな。
そして一番鼻についたのが、チョイ役の登場人物が某有名興業所属の芸人ばかりで、いかにも地方の金を大都会の大企業が吸い上げにきているように見える。先生役のロバート山本博は群馬県出身のようだが、ほとんどの芸人が他都道府県出身者ばかり。隣県出身の漫才コンビや納豆を勧める元グラビアアイドルなど、出演させる必要あるのかと疑問に感じた。ご当地ゆるキャラが出るのはいいが、例の九州の黒いクマを出すのは無理がある。関西弁も違和感しかない。
唯一笑ったのが、グンマ出身の有名人の写真を踏み絵をさせるため、最初に出してきたのが篠原涼子。敵もこれはオレらにも無理と次に出してきた写真が井森美幸。グンマー人がこれは踏めると言い切ったのは爆笑。井森美幸もグンマ県の知名度向上に貢献しているはずなんだが、失礼にも笑ってしまった。スイマセン。
地方ディスは地元をディスりつつ愛情が感じられないと、観ていて不愉快になるがこの作品は不愉快を感じさせる。愛情が感じられなかった。人気の原作だっただけに非常に残念。近隣の県との抗争を抜きにして、地方に暮らす、都会から来た主人公と地元のクラスメイトとの間に起こる違和をドタバタ青春コメディにすればよかった。ただ、群馬県は面白そうなので行ってみたいと思っている。魅力度ランキングなんて当てにならない。