(詳細版)「ARR 一億円を超えたSaaS企業が立ち向かう壁」〜 FOND 福山太郎とBEENEXT 前田ヒロのセッション メモ
9/26(水)に前田ヒロさん主催のSaaS特化カンファレンス「SaaS Conference Tokyo 2018」のプレイベントに参加しました。
「ARR 一億円を超えたSaaS企業が立ち向かう壁」〜 FOND 福山太郎とBEENEXT 前田ヒロのセッションということで、FOND福山太郎さんが圧倒的な情報量で色々至言を尽くされていたのでメモ。かなり載せたので頑張って読んで…要約はこちらでどうぞ!!
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本編
#ARR1億を超えるということ
##ARR~1億まではアート。簡単なことではない。1億以後はサイエンス/数式
・1年かかってARR1億超えた
・ARR1億までは結構アートだと思っていて簡単なことではない
- 別にあなたのサービスを使わなくても会社は回っていた、はず
- それがあなたのサービスに合計1億払っていることは、確実にそこにペインがあってそれを解決できているということ
・逆に1億さえ超えれば、10億まではサイエンス/数式として考えている
- 10億超えたら会社は潰れないと思っている
# ARR10億円、100億円までの考え方
## ARR1億円から10億円、10億円から100億円にいくための「方程式」 = ARR100億円からの逆算で考える
・「100億のためにはこう。今はここにいて、100億と今をどうつなぐか、その延長戦で伸ばして達成できるかどうか」が分かっていることが非常に大事
##ARR1-10億までの時間軸: 一般回答では2-3年だが、時間をかけてでも再現性がある形でのARR10億円が大事
・VC的には3倍3倍2倍2倍。一般的には2-3年といわれている
・個人的には無理やり達成する10億よりは、時間をかけてでもちゃんと計算して再現性ある形での10億の方がいい
- 10億円の次は30億円をどう達成するか、100億円どう達成するかという話になる
- 無理やり10億まで勢いまでいったら、方程式に落とせず再現性がない
- シリーズBで調達できても、どう使っていいかわからなくなる
- 10億までに、方程式が見えていれば調達して基本的に同じことを3倍の速度でやれば30億いけるのが見える
- ターゲットセグメントがこうで、それを獲得するにはこの方法で、それを何回繰り返して10億にたどりついたということがわかっていること
##100億までシングルプロダクトが理想だが、複数プロダクトしか100億への道がないなら可能な限り早く仕込む
・100億ARRまでシングルプロダクトでいけるならそれが理想
・FONDは100億までシングルプロダクトでは時間かかるなと思って、複数作った。単価を上げていきたかったし
・複数プロダクト出すときは 1. optimaizationのための展開、2.やらざるをえないという消去法的な展開の2タイプ
- optimization:10億くらいまではシングルプロダクトで、単価を上げるための新規プロダクト
- 消去法:これで100億いかないなと思ったら、早いに越したことがないnので早く やる
- 複雑にはなるが、社員100人で複雑になるよりは、5人のステージで複雑に慣れといた方がいい
## ARR100億がターゲットの理由:NASDAQ上場は100億が一つの指標。
・日本だとわからないが、マザーズだと売上22億、1億、年間成長率15%
・(前田さん)上場後の成長も考えると、50億から逆算してはどうか
- 22億で上場すると決めて、年度成長率50%超えてると、TSR13-15倍くらいになるので、売上22億年度成長率50%でとかだとめちゃくちゃ評価されるはず
# ターゲットセグメントの考え方
##ARR10-100億のときのポートフォリオから逆算してターゲットセグメントを攻めていく
・ARR1億時点で、ARR100億の時の姿を先に考えること。
・ARR100億時点でSMBが半分なのか、エンタープライズ中心なのかで話は変わる。
##大半はARR1億時点の顧客ポートフォリオをそのままの割合で成長させようとする。これは大きな誤り
・大抵ARR1億に行ってる時、できる限りのボトムアップの積み上げだろう
- 知り合い・投資家経由かとかで、大規模・中規模・小規模とかある程度mixに
・そのまま積み上げてもARR10億、100億になる保証はまったくない。むしろ、ならない。
##結論から言うと、99%は大企業に行った方がいい
・workdayは理想形。上場時はARR100億、顧客数は100社で平均単価1億
- 単価100万以下はIntuitとかギリギリADPくらいでかなりレア
##大企業を1mmでも想定するなら(意訳)、最初から大企業にオールインするべき
・中途半端にSMBにコミットしても仕方ない
・SMBでARR100億円を成立させるためには100万円x 1万社
- ベンチャー企業だけじゃ成り立たない。潰れるし不安定だし
・一方、労務、保険、給与とかはSMB狙っても成り立つ
##このオールインの決断はトップしかできない
・できるだけ早くやること、早く捨てることを決めれることが成功の秘訣
##(Q. いきなりエンタープライズっていけるもの?SMBまず狙うべきでは?)
