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随想録

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日記とはまた違った形で。 回想録であったり、決意を残すためであったり。
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#エッセイ

思い出す錆びた自販機

わたしは殺風景な田舎で育った。田舎といっても自然豊かな場所ではなく、街でもなく、過疎化が進んでいて、取り立てて話せるようなことが何もない、何の特徴もない町。 中学まで地元の学校へ通っていたけれど、とても閉鎖的な人間関係で息が詰まる場所だった。誰かを傷つけるような発言でなくても、思っていることを口にすれば性格が悪いと言われ、可愛い服を着れば、自信過剰といわれてのけ者にされる。人とうまくやるには心に嘘をつき、四六時中体操着だけ着ていると、去った人たちが戻ってくるくだらなさがあった

私にとって 私らしく生きるということ

毎日大粒の雨が降っている。 でもなんでかな、この音が心地よくてたまらない。 雨の中にいると、 細胞ひとつひとつがフカフカの布団に横たわっているように 喜んでいるのがわかる。 気持ちよくて、 いつまでも聴いていたくなる。 7月、 ひとつの区切りがまたやってくる。 何かが終わる時、 嬉しさと同じくらい怖さもでる。 その2つは、常にセットだと思う。 どっちに視点が置かれるか、 どっちへ意識を置くか、 ただそれだけの違い。 無意識に コントロールされてしまうときもあるけれど、

お仕事さがし、はじめの記録

日本に戻ってきて、 もう少しで2ヶ月が経とうとしている。 コロナ、非常事態宣言の状況を見ながらもあって、 少しゆっくりしていたけど、 物件探しもスタートしたことだし、 仕事も同時に探していこうと活動開始。 まだ、ただ見ているだけだけど。 もともと会社への帰属意識がすこぶる低く (いや、うそ、ゼロです) 何をやっていくかは分からない。 でも、 やりたいことを全部やっていくのにはお金が必要、 美味しいごはんだって食べたい、 などなど、事情はあるもの。 とにかく、 これも記

欠けたり満ちたり、生々流転。

(紫陽花を見ると、 おばあちゃんを思いだすな) 昨日、一昨日と、 金縛りに遭ったような体調不良で 思うように身体がいうこときかなかったのは、 満月だ月蝕だ といったいつものこともあるけれど、 それでも今年はやっぱりちょっと違うよね、 というのを肉体を通して感じているよ。 囚われすぎると暗示をかけてしまいそうなので、 天体情報は、あくまでさらっとみる程度にしているんだけども。 * 宇宙全体、 万物は絶え間なく変化して、 肉体がある限り、外側で起きていること、 誰かに

成功の本質について考えてみた

わたしはずっと、《成功》ってことを 好きなことで、 有名になったり、称賛されたり、 人々や世の中によい影響与え 結果を出すこと、 たくさん収入を得ること、etc、 と、そういうことだと思ってきた。 それは、わたし自身が、 がんばって結果を出さないと 人から褒められることも認められることもないと思っていた記憶が、あるからかもしれない。 愛についても そういう思い込みがどこかにあって、 心から大好きな人と仲睦まじく、 末永く、一緒に生きることだと思ってきた。 これらは《成

南東の空、記憶に出逢う

過去、それから、未来かな?と思える映像が ぽんぽんっとあたまに入ってくることが 多々あるのだけど、 とくに実家にいるときは、 過去に見ていた映像が頻繁に入ってくる。 わたしはいつも南東の空を見ながら、 ふたつのことについて考えていることが多かった。 ひとつは、 いつもここじゃない何処かのことを考えていて、 ここから出たいとか、 じぶんの居場所はここじゃないとか、 遠くへいきたいって思いながら ずーっとずっと空ばかりみていた日々のこと。 物心ついた時から高校を卒業するまで

肉体を思ふ

普段、人は、じぶんの肉体をどのように感じながら生きているのだろう。 そんなふわふわっとした疑問が浮かんでくると、 視界に映る人やモノはつぶさに消え、 さっきまで露ほどにも思わなかった身体の輪郭が、 急に立体感を伴って浮かび上がってくる。 物質の世界で個人的領域を示す そのボーダーラインをそっと撫でてみれば、 なんだかふたつの世界にまたがった気になってどきどきしてみたり。 この高鳴りはどこかからやってくるものでなく、 この身体が起こしているんだけれど。 肉体に対する興味はこ

日常は遥かに大きくて

月が青白く感じる日は、 初めて飼った猫を思い出す。 すると、お腹のあたりにぽっかりと穴が現れ、 触れた感触が体に甦る。 猫が世界から突然いなくなった日、 わたしの日常を死が初めてノックした。 わたしは、4つで、 猫も同じくらいの年だった。 毛の短い真っ白な猫で、青い目、きれいな雄猫だった。 母はいつも「本当にお利口ね」と猫に言っていた。 それは、多くの飼い主がペットに向かって言うセリフのひとつで。 賢さというものを当時のわたしには未だ分かってなかったけど、 彼の利口さとは何