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時間のない記憶

窓から零れるように手を伸ばし、
突き離した思い出を拾いあげた。

菫色の空へ、かざし、見つめるその奥を。
チクチクと刺すような気分を通り抜けて出会う
光、匂い、歌声は、
からだで捕らえた覚えの数々。
それぞれが、それぞれの発色で、あの時のまま。
陰は陰のままに。

あの日のあの時間たちは、
何かを変えようとすることなく生き続けて、
そして今この瞬間、
沈みゆく太陽の光と同じように、
瞬きだした星と同じように、
時間のない世界で、
わたしと一緒に生きている。

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