【お知らせ】シンポジウム・今こそ「生活保障法」の制定を!@名古屋(2024年10月3)
人権大会とは無関係だと思っていたのに…
今回はお知らせです。
日本全国の弁護士が所属している日弁連では、毎年、人権擁護大会(通称:人権大会)を開催しています。
日弁連総会で「好きなやつだけでやればいい」とか、「金の無駄だ」とか、「ここでの決議案は会員全体の総意ではない」と指摘されているあのイベントです。
弁護士登録以来、日弁連の活動や弁護士会の活動はやっていましたが、人権大会はには一生かかわらないと思っていました。
ところが、第1分科会のテーマが「今こそ、『生活保障法』の制定を!」になりました。
こうなると私が取り組んでいる「生活保護基準引下げ違憲訴訟」も、当然関係してくるわけですから、弁護団のメンバーが実行委員となることになったわけです。
しかも、2023年11月30日に国賠請求まで認容した名古屋高裁判決が出た名古屋の開催となれば、弁護団の中心メンバーとして、参加せざるを得ません。
海外調査の企画と参加
人権大会では、国内調査や海外調査を実施し、その結果を報告書としてまとめ、これらの調査が活かされた決議案が提出されます。
私も、実行委員になるまで「海外調査なんて、私たちから召し上げた会費で飲み食いして遊びに行ってるだけだろう」と思っていましたが、実際は異なりました。
何よりも驚いたのは、海外調査はすべて自腹ということ。
日弁連から支給されるのは通訳の費用と先方にお渡しする手土産代だけ。
おまけに平日のデイタイムはすべて調査で埋まっており、自由時間はないという厳しさ!
これまで、貧困問題関係では、スウェーデンやドイツ、韓国への海外調査が実施されていたのですが、ドイツ調査はベルリンを中心とした政策調査がメインのようでした。
そこで、私は、弁護団として司法判断を調査するべく、ドイツ調査の企画を一部担当し、連邦憲法裁判所、連邦社会裁判所といった司法調査を追加しました。
何よりも、ドイツでは、連邦憲法裁判所が、政府が定めた求職者基礎保障(日本でいう失業保険と生活保護をミックスしたような制度)の金額が低すぎるから違憲であると判断したこともあるのです。
また、外国人を含むドイツに滞在する者を対象とする庇護申請者給付法(日本でいう生活保護に相当?)に対する給付金額も安すぎるという違憲判決を出しています。
だからこそ、連邦憲法裁判所の判事や調査官に対して、なぜドイツではそのような判決が出るのか、わが国での状況などを意見交換しようと考えました。
ドイツ憲法には、日本の生存権のような規定はありません。それなのに、連邦憲法裁判所は、人間の尊厳の絶対的不可侵を定めた条項と、社会民主主義国家を宣言した条項から、最低限度の生活給付を受ける権利を導きました。
連邦社会裁判所においては、冷暖房費の最低額について、裁判官が民間団体が公表している資料を参考に定義するという判決も出されているとのことでした。
オンラインでも参加可能!お待ちしています!
憲法25条については、令和5年司法試験でも出題されるほどホットな話題です。
当日の人権大会の第1分科会では、こうした海外調査の結果を含む、憲法25条1項が保障する「生存権」に関する最先端の議論が報告されます。
なんとYouTubeでもLive配信されます!
最先端の議論に触れたい方、海外調査の結果を知りたい方などなど、弁護士に限らず、ぜひともご視聴いただけますと嬉しいです!
イベント詳細はこちら。