A. ベンチャーはリソースがないんだから、リスクはあるけど大企業狙うなら早くから全てを大企業に突っ込むべき
・みんなSMBで稼ぎながら大企業狙うっていう綺麗事を言う
・しかし、そうするとリソースが分散してしまう。大企業にオールイン or 残りのリソースでいく、では成長速度が全然違う
- SMBはSMBでカスタマーサクセスが必要、それに機能提案もあるだろうし、エンジニアもSMB向けの対応が必要に
- そうすると大企業を残りのリソースで攻めなきゃいけない
##大企業にもSMB、どっちもとらない。大企業にいくべき
・SMBと大企業で課題が違うと2つのプロダクトになる。
・未来から逆算していくと、70くらいは重なるとしても、30は無駄になるかもしれない
・未来からの逆算していかに最速でいけるかが戦略
・ゴールが分かっているのにゴールじゃない方向に行くのは受託をやっているのと一緒では?だったら受託をしたらいいんじゃないかなと
##SMBを最初攻めていくと、どこかでエンタープライズの谷にぶつかる
・これだけ言っても多分多くの人は最初SMBにいく
- SMBを攻めていくと、どこかで、3-4年後とかにエンタープライズの必要性に気付く
- エンジニアリングリソースを大企業に寄せる
- セキュリティ、プライバシー、カスタマイゼーションとかSMBが求めてなかったことが求められてくる
- その機能を作ってる間にSMB向けの新機能開発とかは止まる
・大企業対応の間は、売上は停滞する。よって、人だけ増えて売上横ばいという現象が発生
- 今まで売上が伸びてきた要因(SMBからの売上)が停滞
- 人員・採用計画は伸びる前提で引っ張ってるから、人員は増えコスト増
・アメリカでもこのタイミングでよくレイオフが起きる
- 人も来なくなって負のスパイラル。余計回せなくなってそこを乗り越えられない企業が多発
- MixPanelもARR100億くらいいってると思うが、5年目くらいでこの谷にぶつかった。営業組織を全部変えて、売上がフラットになってしまったというフェーズに
##しかし、この谷を初期に持ってくるか後半に持ってくるかは経営判断、決められること
・先に意思決定をすれば、止まってる時期が短くて済む
- 初期はギャップが少ないからまだいい
・後半になればなるほどSMBに対応する時間が長くなるので、移行コストが高くなる
##(Q. (前田さん)基本はマイルストーン踏んで資金調達する。そのためにトラクションを見せていく必要がある。そうすると見えやすいお客さんを取りに行っちゃうものでは?)
A. 見込みの売上(トラクション)を説明して信じてもらえる投資家がベスト
・現状エンタープライズでもこういう顧客候補がいて、クローズレートがこれくらいだから見込みこれくらいでという話を信じてもらえる人がいい
・確定している売上しか見れないor見ない投資家なんだったらいらないんじゃないか?
