フェーダーヴァイサー（Federweißer）に想いを馳せて
それはドイツの南西部の町マインツ（Meinz）を旅していた時のことだった。マーケット広場で小さな立ち飲みワインのスタンドらしきものを見つけた。
その日は運良くマーケット開催日であったので、まずはそちらをひとまわり散策してから戻ることに。とても大きなマーケットで見ているだけでとても幸せな気分になった。
小一時間ほどマーケットをぷらぷらしただろうか。スタンドへ戻り早速メニューを確認すると、そこには Federweißerという謎の単語が。ワインの銘柄なのかな？と思いつつ、気になったのでこれは一体何なのか店員さんに質問してみた。
…が、ドイツ語で質問した結果、全然わからなかった。オーストリアにスプリッツァー（Spritzer）という白ワインを炭酸で割った飲み物があるのだが、それではないということだけは分かった。（ドイツ語真面目に勉強せねば。丁寧に説明してくださった店員さんごめんなさい。）
ということで良くわからないがトライしてみることに。甘口、ミドル、辛口が選べるとのことだったのでミドルテイストのものを注文した。
ちなみに、後ほどインターネットで調べたところ、フェーダーヴァイサーとは発酵途中のワインになる前段階のアルコール飲料のことで、店頭で販売している最中にも発酵が進みテイストが変化していくおもしろい飲み物。ぶどうの収穫時期である9月から10月ごろにしか飲めず、しかも発酵途中で常にガスが発生しているためビンを密栓することができない。そのため現地でしか飲めない。それがフェーダーヴァイサーなのだ。なお、名前の由来は水分に浮かぶ酵母が白い羽のようにふわふわと浮いていることからフェーダーヴァイサーという名前になったそう。
見た目は白ぶどうジュース。香りはほのかにワイン。友達とプロースト（Prost）とドイツ語で乾杯をしてからさっそくひとくちいただいた。
口に入れた瞬間広がるぶどうの爽やかな香り。途中甘くてぶどうジュースを飲んでいるような感覚になったと思いきや、最後にはワインの香りが口いっぱいに広がる。一言。おいしすぎた。
それからフェーダーヴァイサーにすっかり魅入られたわたしは、スーパマーケットでボトルを購入。赤ぶどうバージョンであるフェーダーロートリング（Federrotling）も販売されていたのでそちらも。うん。やはりとても美味しい。これはいくらでも飲める。でもお酒。飲み過ぎ注意。罪な飲み物だ。
別日にはハッツェンポルト（Hatzenport）のモーゼル川沿いにあるワイナリーで１杯。フェーダーヴァイサーのお供と言ったらこれ！ツヴィーベルクーヘン（Zwiebelkuchen）、いわゆる玉ねぎケーキと一緒にいただいた。
ああ、このぶどうのフレッシュさがたまらない。ジュースともワインとも違う。唯一無二なのだ。幸せのひと時。
そして、玉ねぎケーキの方だがこれもまた衝撃の美味しさ。ケーキという名がついているがスイーツではなくお砂糖の甘みはない。おそらくじっくりと火を入れられたであろうクタクタ玉ねぎの甘さにベーコンの塩気、胡椒とスパイスが良いアクセントになっていてこれまたフォークが止まらない。あっという間にペロリ。何よりフェーダーヴァイサーとの相性抜群。
ということで、つらつらとフェーダーヴァイサーの思い出を語らせていただきました。ご清覧いただきありがとうございます。まだドイツに行ったことがない方、これを飲むのを目的にドイツに行ってほしい。9月か10月に。美味しいから。本当に美味しいから。（わたしはこれを書いている今も飲みたくて仕方がない。）
ああ、来年の秋が待ち遠しい。
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