ねじれない子どもたちとワイヤーアートをするの巻
「ねじる」が伝わらない
絵画造形教室に集まってくる子どもたちの日常は、ボタンの一押しで成り立っています。瞬時に明かりがついたり、水が出たり、音楽が聞こえてくることに、疑問を抱くこともないでしょう。
ボタンを押す動作しか知らない子どもたちに、”ワイヤーをねじる”という手の動かし方を伝えるのに苦戦したレッスンがありました。
課題はワイヤーやモールを曲げたりねじったりしながら造形をするワイヤーアート。昆虫の形を作るために試作、準備をしました。
当日は、手を動かせばわかると過信してレッスンを進めました。
でも、「ねじる」動作を「ねじる」と言っても、手の動きには繋がりませんでした。
的確な言葉遣いができないと一巻のおわりです。子どもたちのモチベーションが削がれて、「わからない」「できない」の大合唱。子どもによっては「トイレに行きたい」となります。(興味を持てない事をやっていると尿意を催すようです。あくまでも個人の見解ですが・・・)
時間内に仕上がりそうにないと手伝うことにもなります。作品が未完成のまま帰してしまってもいいのか。先生が手を入れることで子どもたちが得るものが減ってしまってもいいのか、迷いながらも作品を形にしようとしました。
「後5分!」レッスン終了時間が迫って動揺し、手が思うように動きませんでした。今、思い出してもゾッとする時間でした。
日常動作のごとく体に馴染むまで
こんなレッスンだったにも関わらず、お叱りをいただくこともなかったのですが、itotokiは大いに反省しました。
そして「ねじる」動作を分解して、やさしい言葉に置き換えて言い直す必要があったと気がつきました。この一件をきっかけに、試作の姿勢が変わりました。
基本に立ち戻り、手順をわかりやすく伝えるための確認と、制作工程のデモンストレーションが、よどみなくできるよう、それぞれの動きがまるで日常動作の一つのごとく体に馴染む事を目指す試作となりました。
体に馴染ませる・・・ほんと、これがまた、アナログで時間がかかる作業なのです。もう少しハッタリが効けばよかったのに。
デジタル時代に生きる子どもたちが絵画造形教室で制作するということは、表現であると同時に材料がモノとして立ち上がっていく工程を経験することではないでしょうか。そのためのサポートをするのがitotokiの役目です。
備忘録:その後のブラッシュアップ
①単純な構造のデモ作品の制作
②レッスン中、制作前のエクササイズを行いました。ねじったモールをほどく、再度同じようにねじる。(二本のモールをつなげた直線と輪っかの2種類を練習)
③幼児向けの言い換え「(モールやワイヤーを)二本をねじねじする」、「前まわり3回」
④児童向けにワイヤーを使ってカゴ状のものを作る提案(骨組みはあらかじめ準備)
⑤「お花の作り方」のまとめ(残念ながら試す機会に恵まれず)
●簡単な構造のデモ作品
●お花の作り方のまとめ
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