# 大企業への登り方
##大企業へのカスタマイズはConfigurabilityに基づくもののみやるべき
・Configurabilityに判別されるものは積極的にやればいいが、Customizabilityに判別されるものは極力やらないべき。
- Customizability:1顧客にしか適応できないカスタマイズ
- Configurability:他の顧客にも適応できるカスタマイズ
- 営業は顧客が欲しいので前者もやりたいというがエンジニアは嫌がる
・どこまでやるかは経営が決める。この一社がとれたらそれ以上のバリューがあるのかというのであれば、例外措置的に発動することもある
・そもそもどちらに判別するかは、優秀なVPofEがいたら判断できる
- 積極的にはやりたくないので絶対厳しくできる
##一社だけのカスタマイズを認めていくと、開発負債が積み上がってスピードが落ちる
・実質プロダクトが2つになるようなもの
・その後の昨日開発におけるバグの確認とか、そういうものの作業コストが倍々になっていき、負債がたまる。開発速度がめちゃくちゃ落ちる
##エンタープライズにフォーカスするという前提で、SMBとの距離の取り方はいくつかある。そもそも話さないことが一番良いオプション
・オプション1:従業員規模15人の企業がきたら、SDRが、「うちは1000人以上を対象なのでこちらのサービスがいいですよ」と勧めてしまう
・オプション2:最低単価をかなり高く設定する。例えば、1000人規模を想定したプライスとかにしてしまって、結果的にSMBが排除していくというもの
・オプション3:100人以下はセルフでクレカで支払ってもらってセルフでオンボーディングしてもらう。営業やカスタマーサクセスのコストをかけない
・ただ、オプション3は、お客さんを失う以上のネガティブインパクトがありえる
- なんだかんだバグも起きるし、とはいえ売上の割合も少ない
- 彼らにとって使ってダメな体験になると悪口も発生するし、次の会社に転職してから使わないとなるかもしれない
・大事なことは、世の中で満足しない顧客をミニマイズすることなので、オプション1がいい
##ベンチャーで20人しかリソースがないので1人でもSMB対応をすると、5%のリソースをそこにさくことになる...そういう考えが必要
・やることとやらないことを早くから明確にしておくことがトップの仕事
・もちろん、boxとかsalesforceはやれている。それくらいの規模や最低単価ならSMBも対応可能
- 従業員あたり月2万円とかだと、50人のSMBでも月100万、年1200万なので悪くない金額
- それだったらトレーニングにもなるので新卒の営業マンとかをアサインしてもいい
# プライシング問題
##できるだけ初期に単価を上げる施策を見つけられるかどうかがすごい大事
・1営業マンあたりARR = 顧客単価 x 1人当たりの受注数
・1人当たり受注数の拡大は限界がある
- 例:1ヶ月に10社パイプラインがあって、30%クローズで3社。
- この3を30にするはほぼ不可能
・一方で、単価を100万から1000万にするのは実現可能
- セグメントと持ってるプロダクト次第
## 単価を上げる方法は「大企業にいくか」「複数プロダクト出すか」の2つ
・「複数プロダクトを出す」:最初からこれは基本的にない
・初期は「大企業にいく」かしか単価を上げれないはず
- 大企業にリーチできる、大企業を納得させられる、大企業に売れるものが全部そろった瞬間に大企業にオプティマイズしたパネルを作らないとだめ
##値段の最適化:毎年20%ずつ値上げし続けるマインドがいい
・高すぎて売れないとなったら、そこで止まればいい。それまでは上げ続ける
・1年かかったらめちゃめちゃ機能も追加されていて、1年前よりも価値は高くなっているはず。
- 値段は価値に対しての対価なので、正当化できると思っている。
##価格を上げるのは、新規顧客はマスト。既存顧客はどちらでもいい
・現在ARR1億、2-3年後のARRを10億とすると、今後の9億は新規が大半
・ARR1億時点の既存顧客を10-20%値上げしても1.1-1.2で、10億に占めるインパクトは小さい
・新規のお客さんの単価をあげる方がインパクトが大きい
##料金表が非公開の意味はディスカウントのためではない。顧客のニーズを正しく捉えてそれに見合うソリューションと価格を提供するため
・大企業は、まず顧客のニーズを聞いてソリューションを提供すること
・大企業であればあるほど課題が複雑なので、まずニーズを補足しないと正しいソリューションを提供できない
