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第2回 公開模擬試験をうけて

【公開模試第2回の振り返り】
みなさんから届いた答案の採点も一段楽したため、前回と同様、簡単な講評をお伝えしたいと思います。

現段階で私が感じたことを、現実的な視点からお伝えしますね(正式な講評は、答案の返却に合わせて改めてお届けします)。

なお、まだ解いてないよ、という方は、ご自身で解いた後に読むことをおすすめします。


【問題44】
まず、本問は、本試験ではいまだ未出(記述式)の行政不服審査法からの出題でした。一瞬戸惑った方もいらっしゃるかと思いますが、「執行停止」という比較的メジャーな分野なので、テーマの把握は難しくなかったかと思います。

 

ですが、完全解を出すためには、条文の要件を正確に押さえている必要があるため、その点においてはなかなかに厳しかったですよね。

そのような状況を踏まえた上での現実的なラインは、やはり「執行停止の申立て」というキーワードを記述できたかどうか、というところにあったといえます。

 

事案を落ち着いて読めば、Aさんにとって、本件処分の効力がそのまま残るのは困る、ということは読み取れると思います。

 

であれば、行政不服審査法25条に定める「執行停止の申立て」を書く必要がある、という思考過程をたどることができたかと思います。

 

同条4項の要件については、今の時点であいまいであった方は、本番までにはしっかりと押さえておきたいところです。

 

仮に記述式で出題されなかったとしても、択一式では十分に出題の可能性はあるところですからね。


【問題45】
本問は、詐害行為取消権についての理解を問う問題です。分野としてはAランクの重要分野ですが、本問は…難しかったですよね。

公開模試第1回の問題44の時にもお伝えしましたが、本問のように難しい問題は、とにかく何かしらキーワードを書いて部分点を拾う、という意識が大事です。

完全解を目指すのではなく部分点を拾う…この意識で記述式の問題に取り組んでいただけると、結果的に点数が伸びることになります。

 

そのようなことを前提として、現実的なラインをお伝えすると、まずは、「詐害行為取消請求」というキーワードを記述することができたかどうか、というところがポイントでした。

本問は、問題文の中に、「本件債権を保全するため」や「他の債権者を害することを知りつつ」とあるため、このような記載から、「詐害行為取消請求」というキーワードを導き出していただきたかったところです。

 

責任財産を保全する手段(制度)としては、債権者代位権と詐害行為取消権があります。本問の事案をみると、債権者代位権は妥当ではないな、ということは読み取れると思うので、もう一つの手段である詐害行為取消権かな、という風にあたりをつける感じですね。

 

そして、本問については、できればもう一つ記述してほしかったキーワードがあります。

それは、「本件行為の前に生じた」というものです。

 

正確なキーワードとしては、「本件行為の前の原因に基づいて生じた」ですが、これを正確に記述することは難しかったと思います。

 

そのため、本件債権が「本件行為の前に生じた」という趣旨の記述をすることにより、部分点を拾いたかったところです。

 

まとめると、現実的なラインとしては、「詐害行為取消請求」と「本件行為の前に生じた」というキーワードを記述することにより、部分点を拾うことができれば十分だったというところです。

 

なお、「300万円」という範囲については、解答は難しかったと思います。

 

これは、過大な代物弁済についての規定(424条の4)を正確に押さえている必要があるのですが、なかなかここまで押さえている受験生はいらっしゃらないですからね。

したがって、この部分については、解答できなくても何ら問題はありません。

 

前述しましたが、本問のような難しい問題は、部分点を拾うという意識が大事です。

 


【問題46】
本問は、委任契約に関する知識を問う問題でした。委任契約については、売買や賃貸借に比べると、少し優先度が下がる分野なので、手が回りきっていない方もいたかと思います。ですが、本問のような「契約類型特有の解除」については、本試験も好きな分野なので、本問で問われているような条文知識を押さえておくと、本試験では安心です。

 

具体的には、委任契約の解除について…

 

①各当事者がいつでも解除できる

↓ただし、

②相手方に不利な時期の解除であれば、損害賠償が必要

↓もっとも、

③解除者にやむを得ない事由がある場合には、損害賠償不要

という3つのステップがあるということを押さえておけば、試験対策としては十分です。

 

現実的なラインとしては、3つのキーワードのうち1~2つのキーワードを書くことができていれば、十分です。

本問は、問題として難しいというよりも、手が回りにくい分野だということで、解答しにくさを感じた方が多いかと思います。

 

このような分野についても、完全解を目指すのではなく、部分点を拾うという意識が大事です。

 

 

【まとめ】
まとめると、

問題44:「執行停止の申立て」

問題45:「詐害行為取消請求」「本件行為の前に生じた(部分点)」

問題46:いずれかのキーワードを1つか2つ

以上のような解答ができれば、十分だということです。

 

10月の模試ということもあり、思うように書けないと落ち込んでしまった方もいらっしゃるかと思います。
ですが、模試はあくまでも模試にすぎません。

大事なことは、本試験で180点を取ることです。

 

これからの1か月は、本当に力が伸びる時期です。

皆さんが思うよりもずっと、力が伸びる時期です。

 

一つひとつ、目の前のやるべきことをこなしていく意識で、過ごしていただきたいと思います。

 

その際に気をつけるべきことは、周りの意見に惑わされず、自分の可処分時間に合わせて計画を立てるということです。

 

どうしても、直前期は焦りや不安から、周りの意見等に左右されて手を広げがちになると思います。

 

手を広げることが一概に悪いわけではないですが、多くの場合、こなしきれずに消化不良を起こしてしまうはずです。

 

中途半端に手を広げるくらいなら、重要な部分(Aランク)に絞って徹底的に繰り返す。

 

これが、合格への近道になるということです。

 

これから本試験までの3週間ほど、一番力が伸びる時期です。

一緒に頑張りましょう!!

 

 

伊藤塾行政書士試験科講師  藤田 竜平