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【エッセイ】高熱と夏休みとせっかちと

みなさんはお盆の時期をどう過ごされただろうか。

私は布団で寝込んで過ごした。


最初は息子だった。

咳が出たと思ったらあれよあれよと高熱が出た。

次に夫に同じ症状が現れた。

検査キットで検査をしたら新型コロナ陽性が出て、「ああこりゃ私もかかるな」と諦めた。

その夜私も熱が出た。


熱が出るとうまく眠れなくなる。

寝てもすぐ起きてしまうし、ぜんぜん寝た気がしない。

祭り囃子を聴きながらうつらうつらとまどろんでいたら、あ、とあることを思い出した。

応募している小説公募の発表が出ている時期だと思ったのだ。

スマホを手に取ってブックマークしてあるホームページを開く。

そこに私の名前はなかった。

まあ大賞はな、と下に下にスクロールしても名前はない。

箸にも棒にも引っかからなかったわけだ。

肩を落としながらもうひとつの公募のホームページを開く。

しかしながらそこにも私の名前はない。

まだまだだなチクショウ、と思ったら目が覚めた。夢だったのだ。

汗をびっしょりかいていて気持ち悪かった。

そういえば件の公募の発表は秋だったと思い出した。

ああ良かったと思いつつ、まだ先なのかと待ちきれなくなる自分がいた。

特段賞をとる自信があるわけではない。

性分がせっかちなのだ。


新型コロナウイルスからは7日ほどで全快した。

結局家族全員もれなくかかった。

夏休みの時期にぴったり合わせて病気にかかるなんて我が家はおりこうさんもいいところだ。

おかげでどこにも行けなかった。

気を晴らすべくシルバーウィークの旅行を計画しようと思ったがもうどこも宿がいっぱいである。

しょうがないので年末年始の計画を立て始めた。

いくつかピックアップして我が家の財務大臣こと夫にプレゼンしようと思うが、彼はのんびりした性格のため、「まあ、おいおいね」で返されることは目に見えている。

その「おいおい」で流されて予約が満杯になり頓挫した旅行がどれほどあったことか。

今度こそ実現にこぎつけるぞ、と夫が二つ返事で了承するようなプランを立てるべく息巻いている。

その旅行の時期には例の公募も結果が出ているはずだ。

願わくば箸くらいには引っかかっていますように。

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