・それを知らずにあなたはこのサイズなのでいくらなのですといってしまう(料金表をそのまま当てはめる、見せる)のは、価格もそれに紐づいたソリューションも無意味に思う
##そもそも、極力ディスカウントはするべきではない
・ディスカウントするかどうかはSales Managementの問題。基本出さないべき
・さらに、ディスカウントのバラツキがでてるなら、Sales Managementのミスの可能性
##値段が上がっていくことは問題ではない。同じタイミングで値段が顧客によって違うのは問題
・値上げは、全く問題ない。前よりもいいサービスになっているからそれでいい。
・ただ、同じ日にAとBという顧客に出した同じソフトウェアのプライスに差が出てくるとなんだそれ?とはなる。
・価格のディフェンシビリティがないと、信頼できないサービスになる。営業マンの価格体系は透明性が大事。
# ARR1億を超えた時の指標
##基本的にはARR1億超えた時点の数字はあまり意味がない
・ARR1億は早ければ半年、遅くとも1-2年でいける指標。年間契約の場合、チャーンが顕在化する時期がだいぶ先となってしまうので、そこを見ても意味がない
- ARR1億達成した直後で考えると、ARRベースでのチャーンへのインパクトは見た目上少なく、本質を見誤る可能性が高い
- 年間契約だとその12ヶ月前の売上/クライアント数だけが対象。直近12ヶ月の伸びで考えるとかなり少ないはず
- 例:12ヶ月前の売上が100万だとして、12ヶ月後のチャーンが100万だとすると、ARRベースでみたら1%だが、解約可能な売上で割ると100%
##一番大事なのは、「顧客が満足してるか」「本来いきたいセグメントか?」の2つ
・本当に満足してたら、顧客が顧客を紹介してくれるはず。
・一方、新規の流入経路が既存のお客さんの紹介から来てなかったら危険サイン
##チャーンレートも参考にするが大事なのは顧客満足度であることを忘れない
・月次チャーンレートは高くても3%。できれば、0.X%にすべき
・ARR1億達成時で月次チャーンが3%とかを超えていると何かがおかしい
#チャーンレートだけ見て対応すると時すでに遅し
・チャーンの顕在化は遅い
- ARR1億の時は、次はARR3億を目線に組織図立てて資金調達している
- お金集めて採用始めてから、チャーン高いと気付いてから戻ると足踏みしてしまう
・チャーンはラギングインディケーターなので、それが出てから対応するのは遅い
- 1年契約の場合は、12ヶ月目でチャーンがわかる。それよりどれだけ早く「お客さんが満足しているのか」「チャーンしそうなのか」について捕捉できるかが大事
- 基本お客さんにフィードバックを求めても、嘘をつくし、無視するもの。本当のサインは紹介!!
## お客さんに、満足してますか?と聞いて、よかったら他のお客さん紹介してくれませんか?と営業していくのが一番いい
・自分の知り合いにいいサービスなら紹介したがると思う
- 友達っていうコストを払うまで満足しているかどうかはすごく大事
- アメリカと日本でも状況は違わないと思う
・SmartHRとかも評判がめっちゃいい、それでつながっていく。Twitterに書かれていることだいじ。本当に嫌なサービスは書かない。実名でいいとお金もらわないで描いてもらえるのすごいいい。
・口コミや紹介は、獲得コストめちゃくちゃ低くクローズレートは高いので、口コミをどれだけ増やせるか、お客様を満足してるかをちゃんとみていくこと
- 1000人にちょっと好かれるよりも、10人に愛されるか
# セールス・マーケティングの考え方
##ARR1億達成時の組織構成:営業は少なくする。営業マンの数に売上を依存する組織にしないこと
・ファウンダー+エンジニア6-7名、営業2名、CS(カスタマーサクセス)1-2名の10名くらい
- プロダクトに一番投資をすることが大事
- 営業マンの数に依存しない。一人当たりのARRの最大化に早めにやっておく。それがスケールのキモ。数を増やすことを急ぐとうまくいかない
- 逆に営業マンは1人はダメ。そうすると売れない時、営業マンのせいなのか、プロダクトのせいなのかわからなくなる
- 2人だとそのズレがなくなる
- FONDは、営業 5 BD 2 エンジニア3とか、あまりおすすめしない構成になっていた
##営業マン1人あたりの生産性(獲得ARR)最大化は急ぐべきこと
・一人当たりの予算が200-300万だと、3000万にすると10人雇わなきゃいけない
・一人当たりの予算が1500万だと2人でできることになる
・営業マンの給与とARRは連動する(OTEとARR)
- アメリカ年収の4-8倍がARRの目標
- 日本は、12倍のARR持ってこれるかどうかってところが大事では?
