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小水力発電の仕事
私はとにかく突拍子もなく、行動だけは早く、周りの人はついていけない・・・と言われることが多いのですが、この時も例外ではなく、すぐに石徹白通いがスタートしました。
初めて訪れて、石徹白に住みたいと思ったのですが、それを実現するためにまずはもっと石徹白のことを知りたい、石徹白で何か始めようと考えました。
そうそう、私たちは石徹白に水力発電の可能性を探りに行ったのだ。そして水路はそこここにあって、地元の方も協力的。こうなったら、小水力発電をやってみよう。そんなふうに考えました。
石徹白に連れてきてくれた駒宮さんに相談すると、とある助成金の募集があるから、それに応募して試験的に小水力発電を導入してみるのはどうか?ということを提案してくれました。
私は、勤めていた会社を退社したところだったので自由に動ける状態でした。すぐさま助成金獲得のために計画書を作成し提出。無事に審査が通り、半年間かけて、3種類の小水力発電機を導入する事業を始めました。
石徹白のことも、小水力発電のことも何も知らない私・・・。でも、地域の方にとても良くしていただき多大なるお力をいただきました。
小水力発電については、東京に「全国小水力利用推進協議会」という団体があり、その方に会いに行って詳しいことを学んだり、小水力発電のシステムを輸入している富山の会社に赴いたり、専門書を読んだりして、学びを深めていきました。
さらに、受け入れてくださった石徹白のNPOの方の中に、電気の技術者であるかた(久保田政則)さんがいらっしゃって技術的なこと実践的なことは全てやってくださいました。加えて、土建屋さんの当時の社長さん(石徹白勉さん)が中心的な方で、建造物が必要な時もすぐに資材を持ち込んで作り上げてしまうという凄腕。
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必要なものは稼いだお金で買うもの、あるいは専門業者に任せて作ってもらうもの。そう思い込んでいた私は、石徹白の方達が自らの手であらゆるものを作り上げてしまうことに驚きました。
何もないところから何かを生み出す力に、私は生きる強さ、逞しさを感じ、プロジェクトを進める中で、彼らへの憧れは高まるばかりでした。
この仕事に携わる中で、私の石徹白移住への夢はより具体的になり、ここに住もうという気持ちはより一層強くなってきました。
「じぞけん」で仲間と勉強したように、「衣食住」はきちんと賄えるようになりたいという思いもあり、石徹白の方に相談して、田んぼや畑をお借りして農作業というのもおこがましいようなことですが、暮らしの自給農を始めようと動き始めました。
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半年間でこの助成金による事業は終了しましたが、関わってくださったNPOの皆さんは「これで終わったら意味がない」とおっしゃいました。
確かに、小さな実験事業だったので、見学に訪れる人は増えたものの、それだけでは何にもなりません。しかもたった半年の短い時間で、私たちの知識もまだ浅く、実用化にはなかなか至らず・・・。
そこでまた違う助成金を探してきて事業を継続し、その後も研究プロジェクトとして採択され、突発的に始まったこの小水力発電の芽をどうにか前に進めようと、さまざまな人を巻き込んでいきました。
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しかし、私は、小水力発電の事業の関わりが深くなるにつれて、自分の限界を感じるようになりました。法的知識や手続きの経験はできていくもの、電気や物理学的知識は全く頭に入ってこないし、そもそも文系の私にとって苦手なものだらけ。こんな私がこれ以上この仕事を深めることはできないし、役に立つことも出来ないのではないか・・・
私はもっと私が出来そうなことを探して、この土地で自分の仕事を創ってみよう。そうしたらここでずっと暮らしていけるかもしれない。
そんなことを思い始めたのです。
幸い、仲間として同じ気持ちでこの土地に通い始めた平野彰秀(夫)が、小水力発電の事業を一緒にやってくれていたので思い切って後は彼に任せることができました。(彼の働きで、私がやっていてはできなかったような大きなプロジェクトが数年後、完成しました。やはり、適材適所!?)
さて、では、私はここで何をしたいのだろう?どうやって生きていきたいのだろう。それを真剣に考え始めることになったのです。