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㉗子供に手厚いアメリカ

 アメリカは何でも法律でルール化する。アメリカはダイバーシティ。いろんな人種が集まる国。育った文化も環境も価値観も人それぞれで異なる。そんな異人種を秩序ある行動に仕向けるには法律しかない。日本はそこまでしなくても、暗黙のルールでことが進むことが多い。
 アメリカのルールの中で私が驚くのは子供への対応だ。アメリカは子供に優しい国と言っていいかもしれない。優しいという言い方が正しくないとすれば、子供の保護に手厚い国と言い換えていい。
 例えば子供をクルマに乗せるときにもたくさんのルールがある。まずアメリカの安全基準をクリアしたものしかベビーカーシートは設置することが出来ない。だから日本のベビーカーシートはアメリカでは使えない。また、出産して退院するとき、ベビーカーシートがどのような状態か病院側からチェックされる。このあたりも面白い。病院がチェックするのだ。また、ベビーカーシートを助手席に設置することは許されていない。助手席は危険度が高いからだろう。だから子供用のベビーカーシートは必ず後部座席に設置しないといけない。それも進行方向に向かって反対向けの設置が義務付けられている。助手席の背もたれを目一杯挟めてベビーカーシート設置する。このことで後部座席に座る大人の顔が見やすくなるという利点もあるだろうが、乳幼児の安全第一の結果だ。
 このような状況やアメリカのクルマ社会の影響を受け、アメリカではトラベルシステムと呼ばれるベビーカーシートが流行っている。これはクルマの後部座席に予め台座を取り付けておいて、普段はベビーカーとして使いながら、クルマに乗るときにはそのベビーカーごと赤ちゃんが入るバケットをそのまま台座にはめ込むというもの。これだと赤ちゃんが寝ていても起こすことなくクルマに乗せることができるし、降ろすこともできる。
 話が逸れたがベビーカーシート以外にも子供に手厚いルールは存在する。例えば、子供を一人っきりで自宅で留守番させてはいけないというもの。これを犯すと逮捕される。誘拐が多いアメリカならではの法律かも知れないが、アメリカでは子供に留守番をさせてはいけないのだ。もちろん州によって法律が違うので一概に「アメリカでは」とは言い切れないが、子供が中学に入るまでは一人で留守番をさせることを禁じる州があることも事実だ。
 またクルマの中に子供を長時間、置いたままにするのも犯罪に当たる。厳しいワシントン州では、クルマの中に16歳未満の子供を残したままクルマを離れると逮捕の対象となる。16歳と言ったら中学生。日本で中学生を一人クルマの中で待たせることなんてよくあること。それで逮捕とは恐れ入る。最悪は免許証を取り上げられることもあるらしい。
 夜間外出禁止というものもある。14歳未満の子供は午前6時まで保護者なしでは公道を歩けないという条例があるほど。これも州によって若干異なるが、子供の夜間外出禁止をする州は多い。
 また日本でも広く知られていることのひとつに、子供と一緒に入る風呂問題がある。日本では小学生の時まで親と一緒に風呂に入るというは普通のことだが、アメリカでは性虐待とみなされる。そんな話を外でしたら警察に通報されることも少なくないらしい。アメリカでは3~5歳までは親と一緒に風呂に入るらしいが、その年令をすぎると親とは入らない。アメリカでは子供の人権も尊重する。親と言えど、子供を親のおもちゃのようにしてはならない。子供の意思こそ大事なのだ。
 アメリカは子供の人権も尊重するし、親と言えど、子供を好き勝手に扱ってはならないのだ、子供は将来のアメリカを担う人間。尊厳を尊ぶ。

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