飢餓の村で考えたこと 35.36

「人のためになりたい」

私は人間を動かす力の源の一つは「人のためになりたい」という衝動ではないかと思う。この衝動は自分の中から自然に湧き出している。温泉で言うなら自噴する衝動なのだ。本当に自噴しているのかとの問いにアミナさんが「そうだ」と答えてくれているように感じる。

どんな人間の中にも「人のためになりたい」という自噴する源泉が備わっているのだと。その自噴する源泉を持ち寄ってする活動がNGOであると私は信じている。私自身はそのように思っているが、そのような「人のためになりたい」という自噴する源泉が自分にあるかは読者自身が自己観察して検証していただきたい。

振り返り

ポイラ村の駐在員時代から約20年後。私はシャプラ東京事務局員となっており、年に数回バングラへ出張に出かけていた。バングラの活動地は3~4か所になっていたがその一つはポイラ村だった。

私はポイラ村で行っていた手工芸品ショミティの活動を改めて自分なりに評価できないかと考えた。そこで村のベンガル人職員に村で最初にショミティをつくる場合に、一番気を付けていることを訊ねてみた。

彼は新たな地域でショミティをつくる場合はまず男性のショミティから作るという。その男性のショミティ活動がうまくいくようになってから、同じ地域に女性のショミティを作るとすでにショミティに関して村人の理解が進んでいるため、村の人たちが女性のショミティ活動を受け入れやすいとのことだった。

私はこんな点が、ベンガル社会をまだよく理解していなかった日本人が村で直接やる場合とは違うのだなと理解した。ポイラ村での最初の活動としては難しかったかもしれないが男性の活動から取り組むべきだったと今は考えている。


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