絲川三未
詩のような、そして空想的な短いお話たち。
日記とはまた違った形で。 回想録であったり、決意を残すためであったり。
日々の記録
わたしがお気に入りのドレスに 袖を通したある日の午後、 あなたは居なくなった。 太陽が頂点…
いつか終わる そう 知っている そして始まるんだ でも 忘れてしまうの 何度も何度も そ…
そこを誰かは ちいさな宇宙と云った わたしはそこへ落ちて 目が覚めた わたしはひとつの ち…
太陽が沈んだ後、街は海の底へ沈んだ。紺色に染まってゆく空はそこに在ったはずのものを陰のな…
名前をなくしたあの子は カーテンのすき間から 夜空を見上げていました。 『明日は満月だ』 …
ぼくの恋人は、 銀食器のようにかがやく 4本の指を持っている。 右手と左手にそれぞれ2本ず…
わたしは殺風景な田舎で育った。田舎といっても自然豊かな場所ではなく、街でもなく、過疎化が…
閉ざされた 誰からも見えない蕾のなか 黄昏を迎える前 ほんの束の…
毎日大粒の雨が降っている。 でもなんでかな、この音が心地よくてたまらない。 雨の中にいる…
窓から零れるように手を伸ばし、 突き離した思い出を拾いあげた。 菫色の空へ、かざし、見つ…