
Photo by
nice_hornet111
死後の世界を誰も知らない理由
ある深い池にヤゴが住んでいた。
彼らは不思議に思っていた。
百合の枝をつたって水面にのぼっていった友達は、なぜ誰も帰ってこないのだろう。
そこで彼らは相談した。
「次に誰かが水面に上がったら、必ず戻ってきて、何が起こったのかを話してくれ。約束だよ。」
すぐに、仲間の1人が強い力を感じた。
彼は百合の葉に辿り着き、そこで美しい羽のトンボに変身した。
その事を伝えようと、彼は池の水面を飛び回った。
けれど、ヤゴ達は誰1人として、その美しい生き物がかつての仲間の1人だとは気付かないのだった。