- 一人当たり8倍と4倍は全然違う、当然ながら倍のスピード成長できるということ
##営業マンの人件費については、顧客の単価/営業マンの予算によって大きく変わる(もちろん高い方がいいし、だから高く設定していくべき)
・SDRもアウトバウンドSDR(新規問い合わせをしていく対応)とインバウンドSDR(問い合わせ来たのをさばくか)がいる
・単価が高ければ高いほど営業マンの予算もあがっていくので営業マンあたりのSDRをあてれる人数もあがる
- 営業マンが1人あたり2億ならSDRを3-5人つけてもペイする
- トップ営業マンが飛び込み営業とかでリード取ってくるコストがたかいから、SDRがトップ営業マンのカレンダーをひたすら打ち合わせで埋めるために雇い続けられる
・逆に単価や予算が低く、1営業マン3000-5000万レベルだとSDRのコストがそんなに高くないとしてもアサインに限界が出る
- そうするとSDR1に対して営業マン3とかになってきて負のスパイラルになることも
## SDRにかけられる予算は、Sales&Marketing Costにどれだけかけるかからのトップダウンで決まる
・例:CACのペイバックを12ヶ月にしたい場合。
・新規のARR = 1とするとSales&Marketing Cost = 1。そこからだいたい半々としたらSales Cost = 0.5 Marketing Cost = 0.5。
・営業マンのコストはARR8に対して1としたら0.125
・残り0.375がマックスのバジェットとなる。それを、SDRかSalesOperations、広告、飛び込みに割くのか、そのへんは経営判断である。
## アウトバウンドとインバウンドの割合→そもそも基本アウトバウンドが良い
・FONDの変遷:一番最初アウトバウンド9割→インバウンド半々→(営業がインバウンドだと楽だとなって)インバウンド9割に→(それを後悔して)アウトバウンド6割に
・インバウンドは営業マン・組織的にめちゃ楽
- 何かを探してくれてる人に話す方が、何も探してない人に話しかけるよりも楽
- 組織は楽な方に流れる。そして問い合わせ中心になっていく
・しかし、インバウンドマーケティングに寄せるのはおすすめしない
- ダメな理由1:費用対効果が悪い
- 問い合わせでスケールするには広告費をよりかける方向にしかいかない。金がかかる
- ダメな理由2:ターゲティングがうまくいかない
- カンファレンスとかも難しく、本当にターゲティングするならGoogleかLinkedInかになる
・唯一例外は単価が低くて、アウトバウンドの効率が悪い場合はインバウンドに寄せた方がいい。多分freeeとかマネーフォワードさんとかはそうしてるんではないか?
・原則、大企業向けのSaaSはアウトバウンドからじゃないと発掘できないと思う
- 大企業の意思決定権者がみずからサービスを探していることはまずない。だからこっちから見つけて連絡しないと話を聞いてくれない
- 楽じゃなくても、飛び込みしてかつペイするような高単価のリードをつくれることが大事
- ペイバックピリオドを分析して、そこからの逆算で考える
・基本デジタルマーケティングはペイバック・費用対効果は悪くなっていく
- Adwordsは金をかければ伸びるんだけど、どんどんかけれるスペースがせまくなるので獲得効率は悪化
##(Q.最初はインバウンドをやるベンチャーも多いと思うんだけど、いつからアウトバウンドをやるべき?)
A. 単価を高くできる大企業を想定するなら最初からアウトバウンドをやるべき。
##拡販パートナーとの組むタイミングは向こうから問い合わせが来るタイミングが良いと思う
・問い合わせがきているか、セールスプロセスの中で第三者の意見が重要かどうか、みたいな観点で考えると良い
- インバウンドがチャネルパートナーとかアカウントパートナーから問い合わせが来ているか?
