⑯マスコミ志望の悲惨
学生の中にはマスコミ志望の人が多くいる。華やかでスマートで、カッコいい仕事と思われているからだ。しかしそれは表向きの顔。実際は過酷で悲惨さが付きまとう業界でもある。そしてマスコミはみんな中小企業である。
テレビ局は大企業に見えるが中小企業。キー局でも社員数はどこもわずか1000人ほど。ローカル局なら社員数は100人を下回るところも珍しくない。派遣社員やアルバイトを含めてようやく200人。キー局内でも、中で働く人の半分以上は外部の制作プロダクションの人。廊下を走り回る人の殆どは外部の制作プロダクションの人だと思っていい。
キー局といっても中小企業だから幹部ポストは多くはない。40歳までは広く楽しく働けるが、40歳過ぎると厳しい現実が待っていることも少なくない。現場を外され、制作会社に出向させられたり、閑職に追いやられたり、退職を勧められることも中にはある。厳しい就職活動を突破して入社した会社。定年まで楽しく働ける職場といえるのか、私にはわかりません。
テレビの制作プロダクションに至っては有象無象に存在する。全てがそうとは言いわないが、制作プロダクションの現場の多くは過酷。だから制作プロダクションに就職して2年で辞める人もけっこういる。下請けの悲惨さの全てを背負い込んでいるのが制作プロダクションといえるかもしれない。ただ下請けでも、子会社・孫会社まではきちんとしたところが多いが、その下となると・・・。ちょっと言いすぎかな?コロナの問題で働き改革が叫ばれている昨今、かなり改善されてきているようなので何とも言えないが。
新聞社も似たようなもの。記者として一線でバリバリ活躍できるのは40歳くらいまで。デスクや論説委員になれるのは一握りの社員であり、多くは支局長の肩書で地方に飛ばされて終わることも多い。また一生、現場を走りり、20代の若手と同じ仕事をすることも多い。昨今、新聞社は経営が厳しいので、今後益々幹部ポストはなくなり、本社勤務を外される人は多くなることだろう。
出版社もまた同様。出版社は中小企業もいいところ。二桁の採用人員に達する企業は殆どなく、多くが「採用若干名」です。若い頃は記者や編集者として楽しく仕事ができるでしょう。でも激戦を勝ち抜いて入社したとしても、ある年齢に達すると閑職に追いやられることも覚悟した方がいい。書籍部門を持つ出版社なら花形の雑誌部門から書籍部門に異動で生き残れるかもしれないが。厳しい就活を勝ち抜いて、それで早くに現場を干されたんじゃなんのための入社なのかわかりません。
マスコミは考えている以上に大変で、大きな覚悟が必要だと私は思う。少し極端なことを書いたが、単なる憧れだけでマスコミを志望するのだけは止めたほうがいい。きちんと現実をみることです。