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北谷馨の質問知恵袋 課税価格の計算 ~端数は生じているか?~

今回は、平成31年度記述式不動産登記法を素材として、よくある質問を検討します。

「乙土地」が甲区分建物の敷地権で、敷地権割合が600分の72であり、乙土地全体の課税標準の額は、3200万円です。では、「相続」を原因とする所有権移転登記を申請する場合、当該敷地権の課税価格はいくらになるでしょうか。

つまり、
3200万÷600×72
はいくらでしょうか、という質問です。
ちなみに、課税価格は「1000円未満切り捨て」です。

司法書士試験の受験生は文系の方が多いからか、意外と、この計算を間違ってしまう方が多いようです。

敷地権割合は600分の72であり、これは計算をすると0.12になります。
3200万に0.12を乗じると、384万になります。
よって、課税価格は384万円になります。
このように計算すれば、間違える余地はないでしょう。

一方、3200万÷600を先に計算すると、
3200万÷600=5万3333.333…であり、
これに72を乗じると、383万円9999.9999…になります。
「1000円未満は切り捨て」ですから、
999.9999999999…円は切り捨てで、
383万9000円が課税価格になる、と計算してしまう方が少なくないようです。

しかし、「3200万÷600×72」は384万ちょうどであり、端数は生じません。

これは数字のマジックのようなものですが、

「3分の1」×3は、
「1」が正解になります。

そして、3分の1=0.33333333…です。

ということは、

0.3333…×3は、
「1」になるのです。

つまり0.9999999999…

1
と同じなのです。

0.333333…は、1を3で割った数字を無理やり表現しているものであるところ、1を3で割ってから3を乗じると1で何の問題もないです。
つまり0.33333…×3は、0.9999999…ですが、それは「1」で良いのです。

これと同じ理屈で、

383万9999.9999…

384万
になります。端数は生じません。

なお、計算結果は「算数」ですが、きちんと証明しようとすると「数学」になり、なかなか難しい話になります。
「数学」は試験範囲ではありませんが、同じような計算が出題される可能性はあるので、計算結果は押さえておきましょう。

伊藤塾司法書士試験科講師 北谷



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