- 既存のターゲットの人たちのセールスプロセスの中でその第三者の意見が大事なのかどうか
- FONDだと福利厚生なので、大企業の意思決定において、保険のアドバイザーもからむ。だったら保険のアドバイザーからも売ってもらったらいいとはなった
・こっちからアカウントパートナーに依存するのはリスク
##エンタープライズ企業へのアップセルは有効。ただ、そこは予測は難しい
・大企業の満足度が高かったらアップセルはおきるはず。しかし予測してアップセルさせることはむずかしい
- アップセル:利用する中で利用するシーンが増えて、料金があがって金額が増えること
- クロスセル:違う商品を売って、複数プロダクト展開をして単価があがること
・boxの年間成長率35%、そのうち20%が既存のお客さんからの伸び
- 既存のお客さんが満足して、アップセルが起きて伸びていることが大きな成長要因と考えられる
・アップセルのいいところ:Salesコストかけずに伸びて行くこと。しかし難しいのは計算・予測しづらいこと
- 一従業員あたりいくらとかの課金体系になると、お客さんの成長に連動してしまう。初期にそこ依存しすぎると、外すと怖いとかがある。
- アップセルは結果論、狙いにいくのは難易度高い
# ABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方
## アウトバウンドの成約率(電話からのリード獲得)改善はABMをやっていくこと
・とりあえず数で稼ぐというよりも、成約率上げるための、アカウントベースマーケティングに寄せるべき。ターゲットリストを作って攻める
- そこに対してものを送ったり、ターゲティング広告うつとかが大事
・コストがかかるので避けがちだが、少しでもでできることはあるので初期でもできる
- わかりやすいのはマーケティング予算をターゲット顧客単位に当てて、FBやLinkedInでターゲティング広告当てるとか
・FONDはFOND BOXというものを作って送ってる。それだけで成約率は0.X%から数%にかわってくるもの
- Tシャツとかコーヒーとかなんとか色々入ってる
- 3日語に電話をかけて、届いた?という話だけでも会話が成立する
##ABMのtips1:自分を大きく見せること
・基本的に大企業から見ると、ベンチャーと話したくない
・SLAとかめっちゃまく、失敗もしたくない、サーバー落ちても嫌だし
・ベンチャー企業とばれないことが結構大事
- SMB向けのSaaSのコーポレートページ:社員一覧があって、全社員のTシャツ写真とか乗っている。うちの大事なアセットをそこに任せて、1億払えるだろうか?みたいな感覚にはなる
- 大企業向けSaaSだとめちゃめちゃちゃんとした写真。メンバーなんか載ってない場合もある
##ABMのtips2:セールス担当者がセールスプロセスのマッピングができてそこに向かって適切なチャネルで認知をはかれること
・アポの担当者・SDRがセールスプロセスで誰の決済が必要なんですか?とかもちゃんと聞く
・意思決定権者に対して、LinkedInの広告ターゲットを打つ、IPアドレス引いてFBで広告うつ、極端なら会社のオフィスの前の広告スペースを買う。これがABM
- 聞いたことある、知ってるサービスとそうじゃないものではイメージが全然違う
- 3社からプロポーザルがある中で、あ、聞いたことあるとなったらすごく有利
・セールスプロセスの中で、SDRないしは営業マンが顧客がどういう意思決定のプロセスで、意思決定権者が誰なのかがわかってることが大事で、そういう意思決定権者のマップを作る、それにそって最適なチャネルを考えてそこに売っていく
##ノベルティとかのコストは単価次第
・単価が高ければ高いのがいいのは、そこにコストをかけれること
・マルケトのファウンダーがABMの会社をやってるが、顧客側の担当者の人形(バブルヘッドみたいな)をつくって送っちゃう。これはインパクトあって面白いが結構コストがかかっているはず
・FONDは50ドルくらい
# プロフェッショナルサービス
##プロフェッショナルサービスは大企業にニーズがある場合が多く、リスクがなく、粗利の絶対額はあがって、お客さんの満足度が上がるのでいい
・プロフェッショナルサービス = ソフトウェアを買ったはいいものの、リソースがいない時に、そこのオペレーションを代わりにやるというもの
- このニーズはSMBにはあんまりない。お金払ってまでリソース買うというニーズが限定的
- 人はいないけど、早う導入したい場合、大企業的にはプロフェッショナルサービスを買った方が安いケースがある
##懸念としては、SMBでのニーズが限定的であることと粗利率が低くなること
・大企業じゃないとプロフェッショナルサービスは成り立たない
・粗利率が下がる:プロフェッショナルサービスは人件費が乗ってくるので、2-3割は下がる
- SaaSは粗利率8割とか、粗利が高いことが一つ良いところなので、そこをよしとしないVCがいるのも事実
##組織図的にはカスタマーサクセスに置く。ただし別チーム
・大きい組織図内ではカスタマーサクセスチーム
・ただし、業務的にカスタマーサクセス(1対30とか1対50)とプロフェッショナルサービス(1対3、1対5)は全く違うことをやるので同じ人にはできない。
##SaaS自体とプロフェッショナルサービスの売上割合はあまり気にしなくていい
・粗利の絶対金額が伸びていけばなんとかなると思うから気にしないでいいのでは
・SaaSの特徴は粗利率の高さではあるけど
・ソフトウェアを売って、オペレーションを良くするためのプロフェッショナルサービスなので、プロフェッショナルサービスだけが伸びすぎると、そもそもソフトウェア売ってないじゃんという話になるので、まあ2-3割以下が一般回答なのではないかと
##プロフェッショナルサービスを売り始める、注力し始める時期はARR10億以後では。10億まではカスタマーサクセス・顧客満足度向上注力するべき
・プロフェッショナルサービス = お客さんのオペレーションをやるということ
・基本的にはカスタマーサクセスの延長線上なので、カスタマーサクセスがやっちゃうことが多い
・しかし、カスタマーサクセスのキャパが間に合わなくて、お客さんがお金を払ってでもやりたいとなったらマネタイズできるところではある
・ただ、ARR10億にいくまではこの議論は出てこない方が健全
・それまでは基本カスタマーサクセスをできるだけ雇って、しっかりプロダクトを使いやすくすること、顧客満足度を上げることが大事
- スケールしてきたときに「うちってカスタマーサクセスめっちゃ雇ってるよね、一社当たりの対応コストが高いよね」となった時に、それを効率化するか、マネタイズするかのどっちかを選んで行くということではないか
# 社長の時間の使い方
##~1000万:プロダクト、~1億:営業、~10億:カスタマーサクセス、~100億:採用と組織づくり
・1億までは営業に全てをさく
- そもそも売れないと何も始まらない。売れるかどうかの検証に一番時間を使う
・1億以上:今度は「その人たちが使い続けてくれるいいプロダクトを作れているか?」が大事。
- カスタマーサクセスを早く雇うと同時に早い段階で既存のお客さんと社長が話しまくっていること。トップ20の会社は年2回はあっておくべき
- 1億ARR につきCS1人(早めに2人でもいい) x 社長は既存顧客とたくさん会う
# 目標設計や評価について
##アップセルやクロスセルの評価の仕方
・アップセルはカスタマーサクセスの評価
- 満足してるがゆえに既存のプロダクトにより多くお金を払いたいとなるから
・クロスセルは、リードジェネレーションがカスタマーサクセス、発注は営業
##カスタマーサクセスの目標・評価:FONDはネットチャーンを見ている
・チャーン + アップセル - ダウンセル
- チャーンをコントロールすることが目標設計で一番でかい
- アップセルを起こさせようとする設計は結構レイターでいい
・それよりも既存顧客に満足してもらうことを優先
- それが達成できていればチャーン自体が下がり、顧客満足度も上がってアップセルが起きると考えている
## 営業マンの目標設計
・大前提、目標はどれだけ明確にするかが一番大事
・営業の場合70%くらいが達成できる目標がベスト
- 全員が達成できていたら緩すぎると思う
- 理想は1-2人だけ営業マンが2倍達成していて、めちゃめちゃ給料もらえてて、そんな営業マンに憧れていて採用が進む、みたいなのが理想
- 200%:1-2人
- 100-120%:75%
- 90-100%(ギリギリ届かない):25%
##組織の中でイノベーションは起こさない。プロダクトに全てイノベーションをかけるべき
・大企業は、給与設計のために社員がいるくらい複雑なんだけど、給与設計についてあんまトリッキーなことしない。方程式は転がっている。
・できるだけ組織設計はレギュラー、先人たちの学びを活かすこと。それがリスクが少ない
##評価基準は、15人までは社長が見える。15人くらいからは見えなくなるから必要に応じてやる。SmartHRのものがいい
・SmartHRがおすすめ。ブログに書いている(給料を決めるのが「ものすごくストレスだった」 SmartHR代表が編み出した4つの評価制度 ですか?)
# 採用について
## VPレベルは、社長がスケールする絵が描けて、その実行を任せるフェーズで採用する
・一番まずいのは、スケールの仕方わからないからとりあえず任せるみたいな状態。仮説がないのに任せるのは危険
- こうなると、その人が言っていること、やっていることが合ってるのか、間違ってるのかがわからない。
・例:VP of Sales:自分で売ったことないのに営業マン雇うのも危険
- 社長が売れないのに営業マンが売れるわけがない。
- 社長も売れるんだけど時間がないから売れない、もしくはもっと自分より売れると(そう思える)人だから任せるというのが正しいと思う
・VP of ProductもVP of Marketingも同じ
- 全分野自分のビジョンから始まって、一から作っているはず。
- それをいろんな人に任せられる、より拡大させられるんだというタイミングで入れるのが正しい
## VPは、外から採用した方がいい
・中か、外かみたいな話でいうと外からの方がいい
・やったことある人が入った方が速度があがる
## 重要人材の採用プロセス:「自分が一番考えている課題を与えてソリューションを考えてもらう」が有効
・セコイアが投資先にさせていることなのだが、ディレクター以上は、プレゼンをしてもらう
- 基本役員クラス以上はみんな話がうまいので騙されやすい
- 一緒に仕事しないとわからないことがほとんど
・gainsightはCFO候補にデータを渡して、シリーズEの調達方法をやってくださいと課題を渡すらしい
・自分が来年超えたい壁を超えてくれる人を探すわけだから、その課題にこたえてくれるのがいい
- 自分の答えたい質問をパスするのが一番いい
- 営業の予算3000万を7000万にしたいという問いなら、その課題を与えてソリューションを考えてもらうとかがいい
## VP of Salesはどういう単価のものをどう売ってきたかを見る
・その人が今までどういう単価のものを、どう売ってきたかは大事
・向こう12ヶ月-18ヶ月の理想の単価をやったことがある人がいい
## CFOはIPOが見えたタイミングで入れると良い
・VPとCxOの違いは、VPは上に人(SVPとかCxOとか)を雇える。CxOはその上に雇えない
・CFOを採用するということは財務のトップがその人になるというメッセージ
- IPOが見えた時にIPOの経験者を入れるのがCFOとしていいと思う
- IPOが見えてない時IPO未経験者を入れるとIPOが見えた時に、その人の上に適任者を入れないといけなくなり、組織的に歪
・VP of Financeに求めるスキルは?:IPOに関連しないことは同じスキルを求める。財務会計や、それでバリュエーションモデル作るし、とか。
- シリーズDくらいからCFOが調達やることはある。VPofFinanceがファンドレイズに関わることはあまりないのでは
# 組織について
##組織の健全性:全社員にこの瞬間会社で一番大事なものがなにか?と聞いて80%以上が同じ回答をしないと、組織文化づくりでミスが起きている
・一番大事なこと来年の売上2倍とか社長が言っているのはまったくもっておかしい
- 大企業・SMB担当それぞれが売上2倍のためにはこれが必要となってしまって、結局全部大事で全部大事じゃないとなる
・だから、まず何が大事なのかを明確にすること、これはトップにしかできない。そしてそれをしっかり浸透させること
# SaaSとは
##SaaSの意義:エクセル、Eメール、SIerを駆除すること
・一番辛いのは、エクセル、Eメール、SIerが存在しないエリア
・ワークフローがない中で、魔法のSaaSをつくっても、解決できない課題になるから厳しい
・エクセル、Eメール、SIer、を使っているというのはなんらかの形で非効率が発生しているということなので、マクロの観点でもSaaSが代替するのは時間の問題だと思う。
- その流れが5年前に来たのがアメリカだし、いま少し日本にも来てると思っている。
・基本的にSIerに依存してる会社はなくなっていくと思っているので、その仮説を信じれるなら競合他社がいることは逆にいいサイン
- 10倍良くするor10倍やすくするそうやって戦っていけばいい
##SaaSのいいところは、売上が積み上がって行くところ
・ある程度行けばつぶれにくい。メンタル的には健全性を保ちやすい
##SaaSの大変なところは我慢が必要なところ
・基本同じことの繰り返しがSaaSビジネス
・創業者は大丈夫だけど、社員からするとその我慢を乗り切れない人も出てくる。大事なのは、我慢すること、祝うこと。
##しっかり節目節目でマイルストーンの達成を祝うこと
・マイルストーンをしっかり達成したら、ちゃんと祝う
・それをどれだけ明確にちゃんとやっていくか。そうしていけば我慢して行けば伸びて行くはず
# その他
##海外展開は、ARR10億超えたくらいでかんがえるのがいいのではないか
・海外現地企業から異国のサービスを見つけて真剣に検討するなんてない
・メールなのか電話なのか、広告なのかわからないが、ABMになっていくんではないかな
・ただ、早期の海外展開はおすすめはしない。PMFをまたやらなきゃいけなくなる。
・1億達成したこと自体を奇跡なので、それをまたやるの大